訪問看護師が「子どもたちに憧れられる職業」となるために

こんにちは!東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。

 

いきなりで恐縮ですが、筆者は子どもの頃、将来どのような職業に就きたいかをふと思い出しました。

それは「学校の先生になること」でした。

小学生のときにとても尊敬できる先生に恵まれたこともあり、子どもながらに「大人になったら学校の先生になりたい」と強く思うようになりました。

 

結局、大学に入っても教職課程を履修することなく、教員になる夢はついえてしまいましたが・・・ 所詮、自分には教員になりたいという情熱は希薄であった、ということで反省しております。

 

皆さんはいかがでしょうか?

子どもの頃、どのような職業に就きたいとお考えでしたか?

 

新年度も始まったこともあり、今回は子どもたちにとって夢ある職業というのはどういうものか、そして私たちが身を置く介護の仕事が、どのようにすれば皆さんに憧れられる存在になるのかについて考えてまいります。

どうか皆様、最後までお付き合いくださいませ。

 

「子どもがなりたい職業」ランキング

第一生命保険株式会社では、「大人になったらなりたい職業ランキング」というものを毎年公表しております。

 

非常に興味深い結果となっておりますので、謹んで引用させていただきます。

 

小学生がなりたい職業欄ランキングは、以下のようになっております。

小学生男子の1位は「会社員」とのこと。

小学生なら、もっと大きな夢を持ってもよいのでは、と思うのですが、現実的な線ですね・・・

2位は「YouTuber」がランクイン。時代を反映しているといってよいでしょう。

その他、野球選手や医師、公務員、警察官などが入っています。

警察官は、筆者が子どもの頃から人気職業ですし、実際に今の小学生からもよく聞きますね。

 

小学生の女子では、「パティシエ」が1位に浮上しています。

パティシエは肉体的にも非常に大変な職業で、女性にはなかなか難しい職業であると聞いたことがありますが、パティシエは夢があって素敵な職業だと思います。

アイドルや歌手、漫画家になりたいというのも、頷けるような気がします。

 

ここでうれしいのが、看護師が上位(2位)に入っていること。

私たちユニケアの取り組みも、ほんの少しではあっても貢献できているとしたら非常にうれしいです。

 

 

では、中学生のランキングはいかがでしょうか?

中学生男子の上位は「会社員」「公務員」「ITエンジニア・プログラマー」が入りました。

IT関連の業種が人気なのは、近年小学生や中学生を対象にした「プログラミング」が人気なのを見れば一目瞭然でしょう。学校の授業でも導入されていることからもわかります。

 

また、小学生の部においては「サッカー選手」がランキング外でしたが、中学生ではランクインしました。野球選手は、MLBで高額年俸を稼ぐ選手が増えてきて、非常に夢がありますからね・・・

サッカーをしてきた筆者にとっては、サッカー選手になりたい子どもがもっと増えてくれるとうれしいです。

 

中学生女子では、幼稚園の先生・保育士・教員がランクインする中で、小学生の部に続き「看護師」が2位に入りました。医師や獣医も入っています。

医療職が手堅い人気を集めていますね。

 

最後に、高校生のランキングを見てまいりましょう。

高校生になると、そろそろ具体的に将来の職業を見定め、現実的な線で考えていくものと思われましたが、男子の部では7位に野球選手、9位にサッカー選手、10位にその他スポーツ選手が入りました。

ある程度年齢を重ねても、夢のある職業に就きたいと考えることには、いろいろ意見もあることでしょう。もっと現実を見るべきでは、と。

しかし、筆者は決して悪いこととは思いません。むしろ素敵なことだと考えます。

 

かたや女子では、総じて堅実な印象を受けます。

相変わらず上位は「会社員」「公務員」となっているのは、男子と同じです。

その中でも「美容師」「トリマー」「薬剤師」などが入っています。

これは推測ではありますが、女子の方々は比較的具体的なイメージを持って自分の将来像を直視しているようにも思えます。もちろん、男子の方々にもそういう方はたくさんいらっしゃるでしょうが・・・

 

筆者も昔を思い出し、何だかうれしい気持ちになってきました。

 

ランキング上位に「看護師」が!!

