ついに決定!2024年介護報酬改定の算定構造①

こんにちは!東京都江戸川のユニケア訪問看護リハビリステーションです。

早いもので1月も終わろうとしています。

昨年のクリスマスからもう1ヶ月経ち、正月気分もすっかり切り替わってしまいました。

楽しいひと時は一瞬にして終わってしまいます。「光陰矢の如し」とはまさにこのことですね・・・

毎日忙しく動いておりますと、いつの間にか時間は経過していくものです。

忙しいのは結構なことですが、そうであってもたまにはゆっくりし、時間が経過したことで「これをやっておけばよかった」というようなことがないよう、大切に過ごしていきたいと思います。

何より、私たち自身の健康のためにも大切ですよね!!

本日のテーマ

さる2024年1月22日に、2024年介護報酬改定の報酬告示が諮問・答申がなされ、各サービスの報酬内容が明らかになりました。

本件は、「第239回社会保障審議会介護給付費分科会」にて示されております(本コラムの巻末にURLをお示しいたします)。

以前から申し上げた通り、今回の報酬改定は非常に大々的に行われ、変更点等が膨大です。

今回は、「報酬改定の主な概要」について取り上げます。

たくさんある中で、要点を絞った形でのご紹介になり恐縮ですが、きっと皆さまにとって有益な情報になりえると思いますので、ぜひ最後までお読みいただければ幸いです。

以後、居宅介護支援や訪問介護・看護など、個別サービスについて数回にわけて本コラムでも解説していければと思います。

介護職員処遇改善加算の一本化

今回、サービスごとの報酬構造が公開されたわけですが、基本的には概ね「プラス改定」といってよさそうです。

基本報酬は「微増」、加算の新設もあります。

介護職員処遇改善加算については、6月より一本化されます。経過措置期間は2024年度末までとのこと。

主要サービスの加算率については下記の通りです。

上記の通り、最も加算率の高い「訪問介護」においては最大24.5%の加算算定が可能ということです。

例えば、月300万円売り上げる訪問介護事業所は、単純計算でその1/4の加算が計上できるということで、約75万円となります。年間で約900万円となりますので、結構な額にはなりますね。

しかし、新加算は算定要件が複雑になっています。

これを紹介するのは紙幅の関係で難しいため、次回以降ご案内したいと思います。

訪問介護と定期巡回については「マイナス」に

今回、訪問介護と定期巡回についてはひどい扱いを受けることになってしまいました。

なんと、基本報酬がマイナスになってしまったのです!

これだけ「地域包括ケアシステム」が重要だと言っているにも関わらず、その要の一つである訪問介護の報酬を下げるとは、本当に驚きましたし悲しくなってしまいました。

以下は訪問介護の基本報酬に関する資料です。

国は、訪問介護について「処遇改善加算を手厚くする代わりに、基本報酬を下げるぞ」というスタンスのようです。

上記の資料にも、言い訳のような文言が赤字で記載されております。

確かに、介護事業経営実態調査において、訪問介護は利益率が7.8%となっていました。全サービス平均の2.4%よりも高いのが実情です。

しかし、他の事業よりも高いからといって、闇雲に下げてよいのでしょうか・・・

ただでさえヘルパーの確保は本当に難しく、人材が集まらないことによる閉鎖・休止も相次いでいるのに、この仕打ちはひどいと思います。

有識者の中には、訪問介護を「切り捨て」と捉える方もいます。

こちらについては、業界でも猛反対の動きがあるようです。

反対署名等、何らかのアクションが行われる可能性がありそうです。

「BCP未実施減算」「高齢者虐待防止措置未実施減算」の創設

BCP(感染症・自然災害)の策定が未実施の場合、施設・居住系は所定単位数の100分の3、その他は100分の1が減算されてしまいます(居宅療養管理指導等一部を除く)。

1年間の経過措置期間が設けられ、即座に減算とはならないようですが、そうであっても「運営基準違反」という扱いになってしまいますので、注意が必要になります。

さらに、かねてから義務化された「高齢者虐待防止措置」についても、未実施事業所には「減算」が発生します(居宅療養管理指導等一部を除く)。

こちらについては、経過措置期間が基本的にないようです。

福祉用具貸与事業のみ、3年間の経過措置期間を設けていますが、それ以外はNGです。

未策定の事業所については、早急な対応が必要になります。

訪問介護・居宅介護支援における「同一建物減算」

この件については、かねてから分科会でも盛んに議論されてきました。

社会保障費の適正化の観点から、この部分を何とかせねばという意見が支配的だったようです。

今回の改定で、同一建物減算が訪問介護について「厳格化」され、新たに居宅介護支援においても減算が「新設」されました。

上記のよりますと、訪問介護における同一建物等居住者へのサービス提供が「49人」までについて、減算率が12%に上がってしまうことになりました。

これまでは10%減算でしたので、2ポイント上がったということです。

確かに、サ高住や住宅型有料老人ホームにおいて、同一建物内や同一敷地内に在宅系サービスを開設し、半ば「囲い込み」状態になっていたことは問題視されていました。

それにしても、今回は訪問介護が完全に「狙い撃ち」されている感が否めなせん。

さらに今回、同一建物減算が居宅介護支援にも導入されることになりました。

今回の改定で、「居宅介護支援事業所が所在する建物と同一の敷地内」「隣接する建物又は居宅介護支援事業所と同一の建物に居住する」利用者様に対して、ケアマネジメントを行った場合には、所定単位数から5%減算されることになります。

これは、居宅介護支援事業所と同一建物・敷地内に住むご利用者だけでなく、ケアマネさんが同一建物居住者20名以上に対してプラン作成している場合にも適用されます。

要は、同一建物居住者20名以上に対してケアマネジメントを行っている場合は、居宅介護支援事業所の所在などに関係なく「減算」が適用されるという話ですね。

通所系サービスにおける「送迎」にかかる取り扱い

上記のスライドの通り、通所系サービスにおける送迎の取り扱いが変わります。

「送迎問題」は非常に深刻で、送迎に関する様々な事故などで運転に対する不安は相当なものです。送迎対応が可能な職員を確保するのは、本当に大変であるといわれています。

また、送迎はサービス提供時間に含まれないため、別にシフトを組んでいかなくてはなりません。筆者も経験がありますが、送迎に関する負担は深刻です。

そこで国は、送迎に関する取扱いとして、下記のように定めました。

・あくまで「利用者様の居宅⇔事業所間」での送迎を原則とする

・しかし「運営上支障がない」「利用者様の居住実態が明確(近くにいるご家族と居住う等)」の場合に限り、その場所への送迎を可能とする。

・他事業所に勤務する方、あるいは委託契約により送迎実務を行う法人従業者について、他事業所(障害サービス事業含む)の利用者様との同乗(相乗り)を可能とする。

という形になるそうです。

ただし、他事業所を横断する形となる場合は、責任の所在が不明確にならないような措置を講じる必要があります。

まとめ

以上、数ある報酬改定の内容について、特に重要と思われるものを抜き出してご案内いたしました。

まだまだたくさんあり、ご紹介するのは大変な部分もありますが、今後本コラムでも可能な限り取り上げたいと思います。

次回は、2024年介護報酬改定「居宅介護支援」について詳しくご案内したいと存じます。

本コラムは、居宅ケアマネさんにも多くお読みいただいているようです。

ユニケアでは、地域でご活躍されているケアマネさんに対しても、少しでも有益な情報をお届けできるよう努力を重ねてまいります。

今回もお読みいただきありがとうございました。

どうぞ、次回の投稿をお楽しみに!