こんにちは!東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。
世間は、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で大変盛り上がっていますね!
日本代表が順当に勝ち上がり、4連勝で決勝ラウンド進出が決まりました。素晴らしいです。
このコラムが出るころには、準決勝進出が決まっているかも!?
筆者も家族全員でテレビにかじりつき、全試合観戦しました。
時間が長く、試合終了までは見ることはできませんが、次の日のニュースが気になってしまいます。
ユニケア内でも常に話題になっています。楽しいですね。
ご利用者様は、年代的にも野球好きの方が多く、それはそれは盛り上がっています。
昨年のサッカーワールドカップもすごかったですが、今回はそれを凌ぐかも・・・
2023年、世界規模のスポーツが目白押しであることをご存知でしょうか?
世界フィギュア、サッカーアジアカップやFIFA女子ワールドカップ、ラグビーワールドカップ、世界水泳、バスケットボールのワールドカップもあります。
世界的に見ますと、ウクライナ侵攻を筆頭に情勢不安が叫ばれていますが、このようなスポーツを通じて平和が保たれるとよいな、と思っております。
本日のテーマ
毎日訪問看護を行っていると、つい忘れそうになることは出てくるものです。
しかし、どんなに多忙であっても絶対に忘れてはいけないものがあることに気づかされます。
大切なものはたくさんありますが、特に大切なものとして、介護サービスの根本である「高齢者に対する尊敬の念」があります。
今の高齢者の方々が、戦中戦後の日本を支え、終戦後荒廃した日本を立て直し、発展に多大なる貢献をされてきたことは、紛れもない事実であります。
ですから私たちは、高齢者の皆様に対し最大限の尊敬を払い、接していかなくてはなりません。
日本には「敬老の日」という祝日があります。
敬老の日は「多年にわたって社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う日」と定義されております。
アメリカにも、似たようなものがあります。9月第2週の日曜日を「祖父母の日」制定しているそうです。
話を戻し、なぜ、国民の祝日にしてまでそうするのか。
それくらい、高齢者の皆様を敬愛することが重要だからです。
繰り返しになりますが、私達は人生の大先輩である高齢者を敬い、ハンデを持ったとしても社会全体で支えていくことが国民の使命であるのです。
介護現場で見受けられること
ところが介護の現場では、それと逆行する光景がよく見られます。
高齢者に対する言葉遣いや態度です。
高齢者に対する虐待行為は論外中の論外で、絶対に許すことはできません。
高齢者に対して、ひどい口の利き方や態度を取っている介護者を、目の当たりにすることがあります。
私が過去に関わってきた現場では、ご利用者様に「タメ口」で話すことを全面的に禁止していました。
至極当たり前の話ではありますが・・・
子どもに接するような扱いは、傍から見ても非常に見苦しい。ですので、厳しく注意していました。
確かに、堅苦しく接するよりもフランクに接した方が、親近感がわいてコミュニケーションが取りやすいという考えは、理解できなくはありません。実際、「子供に接するような話しかけにしないと相手が理解できない」と主張する方もいました。
しかしそれでも、タメ口で話すことが許されるとは思えません。
フランクな関係性の中にも、高齢者に対する敬意は必要です。
敬意を払うことのないコミュニケーションは、家族ならまだしも、少なくとも介護のプロとして仕事をする上では到底あり得ません。
それなのに、高齢者に対する言葉遣いが乱れている光景を、よく目にするのです。
本当に悲しくなってしまいます。
実際にあった出来事
以下、筆者が実際に経験した出来事です。
数年前、ある老人保健施設にお伺いする機会があり、施設見学をさせていただいた時のお話です。
大変きれいで立派な建物、広々とした施設であり、ここで生活できる入所者様は幸せだろうなと思いながら見ていました。
ところが、あるシーンを目の当たりにしたのです。
それは、そこのスタッフさんがご入所者様に対して、排泄介助をされているシーンでした。
トイレは非常にきれいで出入口も広かったのですが、なんとドアを「全開」にして介助されていたのです。遠目からも丸見えの状態でした。
筆者はあまりの出来事に、一瞬目を疑ってしまいましたが、すぐに冷静になり「これは絶対におかしい」と思い、思わずそのスタッフさんに声を掛けました。「すみません、ドアが開いたままになっていますよ」と。
すると、もっと衝撃的な発言が・・・
そのスタッフさんは「あ、大丈夫です。そのほうが私が仕事しやすいんで」と。
同様のことが、施設見学中2回も目の当たりにしたのです。周囲を見ますと、スタッフの人数が少ないというわけでもなく、拝見した限りでは人手が足りないという感じではありませんでしたので、余計に驚きました。
これ、脚色は一切入っておりません。実話です。
皆さん、どう思われますでしょうか?
