介護医療業界における人材紹介の活用と問題点

こんにちは!東京都江戸川のユニケア訪問看護リハビリステーションです。

 

ゴールデンウイークも終わり、世間では通常の生活に戻ってきましたね。

介護や医療業界で働く方々は暦通りにはなかなか休めないものですが、少しは満喫されましたでしょうか?

 

前回のコラムでも書かせていただきましたが、季節の変わり目は体調を崩しがちです。

6月に入ると梅雨入りも控えております。

 

特に精神的な不調を起こしがちなのが、この時期の特徴でもあります。

なかなか難しいかもしれませんが、適度な運動や休息・睡眠を心がけ、健やかにお過ごしいただきたいと存じます。

 

今回は、多くの介護事業所や医療機関にて活用されている「人材紹介」の活用と問題点について取り上げたいと思います。

是非お付き合いいただけますと幸いです。

 

人材紹介について

筆者が今さら申し上げるまでもなく、介護福祉・医療・保育等の業界では慢性的な人材不足が続いております。

ハローワークや求人広告、求人サイトに掲載しても、応募の電話すら鳴らないというご経験、事業主の方や管理者さんの中にはあるのではないでしょうか?

厚生労働省にて、定期的に出している「職業別一般職業紹介状況」という統計によりますと、やはり医療・介護業界の有効求人倍率は他業種に比べて高いようです。

 

上記の資料、少し見方が難しいのですが、医師・薬剤師で3.62倍、助産師・保健師(恐らくここに看護師も含む)が3.09倍、介護サービスの場合は5.98倍となっております。

 

5.98倍ということは、求職者1名につき6社がエントリーしている状態です。

厳しい倍率ですね。

 

その中で「訪問介護」を例に挙げますと・・・

下記の資料をご覧いただきたいのですが、2019年時点で15.03倍という数字!!

これはとんでもなく異常な数字です。

 

介護職員の中でも、施設に関しては夜勤もあるため、一般に給与水準は在宅系よりも高い傾向があります。

しかし在宅系、特に訪問系や通所系は給与水準が低いことも一因なのか、有効求人倍率が高くなりがちです。

事業所様の中には慢性的な人材不足により、常に求人を出している状態のところが非常に多いと思います。

コストも相当かかることでしょう。

 

そんな中で、今回のメインテーマである「人材紹介サービス」を活用するケースが大変増えているわけでございます。

 

人材紹介サービスの利用は「最後の砦」なのか??

ここで誤解のないように申し上げますが、今回筆者は人材紹介サービスを「全否定」するつもりは全くありません。

実際、献身的に対応して下さる紹介会社様もたくさんあります。

雇用のミスマッチをゼロにはできないまでも、可能な限り減らしていくための手段として、人材紹介サービスを上手に活用することは有効であります。

しかし、コロナ危機で医療や福祉分野の人員不足が深刻化する中、民間人材紹介会社の高額手数料が問題になっていることも、これまた事実であります。

 

介護報酬は3年ごとに、診療報酬は2年ごとに改定されます。

介護報酬は2回連続でプラス改定になっていて、診療報酬も全体としてはプラス改定が続いています。

しかし、社会保障費は潤沢ではありません。

増え続ける社会保障費を適正化するために、国が厳しい目を向けていることは間違いなく、本コラムでも繰り返し書かせていただいているところです。

国も介護業界の人材不足については認識していて、何とかすべく方策を立案・実行しておりますが、特効薬は存在せず苦しい状況は歯止めがかかりません。

 

いくら求人を出しても人が集まらない・・・

このままでは基準が満たせなくなってしまう。どうしよう・・・

筆者もこの件では過去大いに苦しめられました。

 

絶体絶命のピンチに、どうにもならず最終的に採る手段が「人材紹介サービスの活用」でした。

筆者にとって人材紹介の活用は「最後の砦」でしたね(苦笑)。

 

もちろん、人材紹介を計画的に活用する事業所もたくさんあります。

しかし、利用をどうしても躊躇してしまいがち・・・

その理由は、言うまでもないことですが「手数料が高い」ことにあります。

 

近年の人材紹介手数料相場は高騰の一途?!

