全貌が明らかに!訪問看護療養費(医療保険)のオンライン請求

こんにちは!東京都江戸川のユニケア訪問看護リハビリステーションです。

正月気分もすっかり抜け、世の中は「節分」「恵方巻」に関心事がシフトしてまいりました!

筆者も節分時には毎年豆まきし、恵方巻ではありませんが「ちらし寿司」や「手巻き寿司」を作って食しております。

皆さまのお宅ではいかがでしょうか?

いくつになっても、季節の行事というものはよいものですね。

世の中の、そして皆さまにとっての「鬼」を追い払い、「福」が訪れますことをお祈り申し上げます。

本日のテーマ

お待たせしてしまいましたが、今回は「訪問看護(医療保険)のオンライン請求」等を取り上げさせていただきます。

昨年にも一度取り上げたテーマなのですが、その後大きく情報が更新されておりますので、最新情報という形でご紹介いたします。

訪問看護において、医療保険の請求は非常に頭を悩ませるものです。

今回、私たち訪問看護ステーションの運営にとって、大きな「転換期」となるべく重要な内容になります。

最後までお付き合いいただけますと幸いです。

訪問看護療養費の請求の現況

訪問看護サービスには、大きく分けて「介護保険」と「医療保険」の2つの側面があります。

介護サービスは数ありますが、主保険が異なるサービスが混在しているのは、訪問看護などの医療系サービスしかないと思います。

例えば訪問リハビリサービスにも、介護保険と医療保険のサービスが存在しますが、そもそも事業所数も利用者数もそれほど多くはありません。

訪問介護事業も、「介護保険」と「障害サービス事業」とが混在しており、同じ事業所でも介護と障がいの双方で指定を受けることにより、両者のサービスが提供できます。しかしテーマの趣旨から外れますので、細かい解説は割愛いたします。

訪問看護は、今や事業所数が1万事業所を優に超え、レセプト件数も数百万件にも及びます。

利用者数も、2020年のデータによりますと介護保険は約56万人、医療保険は約29万人もいらっしゃいます。

毎月これだけのご利用者様にサービスを提供し、請求業務を行っているわけです。

訪問看護の医療保険での請求で一番頭を悩ませるのが、請求実務の複雑さです。

介護保険と違い、医療保険の場合は主保険の種類が「社会保険」「国民健康保険」「後期高齢者医療保険」に分かれます。社会保険だけでも数えきれないほどあり、国保や後期もしかりです。

これに加えて、公費が関係してきます。

生活保護だけならまだしも、指定難病や自立支援医療などといった全国公費や、マル障のような地方公費も存在します。

地方公費はその名の通り、地方独自の公費となりますので、マル障であっても地域に運用が異なります。

また、高額療養費や特記(所得区分)等も考慮しなければなりません。

これは、医療保険での請求にある程度慣れていないと、なかなか難しい作業かもしれません。

これは筆者の実感ですが、訪問看護については医療保険のほうが介護保険より、「返戻処理」が複雑なように思います。

極めつけは、医療保険の請求は基本的に伝送できる体制になっていない、ということです。

医療保険の請求は、明細書と請求書を紙で印刷し、社保や公費単独の場合は「社保支払基金」に、国保や後期は「国保連合会」に郵送にて提出します。

請求の締め切りは、介護と同様に「毎月10日」ですが、郵送ですのでギリギリの対応は非常に危険です。

従って、ほとんどの事業所では、8日位までに郵送されているのではないでしょうか。

ギリギリまで作業をされるということであれば、毎月10日に国保連などに持ち込んで提出されているという選択肢もありますし、そうされている事業所もあるようです。

この状況ですと、なかなかレセプト点検を行う時間がとりにくいのが実情です。

また、指示書や介護券などの到着が間に合わず、やむを得ず請求保留とするケースも出てくるでしょう。

請求業務は、この「1日」「2日」が重要な意味を持ちます。

「伝送ができれば、請求保留をしなくて済んだのに・・・」という案件は、関係する皆様には実感できるのではないでしょうか。

このように、訪問看護の医療請求には大きな負担が伴っていたのです。

今後どう変わっていくのか(概要)

