こんにちは!東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。
前回、介護保険の「訪問看護初回加算」についてご案内させていただきました。
訪問看護サービスは、主治医の指示に基づき行われます。訪問看護ステーションがご利用者様に訪問看護を提供する場合は、訪問看護指示書の交付が必須になります。
私たち訪問看護ステーションでは、日ごろから主治医の先生から指示書をいただき、その内容に基づいてサービスを提供しております。これがないとサービス提供ができないので、非常に大事なものです。
指示書にはいくつか書類がありますが、今回は訪問看護指示書とはどのようなものか、特に取り扱いに注意が必要な「特別訪問看護指示書」の内容や作成要件、注意すべき点について解説します。
ぜひ最後までお付き合いいただけますと幸いです。
「訪問看護指示書」は、主治医が訪問看護ステーションに対して交付される書類になります。これは大変重要なもので、この「指示書」が交付されずに訪問看護サービスを行うことはできません。介入する保険(介護保険・医療保険)に関係なく必要です。
指示書の作成には一定のルールがあります。ルールに逸脱した状態で交付された指示書は、内容によっては無効となってしまいます。
介護サービス事業所に対して定期的に行われる運営指導(旧・実地指導)において、訪問看護指示書の交付がない(確認できない)状態で訪問されている点を指摘され、指導の対象になるケースが多発しています。場合によっては報酬返還となる可能性もありますので、十分注意しなければなりません。
訪問看護指示書以外にも、下記のように4種類の指示書が存在します。
精神科訪問看護指示書は、精神科の主治医が訪問看護の必要性を認めた場合に交付されます。精神科を標ぼうする医療機関に属する精神科医に限り交付が可能ですので、すべての医師が交付できるわけではありません。また、訪問看護指示書と精神科訪問看護指示書とを合わせて交付することもできません。
精神科特別訪問看護指示書も、基本的には特別訪問看護指示書と変わりません。服薬によって体調が悪化した場合等、主治医が「頻繁な訪問看護が必要」と判断された場合に交付されます。精神科を標ぼうする医療機関の精神科医でなければ交付できない、という点は変わりません。
また、特別訪問看護指示書のように、「条件により月2回の交付が可能」というケースはありません。精神科特別訪問看護指示書の交付回数は「月1回まで」となります。
在宅患者訪問点滴注射指示書は、週3回以上の点滴治療が必要と認められる場合、主治医より交付される指示書です。利用者1人につき交付できる点滴指示は「7日間まで」となりますが、月に何度も交付可能です。必要であれば毎日点滴の指示をすることが可能ですが、点滴指示書の有効期間は最大7日間ですので、必要に応じて都度作成し交付する形にはなるでしょう。
訪問看護指示書にはいくつか種類があると申し上げました。
訪問看護サービスを行う上で少々複雑化するのが、「特別訪問看護指示書」が交付された場合です。
特別訪問看護指示書が交付されるのは、どのようなときでしょうか。
症状の急性増悪や退院直後に、主治医の判断で「頻繁な訪問看護が必要」と判断された場合に、特別訪問看護指示書が交付されます。
介護保険については、基本的に区分支給限度基準額の範囲内であり、ご利用者様(ご家族)の同意があれば訪問看護の回数制限はありません。
しかし、医療保険で入る場合は、原則として週の訪問回数は「3回まで」となります。
特別訪問看護指示書が交付されると、週4日以上の頻回訪問や1日複数回の訪問が可能となるわけですね。
「訪問看護指示書」の取り扱いには、どのような点に留意する必要があるでしょうか?
