介護支援専門員の法定研修が2024年度に改定へ!

こんにちは!東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。

日に日に暖かくなり、だいぶ春めいてまいりましたね!東京では桜の開花宣言もありました。

中学校や高等学校では卒業式も行われ、多くの方々が巣立っていかれました。

筆者は卒業シーズンになると、妙に感傷的になってしまいます(笑)

特にこの春に卒業される中学生や高校生は、コロナ禍と同時に入学された方々です。登校もままならず、数々の規制に苛まれて行事もできず、マスクを着用してお友達の素顔もまともに見られない生活を余儀なくされました。それを思うと本当に感極まってしまいます。

しかし、この辛さを乗り越えて卒業された皆さんには、きっと明るい未来が待ち受けていると筆者は信じております。ご卒業おめでとうございます。

本日のテーマ

2024年度は、介護報酬と診療報酬のダブル改定を予定しております。

介護報酬は3年ごと、診療報酬は2年ごとに改定がなされます。

ほかにもいろいろ動きがありまして、2024年度は介護支援専門員の法定研修が改正となる予定です。今回はかなり抜本的な改定となる見込みであり、かつ次回介護報酬改定に密接に関連するものとなるようです。

ケアマネジャーとして活動されている方については、この改定は非常に重要な情報であり、十分チェックする必要があろうかと思います。

その観点から今回取り上げさせていただきます。是非最後までお付き合いいただけますと幸いです。

根拠のある支援のための「適切なケアマネジメント」

ケアマネジャーの資質を向上させていこうという動きは、ここ数年でかなり見られております。

介護支援専門員実務研修受講試験において資格要件を厳格化され、試験も難化したことや、居宅介護支援事業所の管理者要件が厳しくなった(主任介護支援専門員。現在経過措置期間中)こと、更新制であり研修も多岐にわたっていること等を見ても、明らかではないかと思います。

2年ほど前から、国において叫ばれていることとして「根拠のあるケアマネジメント」という考え方があります。

今後ケアマネジャーには、自身が作成するケアプランにおいて「根拠のある支援の組み立て」が求められるというのです。

その基盤として「適切なケアマネジメント手法」や科学的介護(LIFE)などを学ぶ内容が、カリキュラム案として盛り込まれております。

居宅介護支援事業所に「LIFE」加算創設?!

各サービス事業所ではLIFEが導入され、それに対応する加算(科学的介護推進体制加算)を算定できるようになっております。

しかし、居宅介護支援事業においてはLIFEが導入されておりません。

筆者個人的には、LIFEはあまりうまく運用できているとは思えませんし、現状において厚生労働省の思惑通りにコトが進むのかは疑問です。

しかし、科学的介護に舵取りをするのであれば、やはりLIFEを無視することはできないでしょう。

2024年度の介護報酬改定で、居宅介護支援へのLIFE関連の加算が創設されることがほぼ確実な情勢です。

今後は、LIFEへのケアプランの提出を求められることは間違いないでしょう。

また、ケアマネジメントにおいて「PDCAサイクル」を更に進めていくが求められるでしょう。

そもそも「ケアプラン」というものは、PDCAサイクルの最たるものといってよいものです。

課題分析して、他サービスからの専門的見地を求め、利用者様に説明の上プランを決定し、実行、見直し・・・というプロセスを踏むわけです。これはまさにPDCAサイクルの真骨頂といっても過言ではありません。

サービス担当者会議を例に挙げれば、担当するサービス事業所から提供される利用者様ごとフィードバック情報を共有して検討し、必要に応じてケアプランに反映する、といったことが想定されます。

ただ、これはすでにケアマネさんは「普通」に行っていらっしゃることと思います。これを厳格化するとともに、そのメインツールとして「LIFE」を使うということですね。

国も、LIFE導入に莫大な予算を投入していますので、今さら後には引けない部分もあろうかと・・・(笑)

先程からLIFEの話をしておりますが、いよいよLIFEを活用しない事業所は取り残されてしまうかもしれません。

今後は「根拠のある支援」が求められ、その根拠の拠り所の一つがLIFEであるということであれば、それを活用しない事業所は関われなくなってしまうかもしれません。

介護サービスにおいて、LIFEの位置付けはますます強化されます。

ケアマネジャーも、よりICTを活用する力を必要とされていることは間違いないでしょう。

今後の介護支援専門員の「法定研修」はどう変わるか?

