訪問看護にも使える?「補助金」と「助成金」の違いとは何か

こんにちは!東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。

あっという間に2月となりましたね。

先日は東京でも結構な雪が降り、私たちユニケアの訪問看護師たちも訪問に少し支障をきたしましたが、何とか乗り切ることができました。

その後、雪が凍結することもなく、影響は最小限だったようでよかったです。

筆者も昔、雪が降った翌日に歩道橋の階段を下っていて、滑ってしまって危うく落下しそうになったことがありました。

幸い何事もなかったのでよかったものの、一瞬「自分の人生は終わった」と思ったのを思い出します。

筆者の人生はまだ続いていますが笑、皆様もどうか凍結による転倒にはお気をつけくださいませ。

本日のテーマ

介護事業を経営している方や、事業管理を行う責任者の方でしたら「助成金」「補助金」という言葉はお聞きになったことがあるかと思います。

しかし、補助金と助成金の違いについて、明確に理解している方は意外と少ないようです。

実際、「助成金」や「補助金」という言葉は耳にするものの、税理士さんや社労士さんにすべてお任せし、いわれた通りに書類を準備して申請してもらい、お金をいただいたという経営者の話は聞いたことがあります。

「補助金」「助成金」の区別がつかず、よく理解できていないとしたら、もしかしたらかなりもったいない話なのではないか、とは思いませんか?

今回は、「補助金」と「助成金」がどういうものであり、その違いは何なのかについて取り上げたいと思います。

ここ最近、介護報酬・診療報酬改定の話題が続きましたが、ユニケアのコラムは介護経営者の方にも結構読んでいただいているようです。

ぜひ最後までお付き合いいただけますと幸いです。

補助金と助成金の共通点

補助金と助成金は非常によく似ていますが、実際は両者には違いが結構あります。

国が予算をつけて支給する点でも共通しますが、管轄や用途によって種類はさまざまです。返済不要ということもあって有効な資金調達手段の一つですが、申請から受給までの流れや注意点はしっかり理解した上で活用する必要があります。

「助成金」とは、主として厚生労働省が管轄しており、雇用調整助成金・キャリアアップ助成金・業務改善助成金などがあります。これに対して「補助金」とは、主として経済産業省・中小企業庁が管轄するもので、小規模事業者持続化補助金・IT導入補助金・事業再構築補助金などがあります。

助成金と補助金との共通点として、融資とは違うため、返済の必要がない上利息もかからない点が挙げられます。

返済がいらない、利息を払う必要がないというのは、非常に大きなメリットですね。

また、大きな事業や労働環境の整備に役立つ点や、企業の健全な発展に寄与することを目的に、国が予算をつけて行う事業であることなども両者は共通しています。

補助金と助成金の違い

では、補助金と助成金の違いには何がありますでしょうか?

助成金は、財源が「雇用保険料」であり、主として雇用や労働環境の改善が目的である点です。助成金は申請をして不備がなく(あるいは補正され)、最終的に問題がなければ受理され、原則として受給が可能です。

ただ、給付額が補助金よりも小さめ(数十万~数百万程度)なのはデメリットかもしれません。

これに対して補助金の場合は財源が「税金」であり、新規事業の支援や地域振興、公益につながる事業の促進などが主な目的となります。

該当する企業や事業者に対して費用面でのサポートを行う性質があり、個人事業主や中小企業が主な対象となります。給付額も助成金に比べると非常に大きめであり、金額にして数百万から数十億円とさまざまです。

 補助金の申請者について、管轄省庁(出先機関)が事業計画等の申請書類を審査し、採択企業を決定します。申請に不備がなければ必ず採択されるというものではなく、コンペの結果採択されない可能性もあります。

補助金・助成金を活用する上での注意点

助成金・補助金活用にあたり、どのようなことに注意する必要があるのでしょうか。

以下、注意点をご紹介いたしましょう。

まず、補助率や助成率が「2/3」や「1/2」などと設定されており、基本的にかかった費用が全額支給されないという点です。補助金などで賄えない分は自己資金や融資による調達が必要です。

また、申請から支給までのスパンが長いため、一時的にかかった費用を立て替える必要がある点も重要です。内容によっては支給が申請後1年以上先のものもあるため、資金繰りは避けらないでしょう。

さらに、申請にあたっては膨大な書類を作成しなければならない点も見過ごせません。

申請しても1回で受理されることはほとんどなく、何度も何度も補正を求められることがあります。そのため、事務負担が膨大になることも考えられます。

上記のように、申請書の作成や提出について、申請通貨から補助金・助成金事業の実行、そして実績報告等の処理などのステップがあり、これをすべて対応してようやく受給ということになります。

