2024年診療報酬改定の概要(訪問看護)

こんにちは!東京都江戸川のユニケア訪問看護リハビリステーションです。

この冬、全般的には「暖冬」といわれてはいるものの、ここ数日は寒い日が続いております。皆様いかがお過ごしでしょうか?

先日は、全国各地で大学入試共通テストが行われました。

受験者数は50万人近くに及び、日本全国で行われるあらゆる試験の中で最大規模の試験です。

筆者もその昔、大学入試センター試験を受けた経験があるのですが、テストの出来が良くない科目があると一喜一憂され、不安に駆られたことを思い出します。

猛勉強の上、何とか大学に進学することはできましたが、ほろ苦い思い出がよみがえります。

受験シーズンが到来しました。

介護医療分野においても、1月には介護福祉士・社会福祉士国家試験が、2月には医療系資格(看護師・理学療法士等)の国家試験が行われます。

これまで、合格に向け頑張ってこられたと思います。挑戦される皆様、健闘をお祈りいたします!!

本日のテーマ

以前のコラムにおいて、次回のテーマを「訪問看護(医療保険)のオンライン請求」等を取り上げると申し上げましたが、今回予定を変更して「2024年診療報酬改定」の概要について、訪問看護に絞って取り上げさせていただきます。

介護報酬もそうですが、診療報酬改定(訪問看護)もかなりの大きな改定になります。

最後までお付き合いいただけますと幸いです。

2024年診療報酬改定(訪問看護)の概要

以下、中医協にて審議報告された訪問看護(医療保険)に関する改定のポイントについて解説いたします。

●管理者の責務

「提供する訪問看護の質を担保しつつ、訪問看護ステーションを効率的に運営する観点から、管理者の責務を明確化するとともに要件を見直す」ことが示されます。

具体的にどういう要件となるのかについては決まっておらず、今後明らかになります。

ポイントは、「効率的な運営」に着目している点です。

質を向上させるのは当然として、効率性も考慮するということは、介護報酬改定でも合言葉になっている「生産性の向上」にも寄与するものと考えられます。

●虐待の原則禁止

「訪問看護における虐待防止措置及び身体的拘束等の適正化を推進する観点から、虐待防止措置に関する体制整備を『義務化』するとともに、身体的拘束等を原則禁止する」こととなります。

介護の世界では、虐待は問題外で身体拘束もNGとなっており、もはや当たり前の話ですが、医療の世界では身体拘束が行われている節はあります。

もちろん、やむを得ない理由でそうしているのでしょうが、どうも医療は介護に比べて「身体拘束禁止」について考えが甘い気もします。

介護と医療が足並みを揃え、同じ温度感で語ってほしいものです。

●訪問看護管理療養費の要件・見直し

多様化する利用者や地域のニーズに対応するとともに、質の高い効果的なケアが実施されるよう、訪問看護ステーションの機能強化を図る観点から、訪問看護管理療養費について要件及び評価を見直すとのことです。

通常の管理療養費は、月の初回が7,440円で2回目以降が3000円/日となっております(機能強化型の場合は管理療養費がさらに上乗せされます)。

管理療養費には「加算」もあり、特別管理加算や24時間対応体制加算、退院支援指導加算等がこれにあたります。

具体的にどのような要件に変更され、報酬額もどうなるかわかりません。

推測ですが、「多様なニーズへの対応」「質の高いケア」「機能強化」というフレーズから、通常の管理療養費よりも上位の加算が新設(あるいは機能強化型の充実)されるような気がします。

ただ反面、機能強化型として充実させることは簡単ではありません。

筆者も多くの訪問看護ステーションの関係者様からお話をお聞きしますが、機能強化型の指定を受けている事業所はありません。敷居が高いからかもしれません。

訪問看護師を確保するのがそもそも難しいので、そこを解決しないとなかなか上位加算は算定できないのが実情でしょう。

●働き方改革・業務負担軽減のための取組に対する評価

中医協は、訪問看護ステーションにおける看護師等の働き方改革及び持続可能な 24 時間対応体制の確保を推進することに着目し、24 時間対応体制加算について、看護業務の負担軽減のための取組を行った場合を考慮した評価体系や、24 時間対応に係る連絡体制の取扱いを見直すことを示しました。

