2024年介護報酬改定 通所型サービスについて

こんにちは!東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。

3月もあっという間に下旬になり、筆者の住む街では小中学校で卒業式が執り行われました。

たまたま、近所の小学校の近くを歩いていましたら、卒業式が挙行されていて、在校生が吹くリコーダーのメロディに合わせて卒業生が入場するシーンが漏れ聞こえてきて、思わず涙が・・・

自分の子どもの卒業式では、いったいどうなってしまうのでしょうか笑

春は別れの時期ですが、同時に出会いの時期でもあります。

介護サービスでも、年度末は人員の出入りがありがちですし、同時に報酬改定も控えておりますので、

本日のテーマ

まもなく2024年介護報酬改定がスタートします。

訪問看護は6月のスタートになりますが、医療保険のオンライン請求・資格確認が始まることもあり、準備に余念がありません。

2024年に入り、訪問看護の報酬改定について大いに取り上げてまいりましたが、総合事業(訪問型サービス・通所型サービス)も変わってまいります。

総合事業は地域の実情に即したサービスではあるものの、基本的には横並びというところが多いようです。

しかしこのコラム執筆時では、また詳細を明らかにしている地域は少ないのが実情です。

そのような中、厚生労働総は3月15日に「総合事業に関する指針」を打ち出しました。結構大きく変わるのが「通所型」のようです。

今回は総合事業の中で「通所型サービス」について取り上げたいと思います。

最後までぜひお読みいただければ幸いです。

通所型サービスの基本的考え方

指定相当通所型サービスの基本報酬について、今回下記のような文言が加わりました。

それは、入浴介助及び運動器機能向上サービスの実施に係る費用を「包括評価とする」と記載されたことです。

入浴介助についてはもともとそうでしたが、今回「運動器機能向上サービス」も「包括報酬にて評価する」と言ってきたのです。

以下、総合事業の通所型サービスの各論についてご紹介いたします。

入浴介助

指針には、入浴介助について、下記のように示しています。

利用者自身で又は家族等の介助によって入浴ができるようになることを目的として行うこと。この際、利用者の状態や、当該利用者が日頃利用する浴室における当該利用者の動作及び浴室の環境を確認し、これを踏まえて、利用者が日頃利用する浴室に近い環境で行うことが望ましい。

と。

通所介護では、2021年改正で入浴介助加算を2区分に分け、「利用者様のご自宅で入浴ができる」を想定した入浴サービスを行う事業所を「入浴介助加算Ⅱ」で評価することになりました。

総合事業においても、要支援の方や事業対象者の方が重度化しないよう、できる限りご自宅での入力が継続できるようなサービスが求められる、ということです。

正直、なかなか難しい部分はあると思いますが・・・

これは、このあとの「運動器機能向上加算」の話につながってまいります。

運動器機能向上サービス

運動器機能向上サービスは、「利用者の運動器の機能向上を目的として個別に実施される機能訓練であって、利用者の心身の状態の維持または向上に資すると認められるもの」と定義されています。

また、運動器機能向上サービスを行う人員基準としては、「専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師等」を1名以上配置し、国内外の文献等において介護予防の観点から有効性が確認されている手法等を用いて行うこと」とされています。

ちなみに、はり師又はきゅう師もOKですが、その場合は理学療法士等の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で6月以上勤務し、かつ、機能訓練指導に従事した経験を有する者に限られます。

今回、国は運動器機能向上加算(225単位/月)を廃止し、基本報酬に包括されることになりました。

これにより、それまで当該加算を算定していなかった事業所においても、機能訓練指導員を配置して機能訓練を実施することが「必須」となります。

事業所によっては、人員基準の組み直しを迫られることになるかもしれません。

さらに問題なのは、この加算がなくなることで、報酬単位がどうなるかについてです。

このコラムを執筆している3月下旬において、総合事業に関する改定事項を公開している市区町村はほとんど見当たりません。

今後随時公開されることでしょうが、たまたま広島県尾道市のホームページに「2024年総合事業にかかる改定単位数」が掲載されていたので共有いたします。

上記を見ますと、通所型サービスの基本報酬単位数が増えていることがわかります。

しかし、運動器機能向上加算の廃止分が反映しきれていないようです。

例えば、通所型サービスA6(週1回程度利用)の場合、現行単位数と改定後単位数の差は126単位ですが、運動器機能向上225単位の6割弱です。

金額にして千円程度の減収になります。

これはあくまで尾道市の例であり、他地域においても同様の形になるとは限りませんが、これはしっかりチェックをしなければならないでしょう。

金額の大小評価については、いろいろお考えはあるでしょう。

ただ、これまで加算を算定してきた事業所については、1名あたり千円程度であっても厳しいものですし、加算を算定していなかった事業所においては、今後運動器機能向上サービスは「必須」になるわけですから、新たに理学療法士等を確保しなくてはならなくなります。

個人的な考えになってしまうかもしれませんが、もし通所介護サービスも行っている事業所(まあ、ほとんどはこのパターンでしょうが)であれば、要件緩和となった個別機能訓練加算の算定を推進する必要がありそうです。

「高齢者虐待防止措置未実施減算」「業務継続計画未策定減算」について

総合事業においても、こちらの2減算項目は適用になります。

運用についても、「介護」と全く同じ考え方といって間違いないと思います。

通所型サービスにおける「同一建物減算」

こちらについても通所介護と同様の運用になります。

ちなみに、訪問介護については同一建物減算の運用が厳しくなったわけですが、 訪問型サービスについても同様の運用になります。

なお、傷病により一時的に送迎が必要であると認められる利用者その他やむを得ない事情により送迎が必要と認められる利用者に対して一月を通じて当該サービスを提供する日ごとに送迎を行った場合は、 例外的に減算対象とならない。この場合の具体的な例及び記録等については、通所介護と同様であるので老企第36号第2の7の⒇②を参照されたい。 

送迎減算について 

利用者が自ら指定相当通所型サービス事業所に通う場合、利用者の家族等が指定相当通所型サービス事業所への送迎を行う場合など、当該指定相当通所型サービス事業所の従業者が利用者の居宅と指定相当通所型サービス事業所との間の送迎を実施していない場合は、片道につき減算の対象となることが示されています。

こちらについて、地域によっては入浴や送迎の「あり」「なし」により報酬谷数が区分されているところもすでにあります。

今回、厚生労働省が指針を示したことから、全保険者が踏襲することとなるでしょう。

さらに通所型サービスの送迎について、外部委託を行うことを認めています。

外部委託する場合は、送迎減算の適用はしないと明記しています。

ただその場合であっても、委託費の額は送迎を行わない場合の減算の額を踏まえて、指定相当通所型サービス事業者と委託先との間の契約に基づき決定することを求めています。

今回、通所介護サービスにおいても「他サービスとの同乗」などを条件付きで認めるなど、緩和策が講じられています。

ただ、送迎ドライバー不足は本当に深刻です。

送迎に伴う事故も存在し、自動車で送迎すること自体を「リスク」と捉える部分もあります。私も過去に通所介護事業所で毎日送迎車両を運転していましたので、その大変さは本当によく理解できます。

送迎サービスはいわゆる「白タク行為の例外」として特別扱いされているわけですが、送迎については事業所へ適切に評価してほしいものです。

筆者の個人的見解ですが、昔あった「送迎加算の復活」までは望みませんので、せめて送迎減算はなくしてほしいと願います。

今回は、総合事業の「通所型サービス」の改定ポイントについて取り上げさせていただきました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。 今後とも、ユニケアをどうぞよろしくお願いいたします。