居宅ケアマネ激減で「ケアマネ難民」も!ケアマネの離職防止策

こんにちは!東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。

桜も散り、気温も高い日が増えてきましたね。季節的には一番過ごしやすい時期で、洗濯物よく乾きます!

先日少し遠出して公園に遊びに行ったのですが、ピクニックをしている方がたくさんいました。ピクニックは大好きで、筆者もよく行きます。

皆様の中には花粉症でお悩みの方もいらっしゃることでしょう。

近年では、春だけでなく秋にも花粉が飛び、通年で花粉症に苦しめられている方も多いと聞きます。

筆者は幸い目がかゆくなる程度で済んでいるのでよいですが、適宜服薬等して乗り切っていただければ幸いです。

また、日差しが強くなってきているので、特に女性の方は日焼け対策には万全を期していただければと思います。

本日のテーマ

居宅介護支援事業所、老人ホーム、地域包括支援センター等にはケアマネジャー(ケアマネ)が存在します。非常に大事な職種であり、私たちも日頃から大変お世話になっております。

ケアマネはなくてはならない存在であり、その仕事内容から専門知識や高度なコミュニケーション力を必要とされます。

しかし、ケアマネの人材不足は深刻化していることはご承知の通りかと思います。

これは、ケアマネという仕事が非常に大変で業務過多の状態にあるからともいわれています。

事業所レベルで何とかフォローしていかないと、ケアマネの離職率を食い止めることは困難でしょうし、さらなる人材不足に陥るという悪循環を生みかねません。

ひいては、質の高い介護サービスを提供し続けることが難しくなります。

今回は、ケアマネの人手不足の現状と離職率について、また定着率をあげるために施設運営者が取り組むべきことについて掘り下げたいと思います。

是非最後までお付き合いください!

ケアマネの登録者数と離職の実態

近年、ケアマネの人材不足に悩む事業所が増えています。近年、地域によっては居宅プランを受けてほしくても担ってもらえない「ケアマネ難民」という言葉が聞かれるほどです。

厚生労働省が調査した統計によりますと。2020年における介護支援専門員の従業者数は約18万8千人でした。

これは介護支援専門員の資格を活かしてお仕事をされている人数といってよいでしょう。

近年では持ち直していますが、介護支援専門員試験の合格者数が一時期減少の一途を辿っていました。

公益財団法人介護労働安定センターが公表した「令和4年度介護労働実態調査」によると、介護職全体の離職率は14.3%となっております。そのうち、ケアマネの離職率は9.2%とのこと。前年度は14.1%であったことから、離職率は改善傾向にあるようです。

しかし、正直申しまして「改善している」という実感がどうしても持てません。


上記の調査から離職者の勤務年数を紐解くと、居宅介護支援事業所においては退職者の約6割が「勤続3年以上で離職」しているということです。

ケアマネはただでさえ実務経験が一定年数必要な資格です。これがないと私見すら受けられません。

苦労して取得したケアマネの資格を活かして、ある程度の期間従事するも、何らかの理由で退職するケースが多いわけです。

また、注目すべきなのは「離職理由」です。

ケアマネという資格の性質上、どうしても資格取得者の年齢層は高まる傾向にあります。

従業者の平均年齢が53.0歳といわれており、結婚や育児などを理由に退職する人の割合はむしろ少ないというのが現状です。

ケアマネを辞めたいと感じる理由3選

ケアマネを辞めたいと感じる理由で、特に多くみられる3つの理由について、詳しく見ていきましょう。

・とにかく業務量が多い

実際の介護現場で、ケアマネが辞めたいと感じている理由としてよく聞かれるのが、業務量の多さです。ケアマネの仕事は、利用者や家族との直接的なかかわりだけでなく、書類の作成や請求業務など多岐にわたります。ひとりのケアマネが担当する件数も多く、訪問がようやく終わったと思ったら、次は事務作業が待っていることも少なくありません。そのため、時間内に業務が終わらないことも多いのです。特に、事務作業に時間をとられて大変と感じるとの声はよく聞かれており、業務量の多さに心身ともに疲れてしまう人もいます。

介護施設に勤務するケアマネの場合、請求業務はないものの、現場業務と兼務しているケースも見られます。ケアマネの仕事だけでも業務が多いのに、現場の仕事もこなさなければならず、つらくて辞めたいと思っている人もいるようです。また、施設にケアマネがひとりしかいない場合もあり、業務が終わらないのに助けてもらうこともできない状況に疲弊することもあるでしょう。