さらに、補助金や助成金はその財源が税金・社会保険料であるため、公平性の観点から不正受給は許されません。過去に不正受給で厳罰に処せられた企業も多くあり、安易な取り組みは禁物です。不正受給を指摘された場合、基本的には以後の補助金・助成金を受けることはできなくなります。

介護関連で活用できそうな補助金・助成金

人材確保等支援助成金

人材確保等支援助成金とは労働環境を向上させ、働きやすい職場づくりを目的とする助成金で、実際に労働環境の改善に取り組み、目標を達成した場合に助成金が支給されます。

助成金の内容は「雇用管理制度助成コース」や「人事評価改善等助成コース」など9つのコースに分かれ、2021年からは「テレワークコース」が新たに新設されました。受給するためには計画書を作成して提出し、認定を受けてから各コースが規定する条件を満たす必要があります。

キャリアアップ助成金

非正規雇用社員の処遇改善や、正社員化の取り組みに対して支給される助成金がキャリアアップ助成金です。有期契約社員や短時間労働者、派遣社員など、正社員ではない労働者の労働意欲を高め、雇用の確保を図りたい事業者に向いています。

「正社員化コース」「賃金規定等改定コース」など7つのコースがあり、正規雇用への転換や賃金、手当などの処遇改善を行った事業者に助成金が支給されるのです。受給するためには、キャリアアップ管理者を設置して3年以上5年以内の計画期間を設定しなければなりません。計画には、全労働者の代表者の意見も反映させる必要があります。

人材開発支援助成金(介護福祉機器助成コース)

介護福祉機器の導入で従業員の離職率の低下に取り組む事業主に対し、離職率低下が達成できた場合に支給される助成金が、人材確保等支援助成金 介護福祉機器助成コースです。2021年3月までは機器導入により労働環境の改善が図られた場合も支給対象でしたが、そちらは廃止され、4月以降は離職率低下の目標を達成した場合のみが助成対象となっています。

支給されるのは導入した機器の費用の20%で、上限は150万円です。導入した結果、生産性が上がった場合には、申請により費用の35%が支給されます。

IT導入補助金

経済産業省が主催し、ITツール導入した中小企業・小規模事業者を対象に支給される補助金がIT導入補助金です。ITツールとは、業務効率化のため、新たに導入するソフトウェア製品やクラウドサービスのこと。導入に際してのサポート費用や設定費用も補助の対象に含まれます。

従来あるA・B類型に加え、2020年度からは低感染リスク型ビジネス枠としてC・D類型も追加されました。金額は30万円~450万円の範囲で設定され、補助対象経費のうちA・B類型は1/2、C・D類型は2/3の範囲で補助金が支給されます。

導入に際しては、商工会議所などの支援機関に経営課題や課題解決のためのITツールについて相談することが第一のステップです。そのあと、導入したいITツールを決定し、審査を経て採択されれば補助が行われます。

介護ロボット導入支援補助金

介護ロボットの普及促進のため、機器を購入する介護施設に対して支給される補助金が介護ロボット導入支援補助金です。

ロボットとは、情報を「感知」して「判断」し、「動作」するという3つの要素技術を持つ、知能化した機械システムを指します。このロボット技術が応用されたのが介護ロボットで、利用者の自立支援や介護するスタッフの負担軽減に役立つ介護機器です。最新技術を活用した介護ロボットは市場化されて間もなく、高額で導入しづらいという課題があります。そのため、介護ロボット導入支援事業を推進している自治体も少なくありません。

【参考】訪問看護療養費のオンライン請求・資格確認に関する補助金

2024年6月から、訪問看護(医療保険)の請求については「オンラインによる請求」「オンラインによる資格確認」が実施され、義務化されます。

オンライン資格確認・オンライン請求を導入するに当たっては、安全性の高い回線(IPVPN接続方式またはIPsec+IKE接続方式)が必要になります。また訪問先で利用するモバイル端末の導入や、レセプト作成用端末(レセコン)の改修などの費用が必要になります。

このことを踏まえ、厚生労働省は42.9万円を上限に財政支援(10分の10補助)を行うことになりました。最近その詳細が示されましたので、本コラムでも紹介させていただきます。

これも立派な補助金であり、私たちユニケアでも存分に活用したいと考えております。

まとめ

補助金・助成金は申請も複雑なものが多く、受給までに時間がかかるなど注意点も多いですが、返済不要の資金調達として有効な手段となり得ます。

これを機に研究し、自社の実情にあった助成金や補助金の活用を検討するのもよいかもしれませんね。

ユニケアでは、今後も皆様にとって有益な情報をお届けすべく、精力的に本コラムを充実してまいりたいと考えております。ぜひ、次回の投稿をお楽しみいただければ幸いです。

そして、ユニケアの活動に少しでも興味を示していただけた方、ぜひご連絡くださいませ! 今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。