実際、24時間体制で運営をすることは本当に大変で、訪問看護師がなかなか集められない理由の一つでもあります。

連絡体制の見直しについても、今はICTの活用も進んでおりますので、うまくそういうものを活用して負担軽減を図ってほしいものです。

この部分については、具体的にどのような評価や要件になるのか、非常に気になるところです。

●緊急訪問看護加算の適正化

今般の改定では、緊急の指定訪問看護が適切に提供されるよう、緊急訪問看護加算について、要件及び評価を見直すとともに、訪問看護療養費請求書等の記載内容を見直すことになります。

いわゆるナーシング型の有料老人ホーム等において、自社で訪問看護ステーションを設置し、対象の患者様へ毎日訪問する事例が増えています。

ほとんどがルールに基づいて対応されているわけですが、一部のステーションでは月に何度も緊急訪問を「している体で」加算を算定しているところもあるようです。

実はこの実態、かねてから問題視されていました。

もちろん、緊急訪問が必要なケースは多々あるわけで、すべてがダメだということではありません。必要ないのに緊急という名目で加算を算定するということを、国は問題にしているようです。

緊急訪問看護加算の算定は、今回の改定でより厳しいものになると思われます。

●退院日の利用者に対する初回訪問

退院日の利用者の状態及び訪問看護の提供状況に応じた評価を充実させる観点から、退院支援指導加算の要件を見直すことになります。

現行ルールでは、入院先医療機関と訪問看護等との給付調整の観点から、退院日当日の訪問看護サービスについては(基本・管理)療養費の算定が出来ないことになっております。

その代わり、月の2回目の訪問(退院後2回目の訪問)の際に「退院支援指導加算」を算定できるのですが、要件が若干面倒なのが実情です。

個人的には、退院日当日の訪問について療養費算定を認めてほしいところですが、なかなかそうもいかないですね・・・

国は、退院日の訪問を推奨したい意向のようですので、こちらも要件や評価(報酬額)がどうなるのか楽しみです。

●小児ケアに関する「乳幼児加算」の評価

訪問看護において、ハイリスク妊産婦及び乳幼児の状態に応じた評価を行う観点から、今回の改定によりハイリスク妊産婦連携指導料について要件を見直すとともに、乳幼児加算について評価体系を見直す形となります。

最近は高齢者だけでなく、精神疾患患者様や小児の方も増えてきています。

筆者の知るステーションでも、乳幼児を積極的に受け入れされているところもありますが、ニーズの広がりに対してまだまだ受け入れ事業所数が少ないのが実情です。

その理由は、やはりいろいろリスクが高いからかもしれません。

最近は生まれながらにして医療的に重篤な状態になる、いわゆる「医療ケア児」の方が増えてきています。

そういう方々に対して、保護者の方へも含めてケアをするのは容易ではありません。

事業所に対して評価が充実してくれば、ケアに困ったご家族様たちがもっと利用しやすくなるのかもしれません。

●指示書様式の見直し

より質の高い医療の実現に向けてレセプト情報の利活用を推進する観点から、訪問看護指示書及び精神科訪問看護指示書の記載事項及び様式を見直すことになります。

これは、後程お示しする「オンライン請求」「オンライン資格確認」の導入に関係する話かと思います。

今後、請求が介護と同様「電子化」することになりますが、もっと医療・介護の連携を密にするために情報開示をある程度進めていくべきかと思います。

あとは、使いにくい様式にならないことを祈るばかりです。

●オンライン資格確認にかかわる情報取得や活用に関する評価

2024年6月から居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムが導入・義務化されることを踏まえ、初回訪問時等に利用者の診療情報・薬剤情報を取得・活用して、指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行い、質の高い医療を提供した場合について、新たな評価を行うことになります。

訪問看護(医療保険)のオンライン請求が義務化されることは、レセプト作業を効率化し、負担やミスを減らす意味でも非常にメリットが大きいわけですが、それ以外にも診療情報や薬剤情報を取得することにより、医療・介護事業所間で連携を図り、よりよいサービスに役立てるというメリットも考えられます。

情報管理に十分配慮する必要があるのは当然として、このような取り組みはどんどん進めていってほしいものです。

まとめ

今回は、2024年診療報酬改定について、訪問看護の部分に絞ってご案内させていただきました。

この業界も激動の時代に突入し、不安も大きいのも事実です。

しかし、常に情報をキャッチアップし、ピンチと思われることをも「チャンス」に変えるための努力を重ねていきたいと、ユニケアは考えております。

今回もお読みいただきありがとうございました。

次回以降は、以前ご案内の通り「訪問看護の医療保険オンライン請求」「居宅介護支援事業の報酬改定に関する解説」等について取り上げてまいりたいと存じます。

どうぞ、次回の投稿をお楽しみに!