こんにちは!東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。
先日からお伝えしておりますが、12月に入り2024年度介護報酬改定について詳細が明らかになってきました。
12月11日・18日に「社会保障審議会介護給付費分科会」が行われ、審議報告案が策定されました。18日に公開された案は、11日のものよりも詳細化しております。
重複してしまい申し訳ありませんが、この審議報告「案」が固まれば年明け以降厚生労働大臣に諮問され、了承→決定となります。
まあ、審議報告が策定された段階で事実上「決定」となるわけですが・・・
またこのコラム執筆中に、報道各社より「2024年介護報酬改定の改定率」が報道されていました。
まだ正式決定ではありませんが、ほぼ決まりでしょう。
本日は分科会で示された「審議報告」から、特に訪問看護にかかわることやその他重要部分についてご案内したいと思います。
是非最後までお付き合いくださいませ。
改定率については、12/16に政府が方針を固めたとのことで、以下のようになりました。
本体:プラス0.61%
賃上げ対応分:プラス0.98%
光熱水費増への対応分:プラス0.45%
合計:プラス2.04%
となるようです。
※上記は「NHKWEB 2023年12月16日配信」から引用しております。
あくまで単純計算ですが、売上が月間500万円計上される事業所であれば、2%ですと10万円増、年間120万円の増加となります。
もっとも、上記の改定率の約半分が「賃上げ」に対応する分となりますので、それを考慮した場合の増収は「年間60万円」程度というところでしょうか。
あくまで単純計算ですので、この通りにはいかないかもしれませんが、改定率としては従来に比べても高いものであり、事業所としても大変ありがたい形ではないでしょうか。
今回のプラス改定が、事業所の収支差率の改善につながることを祈ります。
正式には厚生労働省より発表されますが、この線で決定になることは間違いなさそうです。
あとは、サービスごとの報酬改定の算定構造がどうなるか、ですね。
実はここが事業所にとっては一番気になるかも・・・
12月18日に開催された「第236回社会保障審議会介護給付費分科会」において、2024年介護報酬改定の開始時期について言及がありました。
医療系である「訪問看護」「訪問リハ」「通所リハ」「居宅療養管理指導」の4サービスに限り、開始時期を2024年6月からに設定することになるようです。
上記以外のサービスについては、通常通り4月からの改定となります。
上記医療系4サービスは、次回診療報酬改定が6月施行となったことを受け、横並びする形になったようですね。
私たち訪問看護ステーションも、今から準備をしなければなりませんね。
医療保険のオンライン請求義務化も始まりますし・・・
何度も申し訳ないのですが、審議報告(案)はこのコラムを執筆している12/18現在の情報になり、今後変更になる可能性もあります。
その前提で、今回明らかになった報酬改定の方向性について、一部ご紹介したいと思います。
審議報告案は全部で80ページ以上あり、大変膨大です。
従って、すべてをご紹介することはできないのですが、重要な部分についてご紹介いたします。
訪問介護における「特定事業所加算」の見直し
訪問介護事業所において、看取り期対象のご利用者様へ対応しているケースを評価するように見直すことになります。
訪問看護サービスを行うユニケアでも、看取り期のご利用者様にサービスを提供するケースが多々ありますが、その際にもヘルパーさんは大変な状況で介護をされており、その関わりは非常に重要であると認識しております。
看取り期におけるヘルパーさんの存在は絶対に欠かせません。どうか正当に評価していただければと思います。
訪問看護における「専門性の高い看護師による訪問看護」の評価
医療ニーズの高い訪問看護の利用者様は、本当に増えています。
私たちユニケアでも、訪問看護師中心に研鑽を積み、サービス向上に努力しております。
適切かつより質の高い訪問看護を提供する観点から、専門性の高い看護師が指定訪問看護、指定介護予防訪問看護 及び指定看護小規模多機能型居宅介護の実施に関する計画的な管理を行うことを評価する形に改め、新たな加算を設ける運びになりそうです。
どの程度の報酬単位になるのかに注目したいです。
退院日当日の看護師による訪問の推進
以下は介護保険とは少々離れてしまう話ですが、お許しください。
退院日当日において、医療保険による訪問看護サービスは保険算定できない決まりになっています。これは、入院先医療機関との給付調整の問題からそうなっています。
その代わり、「退院支援指導加算」を算定することができますが、主治医の指示が必要である等制約も少なくはありません。
今後は退院日当日の訪問を促進させたい国の意向を鑑み、「新たな区分を設ける」とのことです。
「新たな区分」がどういうものなのかはわかりませんが、もっと柔軟に対応できるように改めてほしいです。個人的には、退院日当日であっても給付調整などせずに、療養費が算定できるようにすればよいのに、と思います。
詳細はサービスごとの算定構造を見ないとわかりませんが、退院日当日の訪問をしやすくするということは、それなりの評価(加算の新設や拡充等)が期待できますね。
特養・老健等の診療報酬との「給付調整」をわかりやすく!
