ついに決定! 2024年介護報酬改定の算定構造②

こんにちは!東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。

先月、2024年介護報酬改定の詳細が固まり、全容が明らかになりました。

各サービスの報酬算定構造も出てきて、一喜一憂されている部分があります。

今回は、訪問介護の基本報酬がマイナスとなるという、衝撃的なニュースもありました。

国は訪問介護に対し、新しく一本化される処遇改善加算において加算率を引き上げたので、総合的に判断してほしいと延べ、実質的にマイナス改定となった訪問介護の関係者に対して理解を求めていますが、到底納得できる内容ではないことは明らかです。

このことについては、次回以降詳しく取り上げたいと思います。

最近少しずつ暖かくなってきて、春の兆しも見えています。

報酬改定において思うところはありますが、心はホットに、頭はクールにとらえていきたいですね。

本日のテーマ

前回は「補助金と助成金の違い」について取り上げたのですが、今回は従前お伝えした通り、2024年介護報酬改定の中で「居宅介護支援事業」について取り上げてまいりたいと思います。

居宅介護支援については、今回改正点が非常に多くなっております。

事業運営していく中で、十分理解しなければならないポイントが山積みとなっておりますので、今回のコラムをきっかけにして、少しでもそのお役に立つことができればうれしいです。ぜひ最後までお付き合いいただけますと幸いです。

居宅介護支援における改正ポイント

居宅介護支援に関する改正ポイントを以下にまとめたいと思います。

なお、「同一建物居住者に対するケアマネジメント」「BCP未実施減算」「高齢者虐待防止」「身体拘束等の適正化の推進」につきましては、以前に本コラムで取り上げている内容になりますので、今回は省略させていただきます。ご了承くださいませ。

ポイント① 基本報酬

居宅介護支援における基本報酬は、下記の通りと決まりました。全体的に報酬がプラスになっております。

居宅介護支援においては、基本報酬・加算を含めて報酬を上げることにより、今後まずますその機能やケアマネの役割をいかんなく発揮していただこうという意図が読み取れます。

ポイント② 居宅介護支援における特定事業所加算の見直し

今回、居宅介護支援における特定事業所加算の算定要件について以下の見直しを行うこととなりました。

ア 多様化・複雑化する課題に対応するための取組を促進する観点から、「ヤングケアラー、障害者、生活困窮者、 難病患者等、他制度に関する知識等に関する事例検討会、研修等に参加していること」を要件とするとともに、 評価の充実を行う。

イ (主任)介護支援専門員の専任要件について、居宅介護支援事業者が介護予防支援の提供や地域包括支援セン ターの委託を受けて総合相談支援事業を行う場合は、これらの事業との兼務が可能である旨を明確化する。

ウ 事業所における毎月の確認作業等の手間を軽減する観点から、運営基準減算に係る要件を削除する。

エ 介護支援専門員が取り扱う1人当たりの利用者数について、居宅介護支援費の見直しを踏まえた対応を行う。

です。今回、「ヤングケアラー」「生活困窮者」という言葉が登場しています。

ケアマネジャーは、単に高齢者のケアマネジメントのみを行うのではなく、そのご利用者様が取り巻くさまざまな周辺環境まで踏まえて行うことが求められる、というように解釈しています。

確かにヤングケアラーは増えていますし、何とかしなければならない問題です。

中学生や高校生のような若い世代が、親や祖父母などの介護に奔走されてしまい、例えば勉強や遊び、部活等が制限されてしまうようなことがあってよいのか・・・

ケアマネジャーに求められる役割は本当に多いです。

ポイント③ 居宅介護支援事業者が介護予防支援の指定を受ける場合の取扱い

こちらについては、過去のコラムでも紹介したことがありますが、令和6年4月から居宅介護支援事業者も市町村からの指定を受けて、介護予防支援を実施できるようになりました。

問題はどういう運用になり、単位数がどうなのか、ということでしたが、今回のこの部分における改定は大変良いものであるとか感じました。

改正点は下記の通りです。

ア 市町村長に対し、介護予防サービス計画の実施状況等に関して情報提供することを運営基準上義務付けること に伴う手間やコストについて評価する新たな区分を設ける。

イ 以下のとおり運営基準の見直しを行う。

ⅰ 居宅介護支援事業所が現在の体制を維持したまま円滑に指定を受けられるよう、居宅介護支援事業者が指定を受ける場合の人員の配置については、介護支援専門員のみの配置で事業を実施することを可能とする。

ⅱ また、管理者を主任介護支援専門員とするとともに、管理者が他の事業所の職務に従事する場合(指定居宅介護支援事業者である指定介護予防支援事業者の場合であって、その管理する指定介護予防支援事業所の管理に支障がないときに限る。)には兼務を可能とする。

