「人材紹介事業の適正化」ついて議論が白熱?!

こんにちは!東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。

2023年は世界的なスポーツイベントが目白押しですね。

侍ジャパンが世界一となり、日本中が湧きにわいた3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)をはじめ、7月には福岡で開催されている世界水泳、そしてFIFA女子ワールドカップがニュージーランド・オーストラリア共催で行われます。

なでしこジャパンは2011年のワールドカップ優勝以来、人気が低迷気味で気の毒に思っておりました。日本でのテレビ放送もギリギリまで決まらずヤキモキしましたが、何とか決まってよかったです。

さらに8月には世界陸上ブタペスト大会、沖縄で開催されるバスケットワールドカップ、9月にはフランスでラグビーワールドカップも行われます。

スポーツ好きの筆者としては、これだけ大きな大会が行われるのはうれしい限りです。

世間は異常気象等による自然災害、物価高、世界的情勢不安等に苛まれていますが、スポーツの力でそういう不安が払しょくできればよいですね。

本日のテーマ

今回は、7月に開催された「第107回社会保障審議会介護保険部会」において「職業紹介・労働者派遣」について議論されましたので、このトピックを取り上げさせていただきます。

介護だけでなく、医療・保育事業において前から問題になっている「人材紹介手数料の高騰」や「悪質業者への対応」について、国がメスを入れようとしています。

介護事業を営む経営者様や、人材採用に携わる方にとっては、非常に大きな問題です。

今回どのようなことが議論され、どのように進めていこうとしているのかについてご紹介しますので、是非最後までお読みいただけますと幸いです。

人材不足解消のために「紹介業者」を活用する現実

もう、このコラムでもしつこい位取り上げてまいりましたが、介護業界の人材不足は深刻を極めています。

事業者は、可能な限りのリソースを活用して人材確保に努力されています。

しかし経営資源には限界もあり、十分な人材が確保できている事業者様は多くないのではないでしょうか。求人広告を掲載しても効果には限界があり、やむを得ず人材紹介会社を活用しているという現実があります。

10年前位までは、人材紹介会社を活用する職種として、いわゆる医療系(医師・看護師・セラピスト等)が主流でした。しかし近年では、介護職員や保育士にも及んでおり、採用コストが高騰しているのです。

介護も医療も保育も「人員基準」が定められており、基準に従わなければ運営ができません。基準を満たすためには、多少コストをかけてでも対応せざるを得ません。

ゆえに、ときに人材紹介会社の活用を行っているわけですが、そのコストが年々重くのしかかっているのが現実です。介護報酬は、人員の採用コストを含んだ体系になっていると思いますが、採用コストの高騰まで考慮はしてくれません。

水道光熱費もそうですが、結局のところそのようなコストは事業者の「自助努力」によって吸収せざるを得ない形になります。

とはいえ、それにも限界があります。

介護報酬は公定価格なので、売価操作をすることができません。国がこういった現状を汲んでいただかないと、自助努力だけではどうにもならないということです。

紹介手数料の現状

介護事業者が人材紹介事業者に支払っている費用等の現状として、部会では以下のようなデータが示されました。

・人材紹介事業者に支払うの手数料は介護職員1人あたり平均42万円

・派遣の場合紹介事業者への支払金額は、1日8時間労働で平均1万4,973円であり、うち介護職員の賃金は1万205円

と。

人材を採用するのに一定のコストが発生するのは当然です。

しかし、それは有意義なものではなければ意味をなさないと思います。

何をもって「有意義でない」言えるのでしょうか。

それは、高いコストをかけて採用しても定着せず、すぐに辞めてしまったりする点です。

人材紹介事業者に支払う手数料が平均42万円というのが、果たして高いのか低いのかというのは、「有意義といえるかどうか」にかかってくると思います。

本当に優秀で、事業者の戦力になり得る方であれば、42万円を支払う意義は高いともいえるのではないでしょうか?

もちろん、人材を定着させるためには事業者の努力が必要なのは、いうまでもありません。優良な人材紹介会社がたくさん存在するのも事実です。

しかし今回その前提に立ち、悪質と考えられる人材紹介事業者の問題点を指摘しているわけです。

人材紹介サービスの「不適切な」運用?

