2024年介護報酬改定~業界団体からの提言(訪問看護)~

こんにちは!東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。

ハロウィンが近づいてきました。皆様はどのようにお過ごしになる予定でしょうか?

渋谷界隈では毎年コスプレをする若者でごったがえし、ハロウィンの風物詩でもありますが、反面泥酔する方やゴミを散らかす方、交通の妨げをする方等、問題もあります。

どうか節度をもって楽しみたいものですね。

ユニケアでは「駄菓子店の運営」を行っているのですが、昨年は近所の子どもたちを招いてハロウィンイベントを行い、実に盛り上がりました。

地域交流の一環にもなりますし、何より私たち自身が楽しめます。

こういうものはただ事務的に行っても盛り上がらず、いかに当事者が楽しめるかが重要ですね。

本日のテーマ

本日は、去る10月2日に開催された介護給付費分科会において、「一般社団法人全国訪問看護事業協会」という訪問看護の業界団体が提言した内容について、ご紹介いたします。

現状の訪問看護業界の問題点を鋭く指摘するものであり、大変興味深いものとなっております。ぜひ最後までお付き合いくださいませ。

提言① 緊急時訪問看護加算の見直し

このあとご紹介する提言内容にも関わりますが、訪問看護は他のサービスに比べて少し複雑です。

その一つが、同じサービスでも介入する保険が複数存在することです。

具体的には「介護保険」と「医療保険」に大別される、という点です。これが、訪問看護の運営(特に請求において)を難しくしている部分があります。

上記のスライドの通り、訪問看護は介護保険と医療保険で重複する(似たような)加算が存在します。

例えば、緊急対応を行う体制を構築する(あるいは実施する)事業所について、介護保険では「緊急時訪問看護加算」が、医療保険では「24時間対応体制加算」が算定できます(ただし届出が必要)。

両者は細かくいうと若干算定要件が異なりますが、基本的には同じような加算です。

しかし、報酬額が異なるのです。

介護保険の「緊急時訪問看護加算Ⅰ」は574単位であるのに対し、医療保険の「24時間対応体制加算」は6400円となっております。

介護保険は1単位ごとの単価が地域により異なるため、両者は報酬額が異なります。

ターミナルケア加算についても同様で、介護保険は2000単位であるのに対して、医療保険は25000円となっております。加算要件はほとんど変わらないのに、単純に報酬が異なるのです。

退院時共同指導加算も同様で、介護保険の報酬単位のほうが低く抑えられているのが現状です。

医療保険のほうが歴史が古く、介護保険については施行して20年位しか経過していないので、そういう歴史的背景もあるかもしれません。

しかし、そういうことはご利用者様には何ら関係がなく、ただ取り扱いがわかりにくいだけです。

内容が基本的に同じであれば、医療保険も介護保険も双方に差が生じないようにしていただきたいです。具体的には、介護保険のほうの評価(単位数)を引き上げてほしい、ということなのです。

これは一理あると筆者も思います。同じような加算で、保険が違うからという理由?だけで報酬額が異なることに、何の意味があるのでしょうか?

緊急時の加算も、ターミナル加算も、今後の訪問看護サービスにおいてますますニーズが高まるものです。

是非見直していただきたいものですね。

提言② 高齢者の医療・介護ニーズ、看取り等の対応の更なる強化

医療・介護ニーズや看取りの対応についても、協会が分科会の委員に強く提言しています。

在宅での看取り対応のニーズは高く、患者様やご家族様も「自宅で最期を迎えたい」と願う声は非常に増えています。

病院で亡くなるよりも、住み慣れた家族で最期を迎えたい。こういう声が強くなるのは、ある意味自然なことです。

国も社会保障費の抑制の観点から、在宅での看取り対応については重要視しており、地域包括ケアシステムの観点からも欠かせない考え方であることを認めております。

ターミナル期においては、医療・介護とも介入頻度が高まります。

状態が刻一刻と変わります。急変することもあり、訪問診療や訪問看護、あるいは他の介護サービスが介入する場合も当然増えます。

それはガン末期のケースだけでなく、逆にガン末以外のケースでも訪問看護が頻回にほうもんしなければならない場合もあるでしょう。

しかし、現状の医療保険のルールでは、別表7(ガン末など)の疾患以外では「特別訪問看護指示書」が交付されなければ、頻回の訪問を行うことができません。

しかも、特指示の期間は最大14日間・月1回しか交付できません。

月2回交付できるケースもありますが、それは「真皮を越える褥瘡の場合」「気管カニューレ使用の場合」に限定されます。

ターミナル状態になるケースは、ガン末だけとは限らないと思います。

国がターミナルケアを推進するのであれば、例えば医師が「終末期」と診断した患者様に対しては、ガン末でなくても特別指示書が交付できるような配慮をしていただきたいです。

協会は「『ガン末期以外のターミナル期』『難治性潰瘍』の場合においても月2回の特指示交付を認めてほしい」とし、「別表7の疾患に加えてほしい」と提言されています。

これも、筆者は是非認めてほしいと願っています。

ターミナルケアや自宅での看取りを推進したいのであれば、これは必須であると考えます。

提言③ 高齢化の進展により多様化する地域ニーズへの対応強化

提言の3点目は、こちらも非常に問題になっている「介護職員の業務負担の問題」「遠隔地や中山間部でのサービスの維持」に関するものです。

訪問看護サービスのニーズは本当に増えており、それは私たちユニケアも強く実感しております。

しかし、ニーズが増大するに足りる人材が、なかなか確保できないのが現状です。

その原因はいろいろ考えられますが、一番は業務負担ではないかと分析しています。

訪問看護師は、ただ単に医療処置をするだけでは足りません。

患者様やご家族の話を傾聴することや、手技指導、服薬管理、他サービスとの連携(退院前カンファレンスやサービス担当者会議等への参加)等、本当に多岐に渡ります。

これに加え、夜間早朝のオンコール対応や、緊急訪問等があるわけです。

この負担は相当なものです。

訪問看護ステーションも、こういった多様なニーズに対応するために、専門性の高い看護師を配置したり、緊急対応の体制を強化したり、研鑽を積むための環境を整備したりしていますが、現状の報酬体系では、正直十分な体制構築は困難であるといえます。

そういった背景から、協会は専門性の高い看護師配置に対して報酬評価を求めています。

また、訪問看護師の業務負を軽減し、安心安定的なサービス提供を担保する観点から、例えば遠隔(電話・メール・チャットなど)を活用した病状確認・療養指導が可能とするような要件緩和、報酬見直しを求めています。

保険診療においては「電話再診」という項目があり。いわゆる遠隔において患者様について診療・指導を行った場合には診療報酬が算定できます。

これと似たような加算(?)を、訪問看護においても認めてほしいというのは、これまた自然なことかと思います。

現状、緊急時訪問看護加算については、緊急「訪問」ができる体制構築が要件の一つに定められています。これを、看護師でなくても看護補助者・事務員の方が電話による対応をされても加算算定ができるように改定してほしいというのも、協会が提言されている内容です。

こうすることにより、中山間部地域においても、数少ない訪問看護ステーションの看護師の負担が少しは軽減できるような気がします。

今回は、訪問看護の業界団体の方が分科会において発信した提言をご紹介しました。

訪問看護における問題点はまだまだありますが、こういう業界団体からの要望発信が、分科会の委員により活発な議論がなされ、ひいては報酬改定によい影響をもたらしてくれることを期待しております。

今回もお読みいただき、誠にありがとうございました。

ユニケアの取り組みに少しでもご興味のある方、是非お問い合わせくださいませ。