今後は、医療保険においても「オンライン請求」ができるようになります。

また、患者様の医療保険資格についても、オンラインで確認できるようになります。

皆様もご存知かと思いますが、医療保険の保険証は2024年秋をもって廃止となり、原則「マイナンバーカード」に移行します。

この仕組みを活用し、専用の端末やネットワークを利用して、患者様の自宅で保険内容の確認や請求ソフトへの反映などができるようになるのです。

請求における印刷・とりまとめ・郵送の手間がなくなります。

また、患者様の保険情報(資格確認)ができるようになれば、保険資格の相違などによる返戻も減るでしょう。

上記は2024年6月提供分(実際の請求は7月)より施行されます。

現在、厚生労働省から、オンライン請求・資格確認に関する情報公開がなされています。

本コラムの最後に、オンライン請求・資格確認に関する参考URLをお示ししますので、ご覧いただけますと幸いです。

オンライン資格確認の内容

オンラインによる資格確認は、上記のスクリーンショットのような流れで行います。

ご利用者様のご自宅に伺い、訪問看護師が専用端末(モバイル端末)等にて、ご利用者様のマイナンバーカードを読み取ります。

読み取った保険情報を、事業所に帰ったあとに「システム」に転送させます。

それにより、基本的に手入力をしなくても済む形になります。

この方法で資格確認をすることにより、請求業務の効率化が図られるわけですが、メリットはそれに留まりません。

厚生労働省では、オンライン資格確認を行うことにより「診療・薬剤情報」を医療機関や介護事業所等で共有することが可能となり、質の高いサービスの提供にも寄与する、といっています。

オンライン請求・資格確認導入の注意点

オンライン請求・資格確認のシステムを導入する上で、注意すべき点があります。

①今後は「オンライン請求」「オンライン資格確認」の導入が義務に

冒頭に触れました通り、訪問看護ステーションにおいてはオンライン請求・資格確認の導入が義務付けられます。

一部、導入が困難と認められる事業所については、経過措置が講じられます。

しかしそうでない限りは義務化されますので、備えることが必須になります。

「知らない」「私たちは行わない」という考えは、もはや通用しないということです。

②請求・資格確認におけるネットワークについて

介護ソフトなどは、現状お使いのものでほぼ問題なく対応可能です。

端末(PC等)も同一のもので対応可能ですが、ネットワーク回線が医療と介護で異なります。

ですので、都度ネットワーク回線を切り替える必要があります。

③各種届出が必要

医療保険のオンライン請求をするにあたり、国保連等への届出が必要になります。

電子証明書の発行や、「電子情報処理組織の使用による費用の請求に関する届出」をしなくてなりません。

④セキュリティ規程等の策定

導入にあたっては「オンライン請求システムに係る安全対策の規程」や「オンライン資格確認等システム及びレセプトのオンライン請求システムに係る安全対策の規程」の策定が必要になります。

⑤一定の費用がかかる

オンライン請求・資格確認システムの構築には、イニシャル・ランニングコストがかかります。

イニシャルコストは、PCやモバイル端末(マイナンバーカードを読み取る端末)の用意、ネットワーク回線の構築、電子証明書の発行費用などが考えられます。

ランニングコストは、ネットワーク回線の回線使用料などが考えられます。

上記のように、導入には相応の費用がかかりますが、補助金の用意もあるようです。本コラム執筆時点では、補助金の詳細については決まっていませんが、今後はこのような補助金を有効に活用しない手はないでしょう。

⑥導入支援事業者・システムベンダとの綿密な連携

オンライン請求・資格確認には、導入支援事業者との連携が絶対不可欠といっても過言ではありません。

現時点では、NTT東日本・西日本さん、富士通さん、NTTデータ四国さん等の通信事業者さん等が「導入支援事業者」として名乗りを上げています。

今後は、上記のような事業者が、オンライン資格確認等に関するパッケージ商品を販売する予定とのことです。

また、介護ソフトを使用していない事業所はないと思いますが、オンライン資格確認等の導入にあたっては、システムベンダさんとの連携も大変重要です。

今のうちに、現在お使いのソフトベンダさんへの問い合わせなどを行っていきましょう。

今後の流れ

上記は、現時点で厚生労働省が公開しているスケジュールになっています。

すでにいろいろ始まっておりますので、今動き出しても早いということはありません。むしろ、今から準備しないと間に合わなくなる可能性もあります。

このあと参考URLをご紹介しますが、オンライン資格確認等に関する問い合わせ方法も案内があります。

適宜活用されるとよいでしょう。

前述の通り、今お付き合いのあるソフトベンダさんにお聞きするのが現実的かと思いますし、これを機にオンライン請求・資格確認に相性の良いソフトへの切り替えを検討するのも、もしかしたら一案かもしれません。

まとめ

今回は、2024年6月から実施される、訪問看護の医療保険「オンライン請求」「オンライン資格確認」について取り上げました。

前回のコラムでも書かせていただいた通り、介護・診療報酬改定とのかかわりから、私たち介護事業所に取り巻く環境は大きく動いてきています。

決して「他人事」ではないですし、「対岸の火事」でもありません。

今からしっかり備えて、実際に運用が始まった際にはスムーズにスタートが切れるようにしていく必要があります。

その1つ1つの努力が、ご利用者様へのサービス向上や、スタッフの負担軽減や待遇改善につながっていくと確信しております。

今回もお読みいただきありがとうございました。

どうぞ、次回の投稿をお楽しみに!