今回、人員確保の手段の一つである「人材紹介サービス」が問題になっているわけですが、近年紹介会社に支払う手数料が高騰しているだけでなく、そもそもサービスの質にも問題があるのでは・・・といわれているのです。

悪質といわれる人材紹介会社の中には、一度紹介して入職となった求職者に対する「転職勧奨」をしている現状があるようです。

紹介会社は求職者に対し、一定期間在職したら辞めるよう勧奨し、別の転職先をあっせんする。求職者に対しては「入職お祝い金」なるものを提示し、求職者にとっても金銭的メリットを提示する。

誤解のないように申し上げますが、お祝い金自体は全く問題ありません。どこでも行われていますし、当法人でも導入しています。

ここで問題になっているのは、転職勧奨や「お祝い金の不適切な運用」なのです。「不適切」に運用することが問題だといっているわけです。

紹介会社の本来の在り方は、よい人材を事業者に紹介することにより、採用過程における様々な手間や雇用のミスマッチを軽減させ、ひいては業界(もちろん紹介事業者自身も)の発展に寄与すること、のはずです。少なくとも、筆者はそのように考えております。

それに逆行するような行為が存在することは、果たして人材紹介サービスの意義としていかがなものでしょうか・・・

今後の対応として検討されていること

厚労省・職業安定局の担当者がこれを是正するための「今後の対応」として、主に以下の内容を説明しています。

上記の資料には、今後の対応として、

1.悪質な職業紹介事業者の排除

2.有料職業紹介事業の更なる透明化

3.優良な紹介事業者の選択円滑化

4.ハローワークの機能強化

が挙げられています。

具体的には「人材紹介事業者への”集中的指導監督”を23年度中に実施すること」「人材紹介事業者の実勢手数料の平均値・分布や職種別離職率を地域・職種ごとに毎年度公表する方向で検討すること」「紹介した人材が6カ月以内に離職した場合、相当額の手数料の返還を行うこと」を強化したい考えです。

上記に伴い、「医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者の認定制度」の認定基準に追加することを目指すようです(下記資料参照)。

「人の振り見て我が振り直せ」の精神

こういうものができてくれば、少なくとも悪質行為に対する「抑止力」にはなるかと思います。

とはいえ・・・

厚労省は、”集中的な指導監督”に関する説明の中で、介護事業者など採用側にもヒアリングを実施し、「実際どれほど問題と考えているのか」といったことも把握したい意向を示したとのことですが、遅きに失した感が否めません。

筆者が現場で管理者をしていたときから、悪質と思われる人材紹介会社は存在していました。少なくとも、クライアントである介護事業者に寄り添ってくれていないと思われる事業者は、確実に存在していました。

その当時からもっと声を上げていればよかったのかもしれません。しかし、「今頃問題視するのは遅すぎやしないか・・」と思ってしまいます。

しかし、今そんなことを言っても始まりませんので、これからの対応に期待したいですね。

人材紹介会社だけでなく、介護事業者にも「悪質」な会社は存在します。

そのような事業者が存在すると、ご利用者様やスタッフさんたちが不利益になるわけですから、当然ながら排除しなくてはなりません。

反面、自分たちの会社の現状はどうなのか・・・

「人のふり見て我がふり直せ」の精神が必要ではないか、と改めて感じます。

国が関わって改善してもらわなくてはならないことは、お願いする。

私たちが努力すべきことは、実直に努力を重ねる。

そういう地道な努力をすることにより、今回のような悪質紹介者に屈することなく、求職者様やご利用者様、地域の皆様に支持していただける事業者に成長できるのだと、筆者は信じたいですね。

今回もお読みいただき、誠にありがとうございました。

ユニケアでは、今後も皆様にとって少しでも有益な情報が発信できるよう努力いたす所存です。

毎日暑くて大変ですが、熱中症に留意し健やかにお過ごしくださいませ。

では、次回の投稿をお楽しみに!!