こんにちは!東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。
先日は東京の最高気温が20度を超え、春一番が観測されました。本当に暖かい一日で、春の兆しが見え始めた印象です。
ただ、その次の日は冬に逆戻り!服を選ぶのが本当に大変です。
寒暖差により、体調を崩す方が増えています。
私たちユニケアの訪問看護師も、ご利用者様の体調の変化には常に敏感です。
関係者の方々と連携を取り、急変時には迅速かつ確実な対応ができるように努めています。
体調管理は、ご利用者だけでなく、私たちのようなサービス従事者も同じくらい重要になります。
訪問看護師やセラピスト、事務員含め、サービスにかかわる人々は全員同じ「チーム」です。一人として欠かすことができない大切な仲間です。
皆が元気で楽しく、自分たちの力をいかんなく発揮できるような職場環境を作っていくことがとても大切だと、ユニケアは考えます。
1月に中医協(中央社会保険医療協議会)が発表した、「2024年診療報酬改定の『個別改定項目』」について、本コラムでは取り上げました。
しかし当時は大まかな方針のみが示されており、具体的な報酬額については明らかになっておりませんでした。
先日2月14日に行われた中医協総会において、ついに個別改定項目における具体的な報酬額が示されましたので、これは本コラムでお伝えする必要があると考え、今回取り上げることといたしました。
前回コラムと内容が多少重複する部分もありますが、ご容赦いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
①訪問看護管理療養費(月の1回目・2回目以降)の要件・見直し
多様化する利用者や地域のニーズに対応するとともに、質の高い効果的なケアが実施されるよう、訪問看護ステーションの機能強化を図る観点から、訪問看護管理療養費について要件及び評価を見直され、下記の通り報酬額(案)が示されました。
●月の初日の訪問の場合
イ 機能強化型訪問看護管理療養費1 13,230円
ロ 機能強化型訪問看護管理療養費2 10,030円
ハ 機能強化型訪問看護管理療養費3 8,700円
ニ イからハまで以外の場合 7,670円
となります。
「機能強化型訪問看護管理療養費1」の基準として、専門の研修を修了した看護師を配置する」ことが示されています(経過措置あり)。
●月の2日目以降の訪問の場合 (1日につき)
イ 訪問看護管理療養費1 3,000円
(訪問看護管理療養費1の基準)
訪問看護ステーションの利用者のうち、「同一建物居住者」が占める割合が7割未満であって、
・別表第七に掲げる疾病等の者及び別表第八に掲げる者に対する訪問看護について「相当な実績」を有すること。
または
・精神科訪問看護基本療養費を算定する利用者のうち、GAF尺度による判定が40以下の利用者の数が月に5人以上であること。
ロ 訪問看護管理療養費2 2,500円
(訪問看護管理療養費2の基準)
訪問看護ステーションの利用者のうち、同一建物居住者であるものが占める割合が「7割以上」であること又は当該割合が7割未満であって「別表7・8に該当する者への訪問看護への相当な実績」「GAFスコア40以下の利用者が数か月で5名以上対応」のいずれにも該当しないこと。
とされました。
今後は、医療依存度の高いご利用者様への対応を積極的に行わない事業者について、管理療養費の減額から「減収」へと転じてしまう可能性があります。
また、サ高住や住宅型有料老人ホームの入居者様へのサービスをメインとする訪問看護ステーションも、厳しい改定となりそうです。
反面、専門性の高い看護師を配置して、ターミナルケアや看取りを積極的に行う事業者については高い報酬を設定することで評価するという、非常にわかりやすい形になりそうです。
しかし、機能強化型を算定するのは非常に厳しく、簡単にはいかないのも現実です。
少なくとも筆者が知る限り、機能強化型を標榜する訪問看護ステーションは聞いたことがありません。
②働き方改革・業務負担軽減のための取組に対する評価
中医協は、訪問看護ステーションにおける看護師等の働き方改革及び持続可能な 24 時間対応体制の確保を推進することに着目し、24 時間対応体制加算について、看護業務の負担軽減のための取組を行った場合を考慮した評価体系や、24 時間対応に係る連絡体制の取扱いを見直すこととなりましたが、今回具体的な指針が示されました。
【24時間対応体制加算(訪問看護管理療養費)】
イ 24 時間対応体制における看護業務の負担軽減の取組を行っている場合 6,800 円
ロ イ以外の場合 6,520 円(現行は6,400円)
(上記イを算定する基準)
24時間対応体制における看護業務の負担の軽減に資する十分な業務管理等の体制が整備されていること。
24時間対応体制における看護業務の負担軽減の取組に関する内容のうち、ア又はイを含む2項目以上を満たしていること。
ア 夜間対応した翌日の勤務間隔の確保
イ 夜間対応に係る勤務の連続回数が2連続(2回)まで
ウ 夜間対応後の暦日の休日確保
エ 夜間勤務のニーズを踏まえた勤務体制の工夫
オ ICT、AI、IoT等の活用による業務負担軽減
カ 電話等による連絡及び相談を担当する者に対する支援体制の確保
と示されています。
これを満たすには、ICTの導入に対して相応の投資をするだけでなく、訪問看護師の増員(ある程度の質が担保された訪問看護師)の確保が欠かせない気がします。
もし新たな24時間加算を算定するとなれば、1名あたりの増収は単純計算で400円増えます。ご利用者様が100名入れば、月40,000円の収入増です。
これを取得するために、上記の基準を満たすこと可能かどうか・・・
今回は幸いなことに、従来の24時間加算が実質増額されますので、この部分だけみても非常に明るい材料かと思います。
③緊急訪問看護加算の適正化
今般の改定では、緊急の指定訪問看護が適切に提供されるよう、緊急訪問看護加算について、要件及び評価を見直すとともに、訪問看護療養費請求書等の記載内容を見直すことになりますが、今回具体的な報酬額が示されました。
【緊急訪問看護加算(訪問看護基本療養費)】
