こんにちは!東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。
猛暑続きであった8月から9月にかわり、まだまだ暑い日は続くものの、少し暑さが和らいだように思います。
都内も18時を過ぎると日没となり、真っ暗になります。だんだん昼間の時間も短くなってきたことを実感し、少し寂しさを感じてしまう筆者でございます。
中秋の名月、今年は9月29日だそうです。
別名「芋名月」というのをご存知でしょうか?秋は芋の収穫期になりますので、この時期には芋を食べたり、お団子をお供えしたりしますね。
筆者もこの時期、月を愛でつつお酒でも飲みたいと思うこの頃です。
本日は「介護業界におけるハラスメント問題」をテーマに取り上げます。
2021年度介護報酬改定により、すべての介護事業所においてハラスメント対策を講じることが義務づけられたのですが、そもそもなぜハラスメント対策が必要なのか、どのように対策すればよいのかについて、一緒に考えてまいりたいと思います。
是非最後までお読みいただけますと幸いです。
地域包括ケアシステムを推進していく上で、介護人材の確保は大変重要な課題であります。これは、今さら筆者が語るまでもないことでしょう。
では、どうすれば介護人材を充足することができるのかについて、筆者に明確な答えがあるかといえば、残念ながら自信をもってお答えできないのが実情です。
申し訳ありません。
ただ、介護職員がむやみやたらに離職することなく、安心して働くことができるためには、やはり事業所・法人がハラスメント対策を含む職場環境・労働環境の改善を図っていくことが重要です。
こういった背景から、2021年度介護報酬改定においてすべての介護サービス事業者に、男女雇用機会均等法等におけるハラスメント対策に関する事業者の責務を踏まえつつ、ハラスメント対策として必要な措置を講ずることを義務づけたわけです。
重要なのは「全事業所」に義務づけた、ということです。
ハラスメント問題が介護に限ったことではなく、様々な業種でも問題になっております。
しかし、介護においては本当に深刻な問題として顕在化しております。セクハラ・モラハラ・パワハラなど・・・
特に他業種と介護業界で少々異なるのが、利用者様から受けるセクハラやパワハラが存在するという点です。
他業種でも、お客様からのハラスメントは存在します。大変由々しき問題であり、決して見過ごすことのできない問題です。
介護業界にも存在はするのですが、介護を必要とする「利用者様」から受けるハラスメントが存在するというのが、問題を複雑化していると筆者は思うのです。
先程、利用者様から受けるハラスメント問題について触れました。
介護を必要とするご利用者様の中には、認知症のある方や精神疾患がある方など、様々です。
ですので、仮にハラスメントのような事態になってしまっても、それが疾患による行為である以上、なかなかそこを問題にしにくい現状も実際にはあったことでしょう。
しかし、「病気だから」「高齢者だから」といって、そういったハラスメントを容認できるのでしょうか?
実際筆者も、利用者側からの酷いハラスメントを受けて、悩みに悩み仕事が続けられなくなり、結局退職したという話は耳にします。
そういう事態に遭われた方にとっては切実な問題であり、決して容認することなどできないはずです。
確かに、疾患によるそのような行為については、一定の理解は必要でしょう。
しかし実際に、心ないハラスメント行為により悩み、会社に窮状を訴えても対応してくれず、失望して退職する方がいらっしゃるのも事実なのです。
冒頭に、地域包括ケアシステムを持続させるためには、介護人材の継続的な確保が不可欠であると申し上げました。
最も懸念すべきことの一つは、介護業界で頑張ってこられた方々がハラスメントを受けることにより、転職するだけではなく介護業界そのものに見切りをつけてしまう、ということです。
これが続くようでは、とてもじゃないが地域包括ケアシステムの持続化などといってはいられなくなります。
国もこのことは非常に重く受け止め、ハラスメント対策を全事業所に義務づけるとともに、対策を講じる上での情報提供を行ってきています(本コラム最後の「参考URL」を是非ご覧くださいませ)。
ハラスメントの中には「セクハラ」「パワハラ」等いろいろあることは、先程も触れておりますし、皆様もご存知のことと思います。
厚生労働省では上記のほか「カスタマーハラスメント」について、その防止のための方針の明確化等の必要な措置を講じることを推奨しています。
先程も少しご紹介した通り、カスハラが相当根深い問題であることを国は指摘しているわけですね。
2021年度改定により、全事業所においてハラスメント対策が義務となっても、実際にどのように対策をすればよいのかわからない、という事業所も実際には多いと思います。
厚生労働省では、介護現場のハラスメント対策に資するよう、「介護現場におけるハラスメントに関する調査研究事業」が発足しております。
その事業では、2018年度に「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」、2019年度に「管理者及び職員を対象にした研修のための手引き」、2020年度に「介護現場におけるハラスメント事例集」を作成・周知したところです。
マニュアル等については、施設・事業所や自治体における活用が十分に進んでいないのが実情ですし、また施設・事業所だけでは、介護現場におけるハラスメントの予防や対応に限界があります。
大法人ならそれもできるでしょうが、小さい事業所レベルではなかなか細かい規定や対策までは着手しきれないことでしょう。
実際、保険者をはじめとする地域の関係者からも、相互連携の必要性について指摘されています。
こうした状況を踏まえ、マニュアル等がさらに介護現場において使い勝手のよいものとなるよう、施設・事業所におけるモデル実証事業を実施して、都度改訂を行っているようです。
ここで、具体的な事例や対策について触れることは、紙幅の問題から残念ながら困難です。
申し訳ありませんが、厚生労働省が策定したマニュアルにおいて、ハラスメントが起こる環境要因について紹介されている内容を引用させていただきます。
⚫「1対1」 や「1対多」の状況
ケアを行う場所の構造(例:出口が遠い、鍵がかかる、近くに他の職員がいない、訪問 先の近隣に住宅等がないといった助けを求めても声が届きにくい状況)やケアを提供す る体制により、職員と利用者やその家族等が 1 対1や 1対多の状況になることが、ハラ スメントのリスク要因になることがあります。
⚫ サービス提供時に身近にある物品
利用者や家族等の状態(攻撃的な言動、怒り等の興奮状態 等)によっては、身近にあ る物品が思わぬ使われ方をする恐れがあります。 目に付くように(意識的に)アダルトビデオが置いてあることがハラスメントの予兆で ある可能性と考えられます。
⚫ 訪問先でペットの保護がされていない
サービス提供時の安全確保のため、ゲージに入れる、首輪をつける等をお願いしている にも関わらず、放し飼いになっている場合は、予期せぬ噛みつき等の可能性が考えられ ます。
上記はほんの一例ですが、私たち訪問看護においても起こり得る環境要因です。
どういう局面でハラスメントが発生しうるのか、事業所内でブレーンストーミングしながら取り上げ、どう対処すべきかを共有するだけでも十分価値があると思います。
普段訪問等で忙しく、マニュアルの作成は簡単にはいかないものです。
また、マニュアルを作成しただけで、実際に現場で役立たなければあまり意味をなしません。
こういう事例を事業所レベルで積み上げていくことが、はじめの一歩となるのではないでしょうか?
本日は「介護業界におけるハラスメント問題」について取り上げました。
どの事業所でも起こり得るハラスメントにおいて、まずはこちらで問題提起し、これを読んでくださった方々に少しでも「気づき」が与えられればうれしく思います。
本日もお読みいただき、誠にありがとうございました。
次回の投稿をお楽しみに!!