下記の資料は、「なぜその職業を選んだか」という理由を調査した結果です。

この調査結果を見ますと、「好きだから」「かっこいい・素敵だから」「誰かの役に立ちそうだから」という理由が上位に入っています。

 

今回、「女子がつきたい職業」には、小学生から高校生まで上位に「看護師」がランクインしたことは、私たち訪問看護師にとってはうれしいことです。

 

看護師も、過去は不遇の時代がありました。

看護大学では、「看護学概論」という科目が必修としているところが大半で、この科目において「看護の歴史的変遷」を学ぶようです。

 

看護の歴史的変遷として、その昔の看護師は非常に劣悪な環境下で仕事をし、教育をあまり受けない最下層の人が就く職業であったといわれています(詳細は下記URLを参照)。

 

今、看護師として働かれている皆様にとってはとんでもない話ですが、そういう時代に劣悪な扱いを受けてきた諸先輩方が、何とかして自分たちの価値を高めていこうと大変な努力を重ねてきて、今があるわけです。

ひとえに、かつて「看護婦」と呼ばれていた時代から、諸先輩方が培ってきた経験と不断の努力の賜物であることは間違いありません。

私たちは、そういう方々に本当に感謝し、ありがたみを持って看護のお仕事をしていかなくてはならないと、改めて気を引き締めております。

 

介護業界はいかに・・・

先程、子どもが将来就きたい職業の上位に「看護師」が入っている話をし、大変喜ばしいことであるとお伝えしました。

 

しかし、少なくとも私たちユニケアでは慢心することなど微塵もなく、むしろ危機感をもってさえおります。

 

それはなぜか?

私たちは訪問看護師であり、介護業界に身を置いている立場だからです。

 

実際、子どもがなりたい職業の中に、残念ながら「介護士」は入っていません。

先程ご紹介した「なぜその職業に就きたいか」という理由の上位に「誰かの役に立ちたいから」というのがありましたが、介護士はまさにそれを具現化できる職業と言っても過言ではありません。

それなのに、なぜ介護士は入らないのか・・・

 

訪問看護ステーションには看護師やセラピストはいますが、基準上「介護職」はいません。

しかし、だからといって他人事であるとは全く思っておりません。

介護業界に身を置いている法人であり、介護業界の人材不足の苦しみは、私たちにとっても全く同じなのです。

 

実際、訪問看護師になりたいと思う人は多くないのが現状です。

過去に本コラムで、このことを取り上げたことがあります(詳細は過去記事をご覧くださいませ)。

ですので介護職と訪問看護師は、資格は違えど、実情は全く同じであると筆者は考えるわけです。

 

看護師が「子供が将来なりたい職業」の上位に入ることは非常にうれしいです。

ですが、だからといって、私たちは決して慢心してはいけないのです。

介護の仕事がランクインされないことを、政治のせいにしたりしても始まりません。

もちろん、国にはもっと介護の現状をもっと考えてほしいという気持ちはありますが、全面的に国のせいにしても、物事は決して好転しないでしょう。

諦めるのを、やめましょう

似たような言葉をどこかで聞いたような・・・

 

3月に行われたワールド・ベースボール・クラシックの決勝で、あの大谷翔平選手がおっしゃった名言「憧れるのをやめましょう」を完全にパクってしまっております笑

 

大谷選手はWBCの決勝戦前に、スーパースター揃いのアメリカ代表に気後れしないように「憧れるのをやめましょう」という言葉を使われました。

それが奏功したのか、侍ジャパンは見事世界一になったわけで、本当に素晴らしいです。

 

決戦前のあの声掛け、あまりに素晴らしすぎて感動しました。

試合後も、筆者はYouTubeで何回聞いたことかわかりません!もちろん、ダルビッシュ選手やヌートバー選手、甲斐選手、牧選手、村上選手の声掛けも素晴らしかったです!!

 

少々強引にこじつけてしまいましたが、介護の仕事をネガティブに考えることも、「どうせ人気がない職業だから・・・」と諦めてしまったら、本当に元も子もありません。

 

子どもたちには、決して「憧れるのをやめて」ほしくないです。むしろ憧れてほしいです。

 

どのようにすれば、訪問看護師が「憧れられる」職業になるのか。

どうすれば、介護の仕事が子どもにとって憧れられる職業になるのか。

 

私たちはそうなるために、介護の仕事の魅力についてどんどん発信していきたいと思っております。

機会があれば、学校で子どもたちに対して「訪問看護師」という仕事の内容や魅力について、熱く語っていきたいと考えますし、職業体験のようなこともできればなお素晴らしいと思っています。

 

もちろん、夢ばかり語っていても、どうにもならない部分もあります。

やはり、現実的な線で「看護師の仕事で身を立てる」「生計が立てられる」というのも重要なファクターです。介護士も全く同じです。

そのためには、個人レベルでも生産性を上げることや研鑽を積んで知的レベルを高めていくことが重要です。

そういう方々を増やしていくことで、子どもたちにとって「憧れの職業」になるための第一歩となるのではないかと、筆者は真剣に考えてやみません。

 

決して諦めてはいけません。

諦めるのを、やめましょう。

 

今回もお読みいただきまして、誠にありがとうございました。

 

 

【参考URL】

第33回「大人になったらなりたいもの」調査結果(第一生命)

東京有明医療大学HP