・精神的な負担が大きい

令和4年度介護労働実態調査によると、ケアマネの仕事について「精神的にきつい」と悩んでいる人の割合は38.0%となっており、精神的負担を感じている人が多いことがわかりました。ケアマネの場合、利用者や家族とのやりとりが多く、双方の思いや希望が一致しないことも少なくありません。また、家族が利用者本人の状況や必要なサポートに対し理解を示さないケースもあり、利用者と家族の板挟みに悩むことも多いでしょう。
実際に、利用者や家族に対する悩みでは、「利用者に適切なケアができているか不安」との声が最も多く、思うように支援が進まず精神的に負担を感じている人が少なくないことがわかります。

・仕事のわりに給料が低い

ケアマネの基本給は、一般的に介護職員に比べると高く設定されています。

しかしケアマネは、介護職員等処遇改善加算の対象外になっており、夜勤もないため、「現場の介護職員からケアマネになって給料が下がった」という声も聞かれます。

筆者もそのような声を聞くことがよくあります。


また、業務量と給与額が見合わない、という声も聞かれます。

書類作成や担当者会議、給付管理、緊急の呼び出し等多岐にわたり、ただでさえ忙しいのに、それに見合った給与額ではないと思ってしまえば、モチベーションは高まらなくなるのは仕方がないと思われます。

ケアマネ離職防止のためにできること

介護現場の中心的役割を担うケアマネが、もし突然やめてしまったら・・・

社内的な側面として、次の人材を探すには大変な労力がかかります。

そもそもケアマネ不足といわれて久しい中で、現存するご利用者様の相性の問題もあります。ケアマネの資格を持っている人を充てれば、すべてうまくいくというものではありません。

社内外において、大きな支障を来たすことは間違いないといってよいでしょう。

できることなら、ケアマネには安心して長く働いていただきたい(どの職種でも同様ですが)。

法人として、あるいは管理者として、ケアマネが離職することなく意欲的に活躍してもらえるにはどのようにフォローしていけばよいのでしょうか。

・ケアマネの仕事内容をしっかり把握し「見える化」する

まず法人経営者・管理者が、ケアマネの仕事に関心を示し、業務の状況を把握することが最初の出発点でしょう。

ケアマネの仕事内容を把握していれば、個々のケアマネに寄り添いやすくなります。ケアマネが仕事上の相談を持ち掛けたときに、適切なアドバイスや対応を行うことができるでしょうし、ケアマネと強い信頼関係を築くことが期待できます。

それを感じ取ったケアマネは、自分の仕事をしっかり評価してくれていると思え、モチベーションアップを図ることができます。

近年の介護ソフトでは、業務の進捗状況やトラブル情報などはリアルタイムで共有できるような機能がついています。そういうものを活用するのも一案です。

・抱えている問題の共有

ケアマネは個別にご利用者様を担当します。

ですので、基本的にはケアマネが独りで相対することが多くなり、仕事上の悩みやトラブルなどを気軽に相談しにくい状況です。

特定事業所加算を算定している事業所であれば、定期的にミーティングを開催することが義務付けられているため、困難事例の共有がなされる機会もありますが、それでもなかなか難しいものです。

加算算定にかかわらず、例えば業務日誌や朝礼、ミーティングなど様々な方法が考えられますが、意図的に上席者がケアマネとコミュニケーションを取れる機会を設定することは重要です。

事業所によっては、定期的な個別面談を実施しているところもあるようです。個別にヒアリングすることで、今抱えている問題を早期に見つけ、相応な対応がしやすくなります。

・問題解決に向けた改善への取り組み

ケアマネの抱えている問題について、事業所あるいは法人レベルで誠実に取り組む姿勢を示すことも重要です。

これは介護に留まりませんが、自身が考えていることを発信しても、全く取り合ってもらえないと思った段階で、「どうせ自分の話なんか聞いてもらえない」と思って一気にやる気を失うものです。そのように思われてしまったら、離職防止などできるはずもありません。

