訪問看護にも応用できるか?「Edtech(エドテック)」という考え方

こんにちは!東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。

早いもので、2月も下旬にさしかかりましたね。

今年は暖冬といわれておりますが、東京地方の桜の開花は3月中旬になるそうです。

少し前までは、桜といえば「新入学」がよくイメージされていました。

筆者が子どもの頃も、入学式のシーズンには桜が満開で、感慨深かった思い出があります。

しかし近年では、地球温暖化が進行しているせいなのか、入学シーズンには桜が散ってしまっているイメージがあるように思います。

桜は、春の季語といっても過言ではありません。

私たちユニケアの訪問看護師・セラピストも、日々奔走しつつも季節の味わいが感じられるよう、気持ちの余裕を持っていたいものですね。

本日のテーマ

周辺では今もなお、コロナやインフルエンザに感染する方が後を絶ちません。

私たちも普段からマスクを着用し、手洗いや消毒もこれ以上できないという位しっかり行っています。世界的にコロナが落ち着いたといわれる現在においても、私たち訪問看護サービスの日常は何ら変わりません。

筆者も2021年にコロナに感染し、非常に苦しい思いをしました。

実際に感染した方は本当に大変だったかと思いますが、それ以上に大変だったのは、これまでの「日常」が「非日常」になってしまったことではないでしょうか?

このように、コロナ禍は私たちの生活を大きく一変させました。「一変」という言葉を使いましたが、むしろ、よくないことの方が多かったかもしれません。

しかし、コロナ禍の発生で「よかった」と思えることがあります。それは、テクノロジーの導入が進んだことです。これは皆さんも実感されるのではないでしょうか。

コロナ禍の発生で、私たちの生活は非常に厳しい状況に追い込まれましたが、テクノロジーの導入により、直接出向かなくてもオンラインでの打ち合わせが可能となったり、リモートでも仕事ができる様々なツールが確立されたりしてきています。

筆者は最近「Edtech(エドテック)」という言葉を耳にしました。

当初、「江戸テック」という東京情緒あふれたアミューズメントか何かかと思いましたが、全然違います笑。

コロナ禍をきっかけに、教育とテクノロジーを組み合わせてイノベーションを創出する「Edtech(エドテック)」が注目されているそうです。

近年では、企業内教育にも応用する動きもあるとのこと。

今回はEdtechの概要についてや、企業内教育、特に訪問看護をはじめとした介護事業所において取り組めそうなことなどについて、一緒に考えていきたいと思います。

どうぞ最後までお付き合いいただけますと幸いです。

Edtechの定義とその背景

EdTechとは、教育を意味する「Education」と技術を意味する「Technology」を組み合わせた造語です。テクノロジーによって教育分野に変革(イノベーション)をもたらずサービス・技術のことをさします。

もともとは、学校教育へイノベーションをもたらす、という考え方が発祥なのですね。

コロナ禍により、それまで当たり前とされていた日常生活が制限され、学校も軒並み休校となりました。

しかしこれを契機に、これまで問題視されていた旧態依然とした教育の現状や一斉授業による教育の画一化、教員の業務負担過多・地域による教育格差の問題について向き合うようになり、それを解決するためにテクノロジーを駆使したサービスが導入されました。

現在では学校においても、オンライン授業やタブレットの貸与、学習支援アプリの導入が進み、出欠席管理などのアプリ導入で教員の業務負担軽減にも寄与しているようです。

Edtechの考え方は教育現場のみにとどまらず、企業内教育においても動きが近年急速に取り入れられています。コロナ禍を契機に、企業内においても出社ができずにリモートワークの導入が拡大されてきたことは、皆さんもご承知の通りでしょう。

法人・企業向けのEdTechとして「ビジネス知識」「ITスキル」「マネジメント」「資格取得」「語学習得」「メンタルヘルス」など多岐にわたります。

このように、Edtechは学校教育の現場での話に留まらず、生涯学習、企業の人材育成・研修まで、あらゆる領域に「学び」の仕組みを提供できるビジネスやサービス、ベンチャー企業などの総称であるといってもよいですね。

