ユニケア速報!「社会保障審議会介護保険部会」の概要①

こんにちは!東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。

 

FIFAワールドカップカタール大会、日本代表はドイツ・スペインを破る大金星をあげて決勝トーナメントに進出するも、残念ながらクロアチアにPKで敗れてしまい、惜しくもベスト8進出はかないませんでした。

今回のワールドカップはいつになく盛り上がり、ユニケアでも話題沸騰でした!訪問時も、看護師とご利用者様との間で会話に困ることはありませんでしたね。

日本代表の選手の皆様、関係者の方々、大変お疲れ様でした!!

 

私たちは訪問看護ステーションを運営する法人として、行政からの情報については常々耳を傾け収集を図るようにしております。

ただ、日々忙しくしておりますと、それもなかなか大変ではあります。

 

先日のコラムでも申し上げましたが、2024年度の介護保険制度改正・介護報酬改定に向け、本格的な議論がすでに始まっております。

年明けをメドに法改正の骨子が固まり、それを受けて報酬改定への議論が白熱化します。

また、2024年は診療報酬とのダブル改定にもなりますので、より注目度が増すと思われます。

訪問看護は介護保険だけでなく、医療保険適用のサービスもあります。また、全国公費や地方公費といったものもあって複雑です。診療報酬の改定も大変気になるところです。

 

今回は速報として、11月から行われている「社会保障審議会介護保険部会」で議論された内容を、数回にわけて取り上げたいと思います。ぜひお付き合いくださいませ。

 

議論の概要

今回の介護保険部会においては、下記の件について議論されました。

〇 地域の実情に応じた介護サービスの基盤整備

〇 在宅サービスの基盤整備 

〇 ケアマネジメントの質の向上 

〇 在宅医療・介護連携 

〇 地域における高齢者リハビリテーションの推進 

〇 施設入所者への医療提供

〇 施設サービス等の基盤整備

〇 住まいと生活の一体的支援

〇 介護情報利活用の推進 

〇 科学的介護の推進 

〇 財務状況等の見える化 

〇 介護現場の安全性の確保、リスクマネジメント 

〇 高齢者虐待防止の推進

 

です。

その中で、今回は「地域包括ケアシステムの更なる進化・推進について」の中から、新たな複合型サービスの新設が検討されていることについてご紹介いたします。

新たな「複合型サービス」が議論の俎上に

筆者が興味を示したことの一つに「新たな複合型サービス」の新設が検討されているという点です。

介護業界では「2025年問題」が取りざたされて久しいわけですが、それが目前に迫っており、今や2040年に向けた新たな問題が生じております。

現在、都市部を中心に85歳以上人口が急増し、施設・在宅を含め介護サービスに対するニーズも増加することが見込まれています。

一方、地方では介護ニーズが減少に転じているところもあるようです。

 

これからは、全国一律同じように介護サービスを整備するのではなく、地域の実情に合わせた施策を講じる必要性が意見として出て来ているわけです。

 

その中で、冒頭に挙げた「新たな複合型サービス」が議論されています。

現在、複合型サービスの類型として「看護小規模多機能型居宅介護」サービスがあります。これはまだ数が少ないですが、「訪問」「通い」「泊り」の機能に「看護サービス」の機能が備わっており、サービス設計としては大変素晴らしいと筆者は考えます。

今回それだけでなく、地域の実情に合わせた複合サービスを新設することで、主として都市部における超高齢化に対応し、ひいては地域包括ケアシステムを改めて推進しようという考えのようですね。

 

部会では、「訪問と通所を組み合わせる」サービス等が例として紹介されました。

下記スライドをご覧いただければと思います。

 

まだ何も詳細が決まっていないのですが、既存の介護事業所が新たな収入源となりえるような整備がなされるなら、大変よいことかと思います。

 

「新たな複合型サービス」に問題はないのか?

あとは、運営基準がどうなるかがカギですね。報酬体系もカギになると思います。

部会の出席者の中にも要望があるようです。

例えば、「複合型サービスは、比較的高額な包括報酬が設定されると予想されるが、低所得者への配慮も検討してほしい」「人材確保が難しく、介護保険財政も厳しくなる中では、既存サービスを整理し、新複合サービスに人材・財源を集約化させることなども重要な視点である」「全国一律のサービスとするか、地域独自のサービスとするか、実態を把握して慎重に検討していくべき」等という意見もあがっています。

 

低所得者の方への配慮は必要かと思います。

近年の介護保険施策は、所得があまり高くない方に対しても相応に負担してもらおうという動きになっています。

社会保障財政の現状を考えると、それもやむを得ないでしょうが、それでも今後の高齢者の生活は非常に厳しいものになることが予想されます。配慮は必要です。

 

複合型サービスの新設は、既存の通所介護サービス等にとっては新たな収入の柱になり得るものとなり、興味深いものではあります。

しかし、手厚い人員体制を構築しなければならなかったり、資格要件が厳しかったりとなると、事業者としてはあまり魅力的なものではなくなる可能性もあります。

また、このサービスを提供するにあたって新たな人員を確保しなければならないとなると、ただでさえ人員不足で悩んでいる事業者にとっては新規参入しようというインセンティブが働きにくくなるとも思われます。

既存の介護サービスの実態を整理し、見直す必要はあるでしょう。

 

また、地域の実情に合わせたサービスという形になると、総合事業のような運用方法になるかもしれません。事務的な対応が煩雑になることも避けたいものです。

訪問+通所の複合型サービスが新設された場合、対象となる方は軽度のご利用者様が想定されます。これをきっかけに、いわゆる軽度者を介護保険から外す動きが加速される可能性もあります。

 

新たなサービスが増えるのはよいことも多いですが、やはり慎重に議論することが必要かもしれませんね。

 

基準が厳しすぎる形になるのも、少々問題な気がします。

例えば新たな複合型サービスが新設されたとしても、人員基準が厳しいものになったりすると参入障壁になりかねません。

せっかく新設されるならば、サービスの質は担保しつつも、結果的に形骸化しないような設計が必要です。

 

筆者は、下記のような形であれば魅力的ではないかと考えます。

 

・通所サービスの合間に、手の空いたスタッフが短時間居宅へ訪問し、必要なサービスを提供する

・訪問サービスを提供するスタッフには、初任者研修修了者でなくてもよい(生活援助はできることが必要)。

・通所の既存利用者様に対して定期的に訪問することにより、安否確認やモニタリング等も兼ねることができ、ケアマネさんとの連携も密になる。

・それほど大きな投資をしなくても、新たな収入の柱になるだけでなく、スタッフの業務モチベーションも上がる。

 

そんなにうまい話はないかもしれませんが、制度や法律が変わることをマイナスにばかり捉えずに、むしろどうしたらビジネスチャンスになり得るのかを考えてもよいように思います。

そう考えることにより、今後の介護サービス業界も見通しは明るいものになるのではないでしょうか。

 

まとめ

本日は、社会保障審議会介護保険部会で議論された内容について、第一弾としてご紹介しました。

年が明けると、今度は介護報酬に関する議論が「介護給付費分科会」でなされます。

ユニケアでは、今後も皆様のお役に立つような情報を継続的にご紹介してまいります。

介護保険業界も激動の様相を呈していますが、皆様と手を携えて盛り上げてまいりたいものです。

 

次回も、社会保障審議会介護保険部会で議論されたことを複数回に分けて取り上げさせていただきますので、是非お読みいただけますと幸いです。

 

今回もお付き合いいただき、誠にありがとうございました。

【参考URL】

第101回社会保障審議会介護保険部会(厚生労働省)