訪問看護ユニケアが考える「フレイル」

こんにちは!東京都江戸川のユニケア訪問看護リハビリステーションです。

本当に寒い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

この記事を執筆したのはクリスマス直前でしたが、晴天ながらも本当に気温が低く、乾燥も相当なものです。

小学校でもインフルエンザ等が流行っており、学級閉鎖や学校閉鎖が相次いでおります。

もうすぐ学校も終わり、冬休みが始まります。クリスマスもありますので体調は維持したいものですね。

いつも同じことばかり申し上げて恐縮ですが、どうかご自愛くださいませ。

本日のテーマ

今回は、2023年最後の投稿となります。

テーマは「訪問看護ユニケアが考える『フレイル』について」です。

ユニケアには訪問看護師だけでなく、セラピストも在籍しております。

セラピストは、高齢者の方への介護の中で、いかにその方が持っている身体機能を維持、できれば向上を図っていくかを考え、分析し、機能訓練を行って検証するかを真剣に考えています。

高齢者の方の身体機能の変化に早めに気づき、経年変化があっても極力悪化しないようにアプローチすることが必要ですし、私たちもそれを常日頃から取り組んでいるつもりです。

本日は「フレイル」というワードを取り上げ、一緒に考えていきたいと思います。

どうか最後までお付き合いくださいませ。

「フレイル」とはなにか?

「フレイル」という言葉は最近よく聞かれるようになりましたが、いったいフレイルとは何なのでしょうか?

フレイルとは、簡単に申しますと「健康状態と要介護状態の中間に位置づけられるもの」とされています。

フレイルは、海外の老年医学の分野で使用されている英語の「Frailty(フレイルティ)」が語源となっています。「Frailty」を日本語に訳すと「虚弱」や「老衰」、「脆弱」などを意味するそうです。

日本老年医学会によりますと、高齢者において起こりやすい「フレイルティ(Frailty)」に対し、正しく介入すれば「元に戻る」という意味があることを強調したかったようです。

高齢になると経年変化により、身体機能は確かに低下してしまうものの、しっかりアプローチすれば元に戻せることを発信するため、多くの議論の末「フレイル」という日本語訳を一般的にすることになったのです。

フレイルが発生する環境要因とは何か?

フレイルが発生する要因はいくつか考えられます。

まずは、筋力低下などの「身体的な要素」ですね。

これは一番わかりやすい要素かと思いますが、年齢を重ねてくれば身体機能が低下していくことは仕方がないことでしょう。年齢には抗えない部分があります。

また、認知症やうつなど「精神的・心理的要素」も考えられます。

皆様もご存知の通り、認知症を患う方は増えており、今後もそれは加速度的に増えていくことでしょう。

また、不確実性の高い世の中においては、様々な不安から人間がだんだん生きにくくなっているといわれています。

精神的な不安が続くと、高齢の方でなくても引きこもり等が起こり、フレイルにつながっていく可能性が高まります。

さらに、独居や経済的困窮などの社会的要素もあるでしょう。

加齢によって社会的なつながりが薄れてくることや、貧困によることも、フレイルの原因となり得ます。

フレイルの進行を予防するためには、これらの3つの側面から総合的にみて対応する必要があります。

多くの場合、フレイルを経て要介護状態へ進むと考えられていますが、高齢者においては特にフレイルが発症しやすいといわれています。超高齢社会が進む中、私たちは対象者がフレイル状態に陥っていることに早く気付き、正しく介入(治療や予防)することが大切というわけです。

加齢などにより筋力や筋肉量が減少すると、活動量が減り、エネルギー消費量が低下します。さらにその状態では食欲が湧かないので、食事の摂取量が減り、タンパク質をはじめとした栄養の摂取不足による低栄養の状態になります。

低栄養の状態が続くと体重が減少し、筋力や筋肉量が減少していきます。こうした悪循環をフレイル・サイクルと呼び、転倒や骨折あるいは慢性疾患の悪化をきっかけとして要介護状態になる可能性が高くなります。

