訪問看護ユニケア耳寄り情報 ~要介護認定の特例措置について~

こんにちは!東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。

 

長く続いているコロナ感染も、ここへきて少し落ち着いたように思います。

旅行支援施策である「全国旅行支援」も始まり、少しずつ賑わいが戻ってきているようにも思います。

11月にはカタールでFIFAワールドカップも始まります。大いに盛り上がってほしいものですね。

 

ただ、これからインフルエンザが流行る時期に差し掛かり、予防接種もスタートしています。

インフルとコロナのダブルパンチを懸念する声もあがっています。

感染症のまん延は本当に恐ろしいので、私たち訪問看護師も十分注意してサービス提供をしたいものです。

 

さて今回は、コロナ対策の一環である「要介護認定の運用の特例措置」について、厚生労働省から通知がなされましたので、皆様と共有できれればと存じます。

ぜひお付き合いいただけますと幸甚です。

 

要介護認定の流れとコロナ禍の影響

皆様もご存知の通り、要介護認定の手続きとしては、

「申請」→「認定調査及び主治医による意見書交付」→「一次判定」→「認定審査会による二次判定」→「決定」という流れに沿って行います。

スムーズに行けば、申請から約1ヶ月程度で認定結果が明らかになりますが、申請件数が混みあっていたり、書類の交付が遅れたりすると、決定までに時間がかかることもあります。

認定調査は、認定調査員さんがご利用者様のご自宅等に赴き、調査票項目に従ってADL等の調査を行うわけですが、コロナ禍も相まって十分進めることができませんでした。

コロナに直接起因する状況でなくても、感染防止の観点から必要以外の方との接触を控える動きもあり、非常に認定調査がしにくい状況下でした。

そこでコロナ対策の一環として、要介護認定に関する運用の特例を設けることとなったわけです。

具体的には、感染拡大を防ぐ観点から高齢者の認定調査を行いにくい場合、要介護認定の有効期間を市町村の判断で最大12ヵ月まで延長できるというものであります。

コロナ感染してしまった方や、感染リスクのある方については、更なる感染拡大を防止する観点から、認定調査を実施しなくても最大1年間の延長が可能となったことは非常にありがたいことです。

 

今後の要介護認定の取り扱いについて

しかし今回、厚生労働省は新型コロナウイルスの感染拡大からこれまで認めてきた要介護認定の運用の特例措置について、今後の取り扱いを新たに通知しました。

詳細は「介護保険最新情報のVol.1105をご覧いただければと思います。

 

要介護認定申請の臨時特例の新たな取り扱いの最大のポイントは「段階的に廃止」とするものです。

具体的には、

 

○ 原則として、要介護認定の有効期間の満了日が今年度内(2023年3月31日まで)の高齢者に限り、既存の特例措置を適用できる。

○ 来年度以降(2023年4月1日から)に有効期間の満了日を迎える高齢者は、通常通り更新認定を実施していく。

○ ただし、来年度中(2024年3月31日まで)に有効期間の満了日を迎える高齢者に限っては、市町村の判断で例外的に既存の特例措置を適用しても差し支えない

 

とするものであります。

厚生労働省は、段階的に廃止していく理由を「高齢者の心身の状態を長期間にわたり適切に把握・評価することができない事態を防ぐためである」と説明しております。

あわせて、「特例措置が終了した直後の1年間は処理すべき更新申請が増え、市町村の事務量も集中的に増大すると予想されることから、可能な限り通常の取り扱いで更新認定をしていくことが必要」と呼びかけているようです。

 

要介護認定のスピード化は前々から叫ばれているものの、諸々の理由でうまく進んでいかない現状において、特例廃止による行政事務の混乱が進んでしまえば、ご利用者様に適切なサービスが提供できなくなる可能性も生じます。

ケアマネさんも、仕方なく暫定ブランを作成されることになりますが、限度額を超過しないように匙加減してプランニングをすることにもなり、負担も伴いますよね。

ここは、市町村の判断次第であるという部分もありますが、サービス提供が滞ることのないような方向に進めていただきたいものです。

 

要介護認定にかかる課題

近年、要介護認定の審査が厳しくなっているという話をよく耳にします。

具体的には「どう考えても重度の状態なのに、介護度が軽度の判定になっている」といった話です。

 

行政側としては、闇雲に介護度を上げてしまうとそれだけサービスをたくさん利用することになり、介護保険財政を圧迫するために厳しくしている、ということでしょうか・・・

 

確かに事情は理解できますし、制度を維持するためには無駄なお金を使わないようにするというのは当然ではあります。

 

しかし、ご利用者様にとって本当に必要なサービスを提供し、在宅生活を継続していただくためには、いたずらに要介護認定を厳しくし過ぎるのはいかがなものでしょうか?

 

必要なサービスが提供できず、住み慣れた自宅での生活がおぼつかなくなってしまうことは、できれば避けたいものです。

 

要介護認定を上手に効率化するための動き

先程もふれましたが、諸々の事務負担増による要介護認定審査の長期化は、厚生労働省も問題視しているようです。

 

厚生労働省は、オンライン会議ツールなどICTを活用した認定審査会の開催についても言及しております。

こちらもコロナ禍の特例として認めてきた施策ではありますが、今回の通知で臨時的取り扱いではなく、恒久化へと踏み切る考えを表明しております。

認定審査会の業務効率化や事務負担軽減の観点から、今後、新型コロナウイルス対策に限らず実施できることにする」と記載しております。

 

上記のように、行政の事務負担軽減や業務のスピード化を図るのは、大いに結構なことであると思います。

しかし、業務効率化ももちろん大事なのですが、一番の主役は「ご利用者様」「ご家族様」でなければなりません。

筆者も、国が考えている介護保険・福祉施策についてこのコラムで取り上げさせておりますが、基本的には「ご利用者様」「ご家族様」目線でとらえているつもりです。

 

もちろん、私たちサービス事業者目線も大事です。

しかしそれは、ご利用者様やご家族様が主体であるという前あっての話であると思います。

ご利用者様によいサービスを提供し、その方の生活を豊かなものにするためには、サービス従事者が心身共に満たされていないといけません。

事業所も、それを実現させるためには、相応の利益を上げて事業継続できるだけの体力を維持する必要があるわけです。

 

 

今回は、要介護認定に関する臨時的取り扱いと今後の流れについてご紹介いたしました。

 

ユニケア訪問看護リハビリステーションでは、今後も介護事業に携わる皆様に対し、少しでも有益な情報を提供するために、本コラムで取り上げさせてまいります。

 

ご利用者様のケアは、私たち訪問看護師だけでは到底できるものではなく、皆様のご尽力があってはじめて成立するものです。

私たちの力は小さくても、皆様に助けていただくことで大きな力となります。

逆に、皆様が提供されるサービスに対して、私たち訪問看護師が少しでもお役に立てるのであれば、こんなにうれしいことはありません。

是非、今後ともよろしくお願いいたします。

 

今回もお読みいただきまして、誠にありがとうございました。

 

【参考URL】

介護保険最新情報Vol.1105

長野県ホームページ