こんにちは!東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。
3月に入り、いよいよ介護報酬改定の時期が近づいてまいりました。
私たち訪問看護については、介護報酬・診療報酬ともに6月からの改定となりますが、それでも来るべき改定に向けて結構戦々恐々としている部分があります。
今年は暖冬といわれつつも、やはり寒い日は多かったですね。雪も東京で何度降ったことか・・・
しかし、春はすぐそこまで近づいています。日もだいぶ長くなってきました。
春の日差しのように「心は温かく」、しかし「頭はクールに」を心掛け、私たちユニケアの訪問看護師・セラピストたちは今日も元気にサービスを提供してまいります。
訪問看護ステーションで新規ご利用者様を受け入れるにあたって、アセスメントやサービス担当者会議への出席、訪問看護計画書の策定など、準備すべきことがたくさんあります。
これを評価する加算として、介護保険では「訪問看護初回加算」が位置付けられています。
ただ、この加算について十分な知識をお持ちでない方が意外に多いようです。
今回は訪問看護初回加算の定義や算定要件、算定の留意点などについて解説します。ぜひ最後までお付き合いくださいませ!
訪問看護初回加算は、介護保険において認められている加算です。
訪問看護ステーションなどが新規で訪問看護計画書を作成することに対し、評価する加算になります。
訪問看護初回加算の単位数は下記の通りです。
訪問看護初回加算 300単位/月
介護予防訪問看護初回加算 300単位/月
上記の通り、訪問看護初回加算は介護・予防ともに算定可能となります。
ご存知の通り、訪問看護には「介護保険」と「医療保険」に大別されます。
では、訪問看護初回加算は「医療保険」にも存在するのでしょうか。
答えは「No」です。
訪問看護初回加算は、介護保険にのみ存在する加算になります。
訪問看護初回加算の算定要件には、どのようなものがあるのでしょうか?
・新規に訪問看護計画書を作成していること
・過去2月間に当該ステーションにおいて訪問看護を提供していないこと
・初回あるいは初回訪問看護を行った日の属する月に訪問看護を提供していること
となります。
「新規」の扱いについて、誤って理解している訪問看護師さんやケアマネさんが意外に多いようです。
訪問看護初回加算は、「当該訪問看護ステーションにおいて過去2月間に訪問看護を提供していない」ことが算定の要件になり、「新規」として取り扱います。
要は、最終の訪問看護利用から2月を過ぎていれば「新規」と扱われるということです。
訪問看護初回加算の算定は、単に新規で訪問看護計画書を作成した場合に留まりません。
例えば、既存のご利用者様の要介護状態区分が「要支援→要介護」に変更となった場合、訪問看護計画書を新たに作成することになります。その逆もしかりです。
したがって、この場合では訪問看護初回加算は「算定可能」となります。
訪問看護初回加算の算定ができるかできないかについては、介護保険と医療保険との関係性も考慮しなければなりません。
当該ご利用者様がはじめに「医療保険」にて算定され、その後介護保険での算定に変更となった場合はどうなるでしょうか?
あるご利用者様がいて、退院後に主治医が「居宅への頻回訪問が必要」と判断したために「特別訪問看護指示書」が交付され、医療保険での介入がスタートする場合をイメージしてみましょう。
答えは「No」となります。
この場合は、医療保険で先に算定されているため、「新規」の扱いにはなりません。そのため、介護保険としては初月であっても初回加算は算定できません。
訪問看護サービス(介護)の実績をケアマネさんに報告する場合、訪問看護初回加算の算定漏れについて指摘される場合がありますが、特別指示により医療保険で介入したことをケアマネさんに説明する等の配慮は必要でしょう。
訪問看護ステーションによっては、入院中のご利用者様に対して退院前カンファレンスに参加され、訪問看護開始前後に退院時指導を行う場合もありますね。
訪問看護初回加算は、退院時共同指導加算との併算定ができないことになっております。
退院時共同指導加算を算定する場合は、訪問看護初回加算を同時算定することはできません。その逆もしかりですので注意しましょう。
ご利用者様の中には、必要に応じて複数の訪問看護ステーションが介入するケースもあるでしょう。
介護保険においては、区分支給限度基準額の範囲内であり、居宅サービス計画書(ケアプラン)に位置付けられており、かつご利用者様(ご家族)から同意が得られていれば、複数のステーションが介入しても問題はありません。
上記の要件を満たした上で複数ステーションが介入する場合、訪問看護初回加算はそれぞれのステーションで算定することができます。
理学療法士や作業療法士などがサービスを提供する場合でも、訪問看護初回加算は算定できるのでしょうか?
訪問看護ステーションに属する理学療法士等がサービスを提供する場合、訪問看護計画書は「看護師」と連携して作成することになります。
このように、看護師と理学療法士等が連携することにより、例えば准看護師や理学療法士が訪問した場合であっても、訪問看護初回加算の算定は可能です。
2024年度介護報酬改定がまもなく開始されます。
通常は4月に実施されるのですが、訪問看護の場合は6月スタートとなるのは、冒頭でも申し上げた通りであります。
今般の改定で、介護保険における訪問看護初回加算の算定要件や単位数等が変わることとなりますので、この機会にご紹介いたします。
医療機関では、入院患者を可能な限り早く、在宅療養へと移行することを求められています。
在宅療養への移行をスムーズに行う上で、訪問看護ステーションの役割は非常に重要となります。
今回の報酬改定では、医療機関から退院する利用者様を円滑に在宅移行できるよう、それに寄与する訪問看護ステーションに対して加算を手厚くすることで評価する形になります。
では、国は何をもって評価をしているのでしょうか。
それは「退院日当日の訪問をする」ステーションに対する評価です。具体的には、通常の初回加算をさらに増額することで評価することとなります。
今般の改定では、病院や診療所等から退院した当日に訪問看護師が初回訪問を行った場合において、従来の初回加算とは別に加算を新設することになりました。
初回加算(Ⅰ) 350単位/月(2024年介護報酬改定により新設)
初回加算(Ⅱ) 300単位/月(現行加算と同様)
となります。(Ⅰ)が新設され、現行加算は内容が変わらずに(Ⅱ)に移行する形となります。
新しい「初回加算(Ⅰ)」の算定要件は下記の通りです。
新規に訪問看護計画書を作成した利用者に対して、病院、診療所等から退院した日に訪問看護事業所の看護師が初回の訪問看護を行った場合
となります。
治療が終了して在宅療養へ移行したとしても、状態が安定していないご利用者様は多く、私たちユニケアでも積極的に対応しております。
退院日に早くご利用者様のケアが実施できれば、それだけ安心材料は増えることになります。この施策は皆さんにとってメリットの多いところかと考えます。
今回は、訪問看護初回加算の算定要件や留意点、それから2024年介護報酬改定に伴う訪問看護初回加算の取り扱い等について解説いたしました。
厚生労働省は、退院するご利用者様が円滑に在宅療養へと移行することを推進し、そのためには訪問看護ステーションの理解と取り組みが重要であると説いているようです。
法人経営者・管理者・そして訪問看護師・セラピストの皆様が、今後ますます世に必要とされる訪問看護サービスを推進していくためにも、本記事をぜひお役立てくださいませ。
また、地域のケアマネさんに対しても、少しでも有益な情報となり得ればうれしいです。
今月も最後までお読みいただき、ありがとうございました。