訪問看護師に必要な素養?「プロアクティブ行動」

こんにちは!東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。

前回は、2024年度に行われる介護報酬改定の施行時期について、ダブル改定となる診療報酬改定に合わせて後ろ倒しになるのでは?という点について取り上げました。

この内容についてご存知ないということであれば、是非本コラムの過去記事をお読みいただくことをお勧めいたします笑!

本日のテーマ

コロナ禍や為替変動、物価高など、わが国経済は大変不透明な情勢です。

介護業界も同じで、ご利用者様に喜んでいただけるよう、永続的に事業が行われるよう、皆様懸命に努力されていることと思います。

一方で、会社経営者の中には、スタッフさんたちに対して「もう少し主体的に行動できる人材になってほしい」と願っている方も多いのではないでしょうか。

そんな中で最近「プロアクティブ行動・人材」という言葉を聞かれるようになっています。

プロアクティブ行動とは何か?

プロアクティブ行動とは、組織行動学において将来起こりうる出来事を想定し、先んじて主体的に対応を実践する行動のことをいいます。プロアクティブ行動の実践度合いを「プロアクティブ度」と定義し、これが一定の基準に達する人材を「プロアクティブ人材」と定義しています。

プロアクティブ行動が注目される背景として、少子高齢化、感染症の拡大、不安定な経済情勢などの到来が挙げられます。

少子高齢化は、私たち介護関係者にとって重々目の当たりにしている出来事であります。

感染症の拡大もしかりです。コロナは第5類に分類されたこともあり、落ち着いた感もありますが、感染自体が収まっているわけではありません。

経済情勢についても、ウクライナ侵攻に伴う情勢不安、為替変動のリスク、エネルギーコストの高騰は歯止めがなかなかかかりません。

日本政府もこのことは重く受け止め、いろいろ施策は講じているものの、まだまだ十分であるとはとても言えません。

将来起こりうる出来事を可能な限り想定し、対応を先取りしていくためには、果敢に挑戦する風土を作ることが必要です。

その一つとして、プロアクティブ行動が注目されるようになったわけです。

プロアクティブ行動をする人の特徴は、主として2つにわけられます。

1つは「イニシアティブ志向(自ら主体的になって積極的に行動するという要素)」、そしてもう1つは「チェンジ志向(自身の役割や与えられたタスク、組織に合わせて必要に応じて自身を変化させていく志向)です。

上記が組み合わさった概念が「プロアクティブ行動」であるといえます。

プロアクティブ行動の具体例とは?

具体的なプロアクティブ行動の例としては、外部セミナーに参加した従業員が、後日社内メンバーに学んだ内容をフィードバックすること、研修において参加者にテーマを企画させ、話し合いの上一つの見解を固めさせること、などが挙げられるでしょう。

実際ユニケアでは、定期的に社内研修を行っております。もちろん、外部講師をお呼びして行うこともありますが、スタッフが外部で学んだ内容を社内研修としてフィードバックするという取り組みは行っております。

これは大変重要で、外部で学んだスタッフが惜しみなく社内スタッフと共有することで、前者はたとえ不慣れでも誰かに伝えるトレーニングができます。アウトプットは大変勉強になることです。

また、新しい知識を習得することも大変有意義であり、よりよいサービスにつながるものであります。

一定の成果を上げることを目標にして、積極的に挑む(アクティブ)姿勢を「プロアクティブ」と定義することを覚えておきたいものです。

プロアクティブ行動のメリット・デメリット

プロアクティブ行動にはメリットがたくさんあります。

メリットは、従業員のモチベーションが高まること、生産性の向上が期待できることなどです。プロアクティブ行動が組織で醸成されることにより、風通しがよく皆さんが生き生きとして仕事をすることができるでしょう。

一方で、デメリットも存在します。

主体的な行動を強要しすぎると精神的負担を課すことになりかねないことが考えられます。前向きで活発な組織は結構なことですが、ゴリ押しは危険です。社内マインドが充実していないうちに「プロアクティブ行動」を旗印にし過ぎてしまうと、逆に社員は萎縮してしまいます。全社的に導入を促すのであれば、全社員に十分説明をした上で体制を作ることが必要です。

また、いわゆるルーティーンワークにはあまり馴染まないかもしれません。もし職種にかかわらず推進するのであれば、社員の評価方法について工夫することが必要でしょう。

過度の強要になると逆効果になりかねない、などが考えられます。検討するには、メリットだけでなくデメリットも考慮する必要があります。

プロアクティブ行動を進めるなら留意すべきこと

プロアクティブ行動を高めていくためには、まずミッションを明確にすること出発点になります。会社(法人)がどういう方向に進んでいくべきか、どういう人材像を目指していくべきなのかについて見つめていくことですね。

これがしっかりできていれば、主体的な行動を評価する仕組みを構築する動きが高まるでしょう。

また、過度の強要にならないようにするためには、行動を起こしたこと、もっといえば「失敗したこと」を賞賛する環境をつくることです。

失敗すること、ミスをしてしまうことを敢えて許容する環境を整備することが重要です。

失敗すれば損失を被ることもありますし、何が何でも奨励せよということではありません。

程度の問題はもちろんあります。慢心から引き起った失敗まですべて許容するという話ではありません。

ここで申し上げているのは、マインドの問題です。失敗を恐れるあまり挑戦することや努力することを止めてしまったら、成長が止まってしまうということを危惧するわけです。

子どもでもそうですが、失敗した都度怒られたり評価を下げられたりしたら、とでも積極的な行動を起こそうという意識になりません。「失敗したら怒られる」と思った瞬間に、人は主体的な行動を起こそうとはしなくなるものです。

介護現場は大変忙しく、なかなか十分にスタッフを指導教育する余裕がないといわれています。何かを行おうとしても、古株スタッフから疎まれてしまうという話も、まだまだ聞きます。

変化を恐れては何も進みません。「現状維持」は悪いことではありませんし、簡単なことでもありませんが、変化を嫌う組織に成長は望めないのではないでしょうか。

失敗を恐れずチャレンジする行動を組織全体で醸成できれば、人材は果敢にチャレンジすることができるでしょう。

まとめ

介護事業者が置かれている環境は、決して楽なものではありません。

定期的な報酬改定が行われ、長期的視野にて考えると社会保障費の増大から、潤沢な報酬が得られるような状況も見込みにくいのが現状です。

しかし、介護業界の未来は暗いのかといえば、決してそのようなことはありません。

どんなに情勢に不安があっても、基本的には介護という仕事が好きで、この仕事自体を長く続けようという意思をもって活動している方が大半ではないでしょうか。

介護職は「専門職」といわれます。もちろん、知識は常にアップデートしなければなりませんし、常に成長できるように努力を重ねることは、個人レベルで考えても重要であると考えます。

しかし、それは個人レベルだけでなく「組織」としても重要であると思うのです。

プロアクティブ人材を育てることは、企業の人材全体が主体的に行動できるような風土を醸成し、強固な組織を構築することに貢献し、ひいては不確実性の高い世の中であっても企業がたくましく生き抜くきっかけとなることが期待できるでしょう。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

最近とても涼しくなり、朝晩は寒さすら感じる陽気となりました。過ごしやすい季節になったと実感していますが、季節の変わり目は体調を崩しがちです。どうか皆様ご自愛くださいませ。

では、次回の投稿をお楽しみに!