これがまさに、先程の③で触れた「給付調整」です。
特に特養や老健は、診療報酬と介護報酬との重複等が生じた場合に、交通整理する必要があるサービスとして知られていますが、これが非常にわかりにくくて解釈が面倒です。
診療報酬との給付調整について正しい理解を促進する観点から、配置医師が算定できない診療報酬、配置医師でも算定できる診療報酬であって介護老人福祉施設等で一般的に算定されているものについて、誤解されやすい事例を明らかにするなど、わかりやすい方法で周知を行ってくれるようです。
老健も管理者が医師である観点から、給付調整の解釈が複雑です。これも明確にしていただけると助かりますね。
高齢者虐待防止の推進
介護事業所や施設の職員による「高齢者への虐待」は、本当に頻繁に耳にします。
虐待を受けた方がお亡くなりになると、さすがにマスコミ報道がされますが、そこまではいかずとも何らかの形で虐待をしているケースは、数えきれない位存在するでしょう。
痛ましくつらい事件になる前に、水際で食い止めるための方策の一つとして、全ての介護サービ ス事業者(居宅療養管理指導及び特定福祉用具販売を除く。)について、虐待の発生又はその再発を防止するための措置(虐待の発生又はその再発を防止するための委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者を定めること)が講じられていな場合に、基本報酬を減算されることになります。
虐待対策を講じない事業所は、今後淘汰されることになりそうです。
福祉用具貸与と販売の「選択制」の導入
要介護度に関係なく給付が可能な福祉用具のうち、比較的廉価で、購入した方が利用者の負担が抑えられる者の割合が相対的に高い用具(固定用スロープ、歩行器(歩行車を除く)、単点杖(松葉づえ 29 を除く)及び多点杖)を対象に、福祉用具の「貸与」と「販売」について「選択制」を導入することになるようです。
福祉用具の報酬の適正化、すなわち「引き締め」というニュアンスとなりそうです。
介護支援専門員1名あたりの取扱件数について
居宅介護支援事業所を取り巻く環境の変化を踏まえ、ケアマネジメントの質を確保しつつ、業務効率化を進め人材を有効活用するため、居宅介護支援費について、以下の見直しを行うことになります。
ア 居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅰ)の取扱件数について、「45 未満」に改めるとともに、居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅱ)の取扱件数について、「45 以上 60 未満」に改めることになります。
イ 居宅介護支援費(Ⅱ)の要件が「ケアプランデータ連携システムを活用し、かつ、事務職員を配置している場合」に変わり、居宅介護支援費 (Ⅱ)(ⅰ)の取扱件数については「50 未満」に改め、居宅介護支援費(Ⅱ)(ⅱ)の取扱件数について、「50 以上 60 未満」に変わります。
事務員の配置やICT等の導入等で、ケアマネさんの事務負担軽減を図る事業所については、ケアマネ1名あたりの取り扱い件数が緩和されます。
ウ 居宅介護支援費の算定に当たっての取扱件数の算出に当たり、指定介護予防支援の提供を受ける利用者数については、3分の1を乗じて件数に加えることになるようです。
これまでは「予防は1/2人とカウントする」のがルールでしたが、これが改まれば収益的にも予防プランが持ちやすくなるかもしれません。
ケアマネさんの業務効率化は至上命題です。これを機に、事業所もケアマネさんの働き方を抜本的に見直すきっかけになるとよいですね。
理学療法士等による訪問看護の見直し
今回の審議報告において、理学療法士等による訪問看護の提供実態を踏まえ、訪問看護に求められる役割に基づくサービスが提供されるようにする観点から、理学療法士等のサービス提供状況及びサービス提供体制等に係る加算の算定状況に応じ、理学療法士等の訪問における基本報酬及び 12 月を超えた場合の減算を見直す形になる見込みです。
これはイコール「報酬を下げる」という意味になるでしょう。
これまで、訪問看護におけるセラピストの関わりについて、国も厳しい目を向けています。実際、前2回の改定で報酬が下げられています。
また下げられてしまうのか・・・と思うと、ユニケアも気が気ではなくなります。
訪問リハを促進する観点から、老健や介護医療院に対して訪問リハビリテーションの「みなし指定」を認める方向であることは、先日のコラムでもご紹介させていただいたかと思います。
在宅におけるリハビリの需要は、本当に多いのが実情です。
訪問看護のリハビリも理学療法士や作業療法士等が訪問しており、れっきとしたリハビリサービスです。
訪問リハビリは今後もたくさん増えるとは考えにくく、高いニーズにこたえるためには訪問看護ステーションの存在は欠かせないと思います。
どうか、現場感をもって考えていただきたいところです。
本当はもっともっとたくさんあるのですが、紙幅の都合で取り上げるのに限界があるため、ここまでとさせていただきます。
続きは、今月最後のコラムにて取り上げたいと考えております。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また次回の投稿をお楽しみに!!