フレイル状態を判断する基準

フレイルの基準には、さまざまあります。

フレイルの基準には5項目あります。3項目以上該当すると「フレイル」、1または2項目だけの場合にはフレイルの前段階である「プレフレイル」と判定されます。

体重減少:意図しない年間4.5kgまたは5%以上の体重減少

疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3-4日以上感じる

歩行速度の低下

握力の低下

身体活動量の低下

です。

フレイルの状態になると、死亡率の上昇や身体能力の低下等のリスクが高まります。「死亡率の上昇」というと大袈裟ですが、そこまでいかなくても何らかの病気にかかりやすくなったりして、ストレスに弱い状態になりかねません。

健常な人であれば、多少の体調不良にも問題なく耐えられるでしょう。風邪をひいたとしても数日すれば治るはずです。

しかし、フレイルの状態になっているとそうはいかないでしょう。例えば、風邪が原因で肺炎を発症したり、怠さのために転倒して打撲や骨折をしたりする可能性があります。病気によって入院となれば、それをきっかけにフレイル状態となり、ひいては寝たきりになってしまうことも十分ありえます。

フレイルの状態に、ご家族や私たちのような介護・医療従事者が早く気付いて対応することができれば、フレイルの状態から健常に近い状態への改善や、要介護状態に至る可能性を減らせることが期待できるでしょう。

フレイル予防の取り組みとして重要なこととは

予防で掲げている柱は3つあります。

それは「栄養」「運動」「社会参加」の3つです。

栄養面について、3食しっかり召し上がっていただくこと。それから主食・主菜・副菜をバランスよく食べることが重要です。

とくに「タンパク質」の摂取が重要といわれています。

タンパク質は、筋肉をつくる成分が含まれていることで知られています。積極的に摂取することが求められますが、やはり「バランス」が重要ですね。水分摂取も大変重要です。

ただ「栄養を摂取する」だけでなく、「誰かと食べる」ということも必要ですね。

これは社会参加にもつながってきますが、一人で食べること(筆者はあえて『独食(こしょく)』と申し上げます)よりも、誰かと楽しく食べるという環境を作ることで、フレイル予防につながることでしょう。

運動については、歩いたり、筋トレをしたりすることなどが想定されます。

体力(全身持久力・筋力)の向上や運動器の機能向上のためには、最低限「30分以上の運動を週2日以上」行うことが必要であるといわれています。

最も簡単な運動は「歩くこと」です。

高齢になっても、できれば1日8,000歩は歩きたいところです。

ちなみに筆者は、最低でも1日10,000歩、多いときには15,000歩くらいは歩いています。それに加え、週に数回ほどジムに通って運動しています。

もう10年ほど続けていますが、これからも頑張って続けようと思っております。

さらに社会参加は、就労や余暇活動、ボランティアなどに取り組むことが想定されます。

新型コロナウイルス感染症の拡大で、私たちが外出自粛という生活を余儀なくされました。特養や有料老人ホーム等の施設では、感染拡大防止の観点から長きにわたり面会を制限してきました。

これはやむを得ないことであり、その対応を否定するものでは断じてありません。

しかし、外出の自粛や面会の制限で、特に高齢者は社会参加や地域とのつながりが希薄になってしまったことも事実です。

コロナも5類に移行し、地域活動もだいぶ戻ってきました。

今こそ、特に高齢者の方に対して社会参加を促すための取り組みが必要です。

ユニケアでも、先日のコラムで紹介した「アリオ葛西での健康度チェックイベント」や、排泄ケアに関する講演会、家族会等の開催を積極的に行っております。

これは、地域との交流や家族の思いの共有等、いろいろ目的はあります。

それに加え、今回のテーマである「フレイル予防」の意味合いも当然あります。

今後ユニケアでも、訪問看護ステーションとしての役割として「フレイル予防」について積極的に介入し、取り組んでいこうと考えております。

2023年の最後にご挨拶を!

2024年には介護報酬・診療報酬の改定を控えています。

激動の大改定といわれており、私たちの業界を取り巻く情勢も決して安心できるものではないでしょう。

ユニケアでは、2023年に様々な活動を行ってまいりました。

が、制度や報酬体系が変わっても、私たちがやるべきことは何ら変わりません。

今後も地域の皆様とのつながりを持ち、ともに発展していけるよう微力ながら努力いたします。

また今年1年、本コラムをお読みいただきまして誠にありがとうございました。

2024年も、皆様にとって有益な情報をご提供してまいりたいと思います。 2024年が、皆様にとりましてよき1年となりますよう、ユニケアスタッフ一同心より祈念申し上げます。