LIFEの話が長くなってしまい申し訳ありません。法定研修の話に戻しましょう。

新たな法定研修では、下記の内容が盛り込まれる見通しです。

・終末期ケアを含めた生活の継続を支える基本的なマネジメント

・疾患別マネジメントの理解として、心疾患、誤嚥性肺炎などの科目(従来のターミナルケアの科目は、「終末期ケア」に統合)。

です。

介護支援専門員は、より医療的な知識を持つ必要に迫られるということになりそうです。

なぜ、それを推進しようとしているのでしょうか。

それは、「地域共生社会の実現」と「地域包括ケアシステムの推進」の目的の1つに、要介護者の「在宅限界点を高める」ことが求められているからです。

たとえ重度化しても、すぐに介護施設へ入所させることなく、在宅ケアや在宅看取りを可能な限り提供していくこと。これが「在宅限界点を高める」ことの意味になります。

在宅限界点を高めていくために、その砦となるケアマネさんには在宅医療と在宅介護が中心となった医療・介護連携の知識を技術が求められるということです。

非常に厳しい話になってしまいますが、以前からケアマネジャーの医療的知識の不足は問題視されていたようです。この医療的な知識や調整能力の習得を、今回の研修カリキュラムの改定において重要視されていることは間違いなさそうです。

今後はケアマネジャーに求められる知識は、これだけに留まりません。

認知症ケア、ヤングケアラー、仕事と介護の両立、貧困対策等も、今回の研修改定の中に新たに盛り込まれます。特にヤングケアラー問題や「仕事と介護の両立」については、まさに現代の世相を反映した形になるということですね。

法定研修を強化すれば、すべてうまくいくのか?

細かい専門的な話はこれ位にするとして、とにもかくにもケアマネジャーには、今まで以上に専門的な知識を習得するために研鑽することが求められます。

確かに専門的知識が必要であるということは理解できるのですが、国はケアマネジャーに関する非常に根深い問題について、果たして真剣に考えているのでしょうか。

ケアマネジャーが減り続けていること、「ケアマネになりたい」という人が少なくなっていることを、国はどれだけ認識しているのでしょうか。

以前のコラムでも触れておりますが、ケアマネジャーは他サービスに比べて平均年齢が高くなっています。

その状況下で、LIFEやICT化、医療知識といった新たなスキルの修得までを求めて、果たしてケアマネさんは充足できるのでしょうか。ハードルを上げ過ぎて、肝心のケアマネジャーがいなくなってしまっては元も子もないのではないでしょうか。

冗談抜きで、地域によってはケアマネ難民が深刻な問題になっているのです。

その現状について、国は本当に理解した上でこのような負荷をかけようとしているのでしょうか。

ケアマネさんの処遇を高めようという意向はあるのでしょうか。

問題点を洗い出したら止まらなくなりそうです・・・

研修の充実以上に優先して行うべきこと

確かにケアマネジャーは、自己のスキルを高めるための努力をする必要があるとは思います。

これは、ケアマネジャーにかかわらず、どの職種でもそうですし、もっといえば介護だけでなく全業種において同じことが言えます。

ただ、ケアマネジャーという職種の魅力度を上げて、ケアマネジャーを目指す人を増やしていくことも重要な課題であり、むしろこれを最優先に取り組む必要があるのではないでしょうか。

私たちも、ここで手をこまねいているわけにはいきません。

もっともっと声を上げていかなくては、山を動かすことはできないと思っております。

統括団体である日本介護支援専門員協会におかれましては、これまでも国に対して数々の進言をされていることと思いますが、更なる力を投入することが必要でしょう。

ユニケアでは、今後も皆様にとって有益な情報をこれからもご提供してまいります。

もし、ユニケアの活動にご興味を持たれましたら、どうぞお気軽にご連絡くださいませ。一緒に働いていただける方、大歓迎です!

今回もお読みいただき、ありがとうございました。