これは、私たちが関係する「介護」「医療」の世界においても、決して無関係とは思えません。

来年度(2024年度)の介護報酬・診療報酬改定において盛んにいわれていることの一つに、「生産性の向上」が挙げられます。

今回は介護・診療報酬ともにプラス改定となりましたが、社会保障の財源は無限ではありません。有限です。

今後も報酬は増えていくのかはわからず、むしろ「マイナス」に転じると思っていたほうがよさそうです。その可能性は、今後十分に秘めています。

生産性を高めるためには、「効率化」と「質の向上」という一見するとトレードオフと思えるようなことを、同時に満たしていかなくてはならないということです。

Edtechの具体的な学習形態

EdTechにおける学習形態としては、「オンライン学習」「学習管理」「アダプティブラーニング(適応型学習)」があり、企業内の人材教育に威力を発揮しています。

では、それぞれどのような特長があるのでしょうか。以下ご紹介いたします。

オンライン学習

「オンライン学習」はインターネット環境とデジタル端末による学習システムであり、場所や時間の制約が少なく負担軽減が可能となります。

私たちの日常生活において、結構「オンライン」は浸透しつつありますね。

学校におけるオンライン授業もそうですし、打ち合わせ等で今ではZoomやGoogleMeetを使って遠隔でも可能となっております。

介護現場においても、いまやサービス担当者会議などでオンラインを駆使した対応をされることも珍しくなくなりました。医療では「オンライン診療」も行われています。

資格取得に向けて勉強される方も多いかと思いますが、少し前までは勉強するには大量のテキストを用意し、机に向かって書いて勉強するという手段しか、基本的にはありませんでした。

しかし今では、パソコンだけでなくスマホやタブレットといった様々なデバイスを駆使して、いつでもどこでも学習できる環境があります。移動中でも、家事をしながらでも学ぶことができるのです。

オンライン学習であれば、いつでもどこでも学べるということで、まさにテクノロジーが生み出したイノベーションそのものです。

 学習管理

「学習管理」では、社員一人ひとりの学習状況や習熟度などを把握し、情報の一元管理や教育プログラムの運用を可能にするシステムが存在します。複数の管理者が情報共有でき、今後の学習計画を立てやすくなるのが特長です。

以前のコラムでもご紹介したと思いますが、2024年6月に「介護職員処遇改善加算」が一本化されます。

新しい処遇改善加算のテーマはいろいろありますが、新たに導入された考え方に、「生産性向上」があります。この「生産性向上」という言葉、ここでも登場してまいりますね。

スタッフさんごとに学習目標を設定し、学んだことが学習目標においてどの程度習熟度が進展しているのか、なかなか可視化することは困難です。

しかしEdtechを駆使することにより、スタッフごとのレベル確認や目標達成度が一目でわかるようになります。このようなツールは世に存在しています。

アダプティブラーニング

アダプティブラーニングは「適応型学習」とも呼ばれます。

学習者に合わせた最適な学習内容を提供する手法であり、より効率的な学びを実現できるシステムのことです。学習者の状況に合わせ、一人ひとりにカスタマイズした学習が提供できる点が特長です。

社員のスキルや経験は、人それぞれ異なります。

画一的な教育も大事かもしれませんが、やはりその人にあった教育内容を構築して実施していくことが重要です。

しかし、それを人間の頭だけで組み立てるのは、なかなか難しいものがあります。

教育内容をカスタマイズできるシステムが活用できれば、かなり魅力的なように思えます。実際にそのようなツールも世に出回っています。

介護サービスにおいて考えられるEdtechの事例

ドクターメイト社という会社が展開されている「DM STUDY」というものがあります。

これは、介護職の方に対して医療知識を習得するための学習支援システムです。

動画コンテンツも豊富で、研修企画に悩む必要がないばかりか、学習の進捗管理もできる機能があるようです。「人事考課にも応用可能」と、ホームページには記載されていました。

医療知識に不安を抱える介護職の方は多いと思います。このツールで楽しく学べ、知識を習得して仕事にも活かせ、研修企画の手間も軽減できるのであれば素晴らしいですね。

実際、医療知識が豊富な介護スタッフが増えれば、介護サービスの質は確実に高まるでしょう。

またジョブメドレー社が運営されている「ジョブメドレーアカデミー」というものもあります。

このシステムも、スタッフ研修を支援するもののようです。職員の研修受講状況や理解度についても把握可能な機能があります。

また、訪問介護における「特定事業所加算」の算定支援も行えるようです。今回の報酬改定では、非常に悔しいことに基本報酬が下げられることになりました。このサービスでは加算取得に関する全フェーズをサポートしてくれるので、この厳しい状況下で高い加算を算定することができれば、収益に貢献してくれるものと思います。

サービス利用においては費用は当然かかります。しかし、総合的な収益貢献につながるものであれば、このようなサービスを先行的に活用することもよさそうです。

まとめ

EdTechサービスを企業内教育に導入すれば、負担が軽減できるだけでなく社員一人ひとりのペースで隙間時間を活用した学習が可能となり、組織全体のスキルアップが期待できます。

前述した通り、介護や医療の現場においてもこの考え方は非常に重要だと筆者は考えます。

スタッフがいつどこにいても、職場での仕事に必要な知識を習得することができ、その進捗や達成度合いを可視化することができれば、より精度の高い人事評価ができるかもしれません。

同時に、全体の業務を効率化でき、ひいてはスタッフの働き方をよい方向に変えていける可能性があるように思えます。

学ぶ人材教育において企業が抱える課題を解決するため、EdTechについて考えてみるのもよいと思われます。

ユニケアでも、いろいろ考えていければと思っております。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次回の投稿をどうぞお楽しみに!!