訪問看護指示書の指示期間は「概ね1~6ヶ月」と決まっています。
指示期間が6か月を超えた訪問看護指示書は「無効」となってしまいますので、注意する必要があります。
また、指示期間の記入がない(空欄の)場合は、「発行から1か月の指示期間」とみなされます。
「主たる傷病名」の欄には、利用者の主病名を記載します。
この項目の書き方によって、訪問看護の介入が医療保険なのか、介護保険なのかが決まるため、非常に重要な項目となります。
例えば、ガンの末期状態のために「別表7」該当ということで「医療保険」での介入を考えている場合があります。
その場合、指示書に「●●がんの末期状態」の旨を記載していただく必要があります。
この記載がない場合、医療保険による算定ができなくなる可能性がありますし、返戻リスクも高まります。
非常に重要ですのでご留意ください。
また、これもよくある話なのですが、パーキンソン病のヤールの重症度分類と生活機能障害度や脊椎・脊髄疾患等の場合は、書き方によって医療保険か介護保険なのかが決まり、そこにかかる自己負担額が大きく変わってきます。
トラブルになりやすい項目なので、私たちユニケアでも注意を払っております。
必要情報の記入に加え、原本であることを証明するために捺印されていることが望ましいとされていますが、捺印のない指示書は「NG」であると心得えておいて間違いないでしょう。
指示書を記載した日付・医療機関名(住所・TEL・FAX含む)・医師名も、記載内容に誤りがないかを確認する必要があります。
医療機関によっては、他ステーションの指示書データを内容のみ変更して使いまわしているところもあり、ステーション名を修正せずに交付するようなケースもあります。
そのような指示書は当然ながら無効になります。
「そんなこと起こりえないでしょう」とおっしゃるかもしれませんが、これが結構発生しがちなのです。訪問看護側も確認し、もしこのようなことがあえれば再交付を求めることになります。
特別訪問看護指示書の交付を受ける場合も、いくつか留意すべき点があります。
特別訪問看護指示書が交付された期間は「医療保険」での算定になります。それまで介護保険での介入をしていた場合であっても、特別訪問看護指示期間中は「医療保険」で算定しなければなりません。
介護保険での訪問看護サービスを提供していて、月の途中で特別訪問看護指示書が交付されるケースはよく見られます。担当の介護支援専門員にその旨をしっかり報告し、誤った給付管理がなされないように注意する必要があります。
間違えてしまうと返戻になりますし、審査が万一通ってしまった場合は過誤申立をすることになります。いずれにせよ再請求することになり、余計な手間が増えてしまいますので要注意ですね。
先ほど少し触れましたが、特別訪問看護指示書の有効期間は「最大14日間」です。
14日を超えて交付された特別訪問看護指示書は「無効」となります。
まれに、主治医が誤って特別訪問看護指示書の指示期間を記載しているケースがありますが、再交付を依頼しなければなりません。
これも意外に起こる話でして、お忙しい主治医先生がうっかり間違えて記載されることがあるので注意ですね。
特別訪問看護指示書は、原則として月1回のみ交付が可能です。
ただし、下記の場合に限り「月2回まで」交付が可能です。
月2回特指示交付が可能なケースは、どのようなときでしょうか?
気管カニューレを使用している状態である場合
真皮を越える褥瘡の状態である場合
上記のケースについては、特別に「月2回」特別指示書を交付することが可能です。
特別訪問看護指示書の指示期間は「月またぎ」となっても問題はありません。
前月からの持ち越し指示期間に加えて、新たに特別訪問看護指示書を交付しても問題はないということです。
例えば、「真皮を越える褥瘡の処置を要するため、複数回にわたって特指示が交付される場合」を考えてみましょう。
主治医より、下記の期間で特別訪問看護指示書が交付されたとします。
特指示① 4/29~5/12(14日間)
特指示② 5/13~5/26(14日間)
特指示③ 5/27~6/9 (14日間)
上記の場合、特別訪問看護指示書が「月3回」交付されているように見えるかもしれませんが、これは交付回数として問題はありません。
理由は、上記①は前月分の持越しによるものであり、4月の交付回数は「2回」になっているからです。
医師が必要と認めれば、条件付きで「最大2回」まで特指示交付が可能ということになります。
特別訪問看護指示書が交付されても、状況によっては週4日以上の訪問が出来なくなったケースもあります。その場合はどのように対応すればよいでしょうか?
万一、特別訪問看護指示書が交付されたのに「週4回以上」の訪問ができない事態が生じた場合は、その理由を訪問看護療費明細書の「心身の状況」欄に記載すれば問題ありません。
今回は、訪問看護ステーションが訪問看護サービスを提供する上で必要な訪問看護指示書について取り上げ、その中でも「特別訪問看護指示書」を中心に解説いたしました。
訪問看護指示書にはいくつか種類があり、その内容に基づいてサービスを提供する必要があります。特に特別訪問看護指示書が交付されると、自動的に医療保険での算定に切り替わりますので、正しい運用が求められます。
訪問看護指示書には種類がいくつかありますが、特に特別訪問看護指示書の取り扱いには注意が必要です。特別指示書が交付されるはどのような場合なのか、どのようなことに留意する必要があるのか等を明確にするために、本記事をお役立ていただければ幸いです。 今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。