短時間の滞在で、このような失礼極まりない対応を3度も目撃してしまったのです。
私は不覚にも完全に頭に来てしまいました。これは、完全に「虐待行為」ではないか、と。
一瞬、行政に告発しようかとも考えましたが、さすがに控えました(笑)。
しかし、これを許すことなど到底できず、施設見学の最後に事務長の方に対し、率直に申し上げました。
ワンオペの状態というわけではないのに(それも言い訳には当然できませんが)、排せつ中の入所者様に配慮せず、ドアを全開にして介助するとはいくら何でもひどい、と。
その事務長の方は、真剣に筆者に謝ってくださいましたが、筆者は「謝る対象は私ではなく、辱めを受けたご入所者様です」とはっきり申し上げました。失礼かとは思いましたが、あまりにひどかったので抑えられませんでした。
その後、この施設はこの出来事にどう向き合われたのかは知る由もありませんが、全くもってあり得ない話であります。
ここまでくると問題外であるが、程度の差こそあれ、高齢者の方々に対するぞんざいな態度や失礼な言動はあちこちで行われているのか、と思うと悲しくなるのです。
ユニケアが実践していること
ユニケアでは、いろいろな研修を定期的に行っておりますが、特に接遇については大変重要視しております。
それは、訪問看護サービスの基本中の基本であると考えているからです。
つい先日も、スタッフに対して「クレーム対応研修」を実施いたしました(詳しくは過去記事をご覧くださいませ)。
クレーム対応と高齢者を敬うこととは、少しニュアンスが異なるかもしれません。
しかし、密接な関係があると私たちは思います。
まず、そもそも高齢者に対する尊敬の念を持ち合わせていない方、あるいは尊敬の念など必要ないと思っている方については、それ以上申し上げることはありません。厳しい言い方ですが、そのような方にはこの仕事は向いていないと思うからです。
しかし、介護現場の方は本当に毎日忙しくされているため、時に気持ちの余裕がない場合もあります。
過去記事では、以下のように書かれております。
サービス業に当たる人材は、自身の中に持つ(受ける)ストロークのうち8割が「プラスのストローク」でないと、他人に対して質の高いサービスの提供ができなくなるとも言われているそうです。
つまり、一種のサービス業ともいえる他者との関わりの多い訪問看護において、いかにスタッフ同士が「プラスのストロークを与え続け合えるか」ということが、日ごろの関わりやクレーム時の対応において重要視される点であると言えます。
自分に余裕のない人は他人にも優しさを持つことができず、逆に自分に余裕のある人は他人に優しさの気持ちを分け与えることができます。
と。
「忙しいから余裕がない」という状態が恒常的に存在していると、顧客満足度を高めることは難しいということです。
ですので、簡単なことではありませんが、常に気持ちに余裕を持つことが非常に重要です。
仕事に負荷をかけすぎないこと、しっかり心と体を休ませること、自分の好きなことを存分に楽しむこと・・・
これが十分できていない集団は、サービスの質自体を下げてしまうということです。
私たちユニケアでは、このことをとても大切にしております。
頭では「高齢者を敬うことが重要だ」と思っていても、気持ちの余裕がないと、自分が予期しないときに失礼な態度を取ってしまうということなのですね。気をつけなくてはなりません。
まとめ
介護ブロガーとして有名な「菊池雅洋」さんという方が、著書「介護の誇り」にて以下のようにご紹介されております。
利用者に「タメ口」で話しかける人々は、その様子を見て、家族が何も感じないと思っているのだろうか。それとも家族の目には、職員が「タメ口」で話しかけている姿が、親しげな関係を表していると映って、喜ばれていると思っているのだろうか。勘違いするなと言いたい。その場面を自分自身に置き換えたらどうだと言いたい。
介護施設は、今まで接遇に気を遣ったりしなくても顧客確保に苦労せず、運営できる状態が長く続いた結果であろうと思う。
と。
措置から介護保険に変わり、民間の参入を認めたことにより、介護サービスの質は劇的に変わりました。
措置時代のことは筆者も経験がないのですが、必要最低限のサービスしか提供されず、そこには「サービスの質」について問われることはほぼなかったと聞いたことがあります。
それが、介護保険制度が始まったことにより、競争原理が生まれました。企業はお客様に自社サービスを選択していただくために、よいサービスを提供しようという考え方が出来上がったのです。
しかしそれでも、「福祉の世界に利益を持ち出すなんてありえない」「利用者を食い物にするのか」という考え方も、いまだにあるようです。筆者も昔、同じようなことをスタッフに言われたことがあります。
菊池雅洋さんは、このことを見事に発信されています。
いかなる理由があろうが、高齢者をぞんざいに扱うことなど、絶対にあってはならないのです。
筆者は、この「介護の誇り」という本を実際に読み、心動かされました。ぜひ皆様もお読みいただければと思います。
今回は、「高齢者を敬うこと」というテーマを取り上げさせていただきました。
お読みいただき、誠にありがとうございました。
ユニケアの取り組みにご興味のある方、お気軽にお問い合わせくださいませ!