独立行政法人福祉医療機構(WAM)という団体があります。WAMNETが有名ですね。

WAMが2020年に行った調査によると、人材紹介会社が病院に人員を紹介する場合の1人当たり平均手数料は医師352万円、看護師76万円であったそうです。

下記の資料をご欄くださいませ。

 

先ほども触れました通り、医療機関や介護事業所(施設)、保育所等は行政が定めた人員基準があり、これを厳格に満たすことが必要です。

ですので、このままでは基準を満たせなくなるとなれば、言葉は少々乱暴ですが「力づく」で確保に奔走します。

それはあくまで、最低限の質を確保するための手段という意味です。

 

医療機関や介護事業所は、別に人材確保に何の対策をしていないわけではありません。

福利厚生を充実させたり、退職金制度を整備したり、採用関連の動画を作成したりして、大変な努力をされているところが多いです。

しかし、人材の確保への苦労は改善されず、むしろ負担感が大きい。

人材紹介サービスの手数料の高騰が、介護事業所や医療機関の収益そのものを圧迫することに直結するのであれば、大変由々しき問題であります。

 

人材紹介サービスは玉石混合?~国会でも論議に

繰り返し申し上げますが、私は人材紹介サービスそのものを批判するつもりは毛頭ありません。

しかし残念ながら玉石混合は否めず、一部の悪質な紹介会社の存在がこの問題を引き起こしていることに、筆者は注視せずにはいられません。

 

先ほども申し上げました通り、介護や医療は公的な報酬制度があり、定期的に行われる報酬改定に左右されるビジネスです。

ある程度は事業性が確保されるように設計されているものの、もともと利益が多く望めない経営が、この「手数料」によって苦しめられているという声が、実際に多く挙がっているわけであります。

 

この問題は、今年1月25日の衆院予算委員会において日本共産党の宮本徹議員が取り上げました。

詳細は文末にある宮本議員のHPをご欄いただきたいのですが、民間人材紹介会社の手数料収入について下記のように紹介しております。

介護職員 14年度と19年度比で8倍

保育士 同10倍

看護師 13年度と19年比で5倍

と。

高騰する人材紹介手数料問題、これはもはや、社会問題と言えるのではないでしょうか?

本コラムでも再三ご紹介しているように、近年社会保障費が抑制され、医療や福祉分野で過酷な労働、低賃金、人員不足の悪循環が慢性化しております。

そこにビジネスチャンスと捉えた人材紹介会社の中には、ろくに関与もせず、FAXやメールのやり取りだけで高額な手数料を得ている会社も存在しています。

 

くどいようですが、人材紹介というビジネスモデルを、筆者は決して否定しません。

健全な紹介会社はたくさんありますし、筆者も事業所管理をしていた際には大いに助けていただいた経験もあります。

 

問題なのは「悪しきビジネス」をする会社が存在していることなのです。

あまりに良識を欠くようなやり方には、メスを入れていただく必要はあるように思います。

ただでさえ厳しい病院や福祉施設の経営が人材紹介手数料の支払いで圧迫されるのは本末転倒であり、体制整備の障害となりかねません。労働者の待遇改善も妨げます。

現状の紹介手数料相場が本当に適正なのか。

今回、国会でこの問題について一石を投じたことには、重要な意味があると思います。

本コラムでは、この問題について今後も注視し、どこかのタイミングでまた取り上げさせていただきたいと思います。

 

今回もお読みいただきまして、誠にありがとうございました。

 

【参考URL】

厚生労働省 職業別一般職業紹介状況[実数](常用(含パート))

第182回社会保障審議会介護給付費分科会資料

独立行政法人福祉医療機構(WAM)

日本共産党 宮本徹衆議院議員HP