こんにちは!東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。
5月も終盤となり、もうすぐ厄介な梅雨がやってきます。
雨が続くと自律神経がどうしても乱れがちになり、人によっては軽い「うつ」のような症状を来たす場合もあるようです。
気持ちを上げていくことは簡単ではありませんが、やはり栄養・適度な運動・休息を意識して、日々乗り切っていければと思います。
私たちは介護・医療業界に身を置く中で、常に求められる考え方があります。
例えば、認知症の理解や解除方法など、医療や介護の知識や技術等が挙げられるでしょう。
管理者や経営者の立場となれば、また違ったものが求められます。
例えば経営やマネジメントにおいて、「法令遵守」や「健全さ」が求められることに異論はないでしょう。
その上で重要な概念として、「インテグリティ」という考え方が近年注目されています。ここでは、インテグリティの意味や必要性、企業のインテグリティの高め方などについて解説します。
是非最後までお付き合いいただけますと幸いです。
インテグリティとは「健全さ」「真摯な姿勢」という意味の英語です。
マネジメントの父といわれるピーター・ドラッカー氏は、健全な組織運営に必要な考え方として、この「インテグリティ」の重要性を説いています。
アメリカの投資家で大富豪といわれるウォーレン・バフェット氏も、人材に求める3つの資質として「知性」「エネルギー」「誠実さ(インテグリティ)」をあげています。誠実さ(インテグリティ)」が伴わない人間は「知性」と「エネルギー」を持つことなどできないと、インテグリティの重要性を述べています。
この「インテグリティ」という考え方が、介護や医療サービスにいかに密接に関係するかについては、このあと取り上げてまいります。
介護業界にいる私たちであれば(そうでなくとも)、コンプライアンスという言葉は聞いたことがあるでしょう。
インテグリティとコンプライアンスはよく似た言葉ですが、相違点はどこにあるでしょうか?
それは、行動に対する「積極性」や「自主性」の違いといってよいと思います。
「コンプライアンス」は、国や企業が定めたルールを守るということから、外面的で他律性が強いのに対し、「インテグリティ」は個人の意識や姿勢が軸となるため、内面的で自律的な要素が強いという点で異なります。
インテグリティは、誰かに押し付けられるのではなく、あくまで自発的・積極性という意味合いが強いということですね。
なぜ今般、インテグリティが注目されているのでしょうか?ドラッガー氏やバフェット氏がというビッグネームが、なぜここまで重要性を説いているのでしょうか?
大きな問題として、成果主義への移行の弊害があげられます。
企業では成果主義の導入により、ときに過度なノルマを社員に課し、高い成果を上げるために不正をはたらく社員が出現するようになってきました。
不正をはたらき、悪い部分は隠ぺいする社員。企業全体においてもそのような対応が見られるようになりました。
厳しいノルマを課せば、不正や従業員の酷使という事態を生みかねません。
その結果、「データの改ざん」「根拠のない情報の発信」といった不祥事が多発し、社会的な問題になったわけです。
介護の世界でも、例えば高齢者虐待や不正請求などが今でも行われています。
今回の介護報酬改定において、高齢者虐待を厳禁とすることはもとより、事業所において対策を講じない場合は基本報酬を減算するという、厳しいルールを課しました。
人間の尊厳を守ることが何より求められる介護業界において、いかに自らを律し、誠実であり続けられるかが問われているわけです。
「誠実さ」「謙虚で真摯な姿勢」と訳されるインテグリティですが、企業の階層によってどう立ち回るべきなのかが若干異なるようです。
ここでは、経営者・管理職・従業員にわけて、どのようにインテグリティを考えていくかについて解説します。
経営者が率先して法律・社会通念に基づく振る舞いをするとともに、公益性や社会貢献性を意識した経営を心掛けることが必要でしょう。
経営者が自ら不正をはたらくような会社が、果たして世に存在するに足りるでしょうか。特に公益性の高い介護業界ではなおさらだと思われます。
管理職は、自身の上司の顔色ばかりを窺うのではなく、企業・従業員のために行動する姿勢が重要です。
不正に迎合することなどもっての外で、明らかにおかしいと思ったことは上昇部に意見することも時には必要かもしれません。
また部下に対しては、個々の能力を最大限に引き出す努力をすることも重要です。
保身や自身の利益だけのために行動するのではなく、「指示待ちにならない」「データをごまかさない」「ミスが発生した場合は即座に報告する」など、自分の尊厳のために業務を遂行する姿勢が重要です。
インテグリティを重要視する企業はたくさんあります。
特に大企業の場合は、株主をはじめとする様々なステークホルダーが存在しますので、真摯な姿勢のない企業というレッテルが貼られてしまうと非常にマズいことになってしまいます。
ここでは、ドイツの大手自動車メーカー「メルセデス・ベンツ」社の事例をご紹介したいと思います。
メルセデス・ベンツ社では、従業員の基本となる価値観として「インテグリティ」を掲げています。社内に「インテグリティ規程」というものを策定し、「社会的責任を果たしていくことが、長期的な成功に繋がる」と明記しています。
公正にビジネスを推進するために、法律や企業内部の規則を遵守する必要があると捉える全従業員が、自信と責任をもって行動することを後押しするための取り組みといってよいでしょう。
このコラムの末尾に、メルセデス・ベンツ日本が公開している「私たちのインテグリティ規程」のURLを添付しますので、是非ご覧になってみてください。
私たち介護業界にも、参考になる点がたくさんありそうです。
「訪問看護」に限りませんが、私たち介護サービス事業者が謙虚で真摯な姿勢をもって運営するには、どういうことに留意すればよいのでしょうか。
管理職の方々が、部下や同僚の話にしっかり耳を傾け、共感する姿勢が重要ですね。
話を全く聴かない、ましてや否定ばかりしていては、インテグリティなど望むべくもないでしょう。
しっかり仲間の話を聴き、よいことについては共感し、褒め、取り入れる姿勢が大切です。そうすれば、部下はますます前向きになってくれることでしょう。
企業は永続的に運営することを前提として活動しています。この考え方を「ゴーイング・コンサーン」とよびます。
永続的に企業活動をしていくには、組織を作っていかなくてはなりません。
組織構成は、長い年月で移り変わっていくでしょう。その際に、常に組織を牽引するリーダーを育てていかなくてはなりません。
これはなかなか難しいことではありますが、経営者が意識して行っていかなくてはならないことでもあります。
「インテグリティ」の考え方は、頭では何となく理解していてもなかなか実践できるものでもありません。研修は非常に重要でしょう。
先程、インテグリティの重要性について「階層別」にご紹介しましたが、研修は階層別に行うことも重要です。
企業理念や考え方は、なかなか一朝一夕には浸透しないものです。
私たちは常日頃からインテグリティを心がけて行動するために、素養を身に着ける必要があると思います。
会社の誠実な態度に基づいた行動は、顧客や地域の皆様からの信頼獲得につながります。
特に介護・医療業界ではその性質上、真摯で真面目な運営が求められます。
なぜなら、サービスを利用されるお客様は、社会的にも弱者であるからです。そういう方々が不利益になってしまっては、時に生命の危機にも瀕しかねないからです。
また、介護・医療サービスは「公的保険」がベースになります。公的保険を活用している以上、いくら民間会社であっても公益性を無視することはできません。
私たちは他業界以上に、法令遵守を徹底し、誠実かつ真摯な行動を心がけていかなくてはならないのです。
誠実な(不正のない)企業経営を目指すために、本コラムが多少なりともお役に立てば幸いです。
今回もお読みいただき、誠にありがとうございました。
次の投稿もぜひお楽しみに!