です。

上記のポイントは、

・地域包括支援センターよりも高い報酬体系であること。

・居宅介護支援事業所の人員をそのまま活用でき、新たに保健師や社会福祉士等を充てる必要はないこと。

・指定は居宅・予防と別になるが、支障がなければ双方の事業において管理者を兼務可能となることとなること。

です。

これは推測ですが、現状の居宅介護支援事業所で予防プランを包括から受託しているところであれば、恐らく予防支援事業の指定を受けるケースは増えると思われます。

ポイント④ ターミナルケアマネジメント加算等の見直し

国は、ターミナルケアマネジメント加算の算定要件を、

・加算の対象となる疾患を「ガン末期」に限定せず、「医師が回復の見込みがないと診断した場合」も対象とすること。

・利用者又は家族の同意を得て、居宅への訪問・心身の状況等の記録をし、主治医・サービス事業所に情報提供すること。

・その情報提供は、利用者の死亡日及び死亡日14日以内に2回以上行うこと。

・これに伴い、特定事業所医療介護連携加算におけるターミナルケアマネジメント加算の算定回数の要件についても見直され、前々年度の3月から前年度の2月までの間においてターミナルケアマネジメント加算を15回以上算定していることとする。

としました。

●ポイント⑤ 入院時情報連携加算・通院時情報連携加算の見直し

入院時情報連携加算

入院時情報連携加算について、入院時の迅速な情報連携をさらに促進する観点から、入院当日中又は入院後3日以内に情報提供した場合に評価するよう見直しを行うことや、その際、事業所の休業日等に配慮した要件設定を行えるように見直されます。

具体的な加算単位とその内容は下記の通りです。

・入院時情報連携加算(Ⅰ) 250単位/月)
利用者が病院又は診療所に入院した日のうちに、当該病院又は診療所の職員に対して当該利用者に係る必要な情報を提供している場合に算定可能となる。なお、入院日以前の情報提供を含み、 営業時間終了後又は営業日以外の日に入院した場合は、入院日の翌日を含むこととする。

・入院時情報連携加算(Ⅱ) 200単位/月
利用者が病院又は診療所に入院した日の翌日又は翌々日に、 当該病院又は診療所の職員に対して当該利用者に係る必要な情報を提供している場合に算定できる。なお、営業時間終了後に入院した場合であって、入院日から起算して3 日目が営業日でない場合は、その翌日を含むこととする。

通院時情報連携加算

通院時情報連携加算について、利用者の口腔衛生の状況等を適切に把握し、医療と介護の連携を強化した上でケアマネジメントの質の向上を図る観点から、医師の診察を受ける際の介護支援専門員の同席だけでなく、利用者が「歯科医師の診察」を受ける場合も算定可能となります。

運用自体は医師も歯科医師も変わりませんが、今回の報酬改定では「口腔ケア」を重視している観点から、歯科医師との連携の重要性を考慮した形になったようです。

これは非常によいことですね。実際、ケアマネさんは歯科医師と連携する機会は多いわけで、それに対するこのような評価はありがたい限りです。

ポイント⑥ ケアプラン作成に係る「主治の医師等」の明確化

退院後早期に介護保険のリハビリテーションを開始することを可能とする観点から、介護支援専門員が居宅サー ビス計画に通所リハビリテーション・訪問リハビリテーションを位置付ける際に意見を求めることとされている 「主治の医師等」に、入院中の医療機関の医師を含むことを明確化することとなりました。

ポイント⑦ 介護支援専門員1人当たりの取扱件数(報酬)

今回、ケアマネさん1名あたりのケアプラン取り扱い件数について、条件付きで緩和されます。

上記の図のように、現行制度ではケアマネ1名あたりのプラン数の上限は、基本的に「40名」です。これは今後も変わりません。

今回改定されるのは、「ICTの活用」「事務職員の配置(常勤・非常勤等は問わないと思われます)」をしている事業所については「45件まで」、ケアプランデータ連携システムの活用含めると「50名まで」の取り扱いを認めるというところです。

さらに後者の場合、予防プランの取り扱い件数を要介護者の「3分の1換算」として計算してよいことになります。

事務員の配置やICT(データ連携システム含む)の導入で、ケアマネジメントがどの程度効率化が図られるのかについては、筆者も非常に気になるところです。もともと、ケアマネジメントの質を高める観点から、取扱件数に上限を設けた背景があるわけですから・・・

とはいえ、もしこれがうまくいけば、居宅介護支援事業所の収益はよくなると思います。

なお、この「逓減制の緩和」を踏まえ、特定事業所加算の要件も見直されます。

まとめ

今回は、居宅介護支援事業所の報酬改定に関する要点について解説いたしました。

改正点も多く、把握するのは大変かもしれませんが、本コラムが多少なりとも皆様のお役に立てば幸いです。

ユニケアでは、今後も皆様にとって有益な情報をお届けすべく、精力的に本コラムを充実してまいりたいと考えております。ぜひ、次回の投稿をお楽しみいただければ幸いです。

そして、ユニケアの活動に少しでも興味を示していただける方とは、ぜひいろいろお話がしたいと思います。お気軽にご連絡いただけますと幸いです。 今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。