事業所としてケアマネの意見にしっかり耳を傾け、どのような改善、解決ができるか方法を探しましょう。

こうした姿勢は、「事業所にとってケアマネ(自分自身)は大切な存在である」という意思表示にもなり、ケアマネも「自分を大切にしてくれている」と思ってモチベーションも高まるものです。

ケアマネの離職率を下げて定着してもらう方法5選

ケアマネが離職することなく、働き続けられるようにするには、どのような方法をとったらよいのでしょうか。


離職率を下げてケアマネを定着させるために、事業所として対応できそうなことを5つ紹介します。

・現場の業務負担を軽減する~ICTの活用~

ケアマネの業務負担を軽減するための工夫は重要です。

具体的には、多くのケアマネが負担が大きいと感じる「事務作業」を減らすことです。


介護ソフトの新規導入や見直しを検討し、書類作成や請求業務などの業務負担の軽減を図ります。

タブレット入力が可能な製品であれば、モニタリングやアセスメントの際にその場で入力が可能で、業務が効率化されるかもしれません。


既存のソフトを乗り換える場合は、注意が必要です。

ケアマネに限らず、介護現場で仕事をする人の中には、IT活用に不安を抱える人が結構います。

介護ソフトの仕様が変わると、なかなか順応するのは大変です。ソフトを変更する場合、過去に使用経験があればよいでしょうが、そうでない場合は新たに操作に慣れる必要があります。

業務効率化を図るあまり、かえってケアマネの負担感を煽らないような配慮は必要です。サポートをしっかり構築することが重要ですね。

今回の報酬改定では、事務員の配置や情報通信機器の活用等により業務改善を図る事業所に対して、報酬や基準緩和といった措置が講じられることになりました。

特に、担当利用者数の逓減性緩和は、居宅介護支援事業所にとっては追い風になっています。

・事業所で積極的に加算を算定する

ケアマネの収入面を補填する対応の一つに、加算を算定する方法があります。

例えば、特定事業所加算の算定が挙げられます。算定要件が整えば、かなりの収入増が見込めます。

ただし、なかには要件が厳しい加算もあります。加算算定に重きを置きすぎて職員の負担が増えてしまっては逆効果です。加算の算定をする際には、職員への影響についてもよく検討しましょう。

・資格維持のための負担軽減に努める

ケアマネの資格は5年ごとに更新しなければならず、そのためには研修を修了する必要があります。

研修費用は地域によっても異なりますが、安い金額ではありません。あた、研修に参加するためには時間を確保しなければならず、勤務の調整も必要になります。

そのため、研修受講に負担を感じるケアマネは非常に多いのが実情です。筆者が知る限り、これが負担で資格更新を断念したケアマネさんも存在します。


資格を維持してもらわなければ、事業所としても困ってしまいます。

研修に関する負担感の軽減は必須といってよいと思います。

研修費用の助成や、研修参加は出勤扱いにするなどの対策を講じ、ケアマネの負担を緩和させる手立ては必要です。

・一人ひとりの能力に応じた働き方ができる体制を整える

ケアマネが担当するケースは、ひとつとして同じものはありません。

本人や家族の受け入れがよく、スムーズに支援が進むケースもあれば、そうでないケースもあります。

対応が難しい困難事例を担当することもあり、この対応に心労が尽きないというケアマネは多いことでしょう。

事業所はケアマネが安心して働けるような環境整備が極めて重要です。

特定のケアマネに負荷がかかり過ぎないよう、個々の能力に応じて担当を振り分けることも必要でしょう。

もし偏りが見られる場合は、他のケアマネと話し合って調整することになります。

また、本人の希望に応じた働き方ができるような環境を整備するのも一案です。

複数の施設や事業所を運営する法人であれば、本人の能力や希望に応じて配置転換を可能にすると、精神的負担が軽減できるかもしれません。

事業所で介護DXに取り組むことは、未来の介護サービスには絶対不可欠といっても過言ではありません。特にケアマネの仕事は、テレワークがしやすい仕事の一つといわれています。

ユニケアコラムでも過去に取り上げましたが、テレワークの推進は今般の介護報酬改定でも掲げられている重要事項です。個人情報管理や事業所運営の停滞を防ぐことは必要になりますが、生産性向上の一環としてもテレワークの活用は効果的です。

今回は、ケアマネの離職を防ぐにはどのように対応すべきかについて取り上げてみました。本コラムが、皆様にとって何らか有益なものとなればうれしいです。 今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。