イ 月 14 日目まで 2,650 円
ロ 月 15 日目以降 2,000 円
(算定の要件)
・緊急訪問看護加算を算定する際に、利用者又はその家族等が求めた内容、主治医の指示内容及び緊急の指定訪問看護の実施内容等を記録することを明確化する。
・緊急の指定訪問看護を行った理由について、訪問看護療養費明細書の備考に記載を求める。
となりました。
月の算定を「14回」で区切り、それを超えた(15回目以降)場合は加算が減ることになります。
それだけでなく、緊急訪問した理由を明細書に記載しなければならなくなります。
いわゆるナーシング型の有料老人ホーム等において、自社で訪問看護ステーションを設置し、対象の患者様へ毎日訪問する事例が増えています。
ほとんどがルールに基づいて対応されているわけですが、一部のステーションでは月に何度も緊急訪問を「している体で」加算を算定しているところもあるようです。
緊急訪問加算は、「利用者(家族)の求めがある」ことが前提であり、これを無視して勝手に訪問し、緊急加算を算定するのはダメだ、というわけです。
しかし個人的には、「緊急性」を要するか否かは現場が一番よく把握しているはずですし、ましてやその場を見ていない第三者が「緊急性」の是非を問うのは少々お門違いではないか、とも思います。
この措置は、やみくもに加算を算定するごく一部の事業所が存在することによるものでしょう。それを思うと、理屈は理解できても、まじめにサービスを提供する大多数の事業所にとってはやるせない部分もあります。
④退院日の利用者に対する初回訪問
退院日の利用者の状態及び訪問看護の提供状況に応じた評価を充実させる観点から、退院支援指導加算の要件を見直すことになります。
現行ルールでは、入院先医療機関と訪問看護等との給付調整の観点から、退院日当日の訪問看護サービスについては(基本・管理)療養費の算定が出来ないことになっております。
その代わり、月の2回目の訪問(退院後2回目の訪問)の際に「退院支援指導加算」を算定できるのですが、要件が若干面倒なのが実情です。
今回、
「退院日に在宅での療養上必要な指導を行った場合(長時間の訪問を要する者に対して指導を行った場合にあっては、1回の退院支援指導の時間が90分を超えた場合 又は複数回の退院支援指導の合計時間が90分を超えた場合」
というように、「複数回の退院支援指導の合計時間」まで含めて90分を超えた場合にも、退院支援指導加算を算定することができるようになります。
⑤小児ケアに関する「乳幼児加算」の評価
訪問看護において、ハイリスク妊産婦及び乳幼児の状態に応じた評価を行う観点から、今回の改定によりハイリスク妊産婦連携指導料について要件を見直すとともに、乳幼児加算について評価体系を見直す形となります。
【乳幼児加算(訪問看護基本療養費)】
・1日につき1,300円
・別に厚生労働大臣が定める者(超重症児又は準超重症児 、 別表7または8該当する場合 1,800 円
となります。
⑥指示書様式の見直し
より質の高い医療の実現に向けてレセプト情報の利活用を推進する観点から、訪問看護指示書及び精神科訪問看護指示書の記載事項及び様式を見直すことになります。
今後は、
「当該訪問看護指示書等には、原則と して主たる傷病名の傷病名コードを記載すること」
が示されました。
主治医の先生に対し、訪問看護指示書の作成・交付について一層のご理解をいただく必要がありそうです。
いまだに指示書を「手書き」交付している医療機関もありますが、この改定により今後どうなっていくのか・・・
⑦オンライン資格確認にかかわる情報取得や活用に関する評価
2024年6月から居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムが導入・義務化されることを踏まえ、初回訪問時等に利用者の診療情報・薬剤情報を取得・活用して、指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行い、質の高い医療を提供した場合について、新たな評価として下記の加算が新設されます。
訪問看護医療DX 情報活用加算 50 円(1月に1回まで)
です。
[対象患者]
訪問看護管理療養費を算定する者
[算定要件]
・地方厚生局長等に届け出ること
・訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く。)が、法令に基づく電子資格確認により、 利用者の診療情報を取得等すること
・これに基づき、指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行うこと
[施設基準]
(1)省令に規定する「電子情報処理組織の使用による請求」を行っていること。
(2)法令に規定する「電子資格確認を行う体制」を有していること。
(3)医療DX推進の体制に関する事項及び質の高い訪問看護を実施するための十分な情報を取得し、及び活用して訪問看護を行うことについて、当該訪問看護ステーションの見やすい場所に掲示していること(原則として、ウェブサイトに掲載していること)。
[経過措置]
2024年5月 31 日までの間に限り、ウェブサイトへの掲載でなくても基準を満たしているとみなす。
となります。
加算がたった50円か・・・と少しがっかりしましたが、オンライン請求・資格確認の導入により返戻リスクやその他の手間が軽減できることを考えれば、そのメリットのほうが大きいので「50円」でも納得できますね。
今回は、2024年診療報酬改定(訪問看護)について、1月のコラムの「続報」としてご案内いたしました。
一部、前回コラムと同じ表現・文章の重複があったと思いますが、今回の変更点と関連づけてご案内したかったため、あえてそのようにいたしました。ご容赦くださいませ。
ユニケアでは、今後も皆様にとって有益な情報をお届けすべく、精力的に本コラムを発信してまいりたいと考えております。ぜひ、次回の投稿をお楽しみいただければ幸いです。
そして、ユニケアの活動に少しでも興味を示していただけた方、ぜひご連絡くださいませ!
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。