人手不足解消手法のひとつになるか?近年注目の「スクラム採用」

こんにちは!東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。

3月に入り、本当に暖かくなりました。桜が咲きそうな陽気が続きます。

寒さも和らぎ、訪問看護師も元気に訪問しております。

これからの時期に悩ましいのは、花粉。感染対策だけでなく、花粉対策も怠れませんね。。。

 

また、3月は卒業シーズンでもあります。

高等学校では卒業式を終えられているようですね。小中学校でももうすぐ執り行われるのではないでしょうか。

このたびはご卒業おめでとうございます。

 

これは個人的な意見かもしれませんが、卒業は「育ててくれた親への感謝」を示すことでもあると考えます。

卒業される方には、親に対して感謝の気持ちを示していただきたいですね。

 

本日のテーマ

先月のコラムでも少しお伝えしましたが、筆者は最近「人材採用」について深く考えるようになりました。

採用する手法として、どのようなものがあるのか。他社ではどのような取り組みをされているのた。

 

業界が違えばやり方も異なるかもしれませんし、あまり参考にならない部分もあるかもしれません。

しかし、採用手法について研究し、その中で実践していくことは必要ではないかと、ここのところ特に思う次第です。

 

採用手法は多様化しています。

その中で、最近「スクラム採用」が注目を集めています。

採用活動を経営陣や人事に限定せず、現場の社員も含めて全社的に行っていく採用手法です。

 

今年はフランスでラグビーワールドカップが行われます!

直接関係はありませんが(笑)、本コラムでは、現場社員が採用担当として取り組む「スクラム採用」について、注目される背景やメリット、成功させるポイントや事例等をご紹介いたします。

 

スクラム採用とは

スクラム採用とは、経営陣や人事担当者に限定せず、「全社的に取り組む採用手法」や考え方をいいます。

具体的には、採用にかかる権限を現場の社員に委譲し、現場の社員が主体になって採用活動を行う形となります。

スクラム採用は、株式会社HERP社という会社が提唱した考え方として知られています。

全社的に採用活動するというスタイルが、ラグビーの「スクラム」に似ていることから名づけられたと思われます。

 

スクラム採用を実施する最大の目的は、専門性と経験を兼ね備えた「即戦力人材」を確保することにあります。

その目的を達成するには、現場をよく知る社員が主導となって対応することが確実で早いというのが「スクラム採用」の考え方といえるでしょう。

 

スクラム採用が注目される背景

・採用チャネルの増加

転職活動市場が活性化し、求人広告や人材紹介会社のようなエージェント、SNSやブログ等、数多いチャネルが活用されています。

限られた採用予算の中で、よい人材をタイムリーに確保することを目的とした採用チャネルの選択は、決して簡単ではありません。

 

・転職市場がレッドオーシャン化し、優秀な人材の確保が難しくなった

転職市場が競争激化し、優秀な人材を確保することが難しくなったことも背景として考えられます。

企業は転職活動中の候補者だけでなく、潜在的転職予備軍に対してのアプローチも必要となってきています。

リファラル採用等の手法を駆使し、社員レベルでネットワークを構築し、即戦力人材を集めることが求められてきています。

 

※リファラル採用については、過去に本コラムでも取り上げております。

詳しくは過去記事をご覧くださいませ。

 

スクラム採用のメリット・デメリット

スクラム採用を導入する「メリット」

・採用チャネルの選択肢が増え、よい人材と接触する可能性が広がる

現場の従業員が手を携えることにより、様々な採用チャネルが活かせます。

その中から現場のニーズに即したチャネルを選択し、自社にふさわしいと思われる候補者を発掘したり、その人材に直接アプローチしたりすることもできます。

よい人材と接触する可能性が広がるのは大きなメリットとなるでしょう。

 

・採用担当者の負担が軽減できる

近年、採用のチャネルは増えてきており、採用活動はどんどん複雑化しています。そこで社内の現場社員の力を借りることができれば、採用担当者は採用業務を全体的にマネジメントすることに時間を使うことができます。

このように、採用担当者の業務負荷を、スクラム採用の導入により軽減することが期待できます。

 

・社員の帰属意識やエンゲージメントが高まる

スクラム採用は、現場の社員が積極的に採用に関わることを主眼としていますので、応募者の面接にも臨むことになります。

よい人材を将来の仲間として迎え入れるために、現場目線で応募者を自らの目で選ぶという意識を持つことは、社員の帰属意識やエンゲージメントが高まる要因となりえます。

※「社員の帰属意識」についても、過去に本コラムでご紹介しております。ぜひお読みくださいませ。

 

スクラム採用を導入する「デメリット」

・現場社員の負担が増大する

人材採用に現場の社員が関わるということは、それだけ業務負荷が増えることになります。

採用にも関わることにより通常業務に支障を来たすようでは元も子もありません。

スクラム採用の導入を検討する上では、関わる現場社員の業務バランスを考慮する必要はあるでしょう。

 

・人材採用に関する意識ベクトルを全社的に合わせるのが困難

スクラム採用の導入により、社員のエンゲージメントを高めることは期待できます。

しかし、その意識を全社的に持たせることは簡単ではありません。

社員によっては、通常業務に加えて採用にも関わることに異議を唱える人も出てくるかもしれません。

スクラム採用の導入を検討するには、社員と対話を重ねることを通じて自社にあった型を確立することが重要でしょう。

 

・採用の管理コストが増える可能性がある

現場の社員が採用に関わることになれば、そこで得られた情報を共有する必要が生じますし、情報漏洩しないように細心の注意を払わなければなりません。

それを取りまとめる人事部門の管理コストは増大する可能性があります。

関わる社員に対してコンプライアンス意識を醸成するための研修を実施したり、一元的に情報管理をか脳にするためのツールの導入を検討したりすることが必要でしょう。

 

スクラム採用を実施するプロセス

スクラム採用を実施するために必要なプロセスについて紹介します。

 

・なぜ「スクラム採用が必要なのか」を理解し共有する

スクラム採用導入の出発点は、その必要性を全社的に認識し共有することです。

なぜ会社全体として採用活動を進めることが必要なのかが理解されなければ、成功は期待できないでしょう。

そうならないようにするためには、まず経営陣や幹部が十分に理解し、社員に発信することが必要です。

 

・現場の協力体制を構築する

スクラム採用の必要性が共有されたあとは、導入の準備段階に入ります。具体的には、現場社員の協力体制を整えることです。

社員に対して通常の業務に加えて採用活動に従事してもらうとなれば、業務負荷の懸念が生じます。関わる社員と十分に話し合い、通常業務に支障のないような体制を構築するようにする必要があるでしょう。

 

 

・実際の採用活動が奏功するため、PDCAを回していく。

社員の協力体制が整ったら、具体的な活動に進んでいきます。どの採用チャネルを活用するか、人事との情報共有をどうするのか、応募者の評価をどのようにしていくかについて考え、運用し、適宜見直して修正していきます。このようにPDCAサイクルを繰り返していき、最終的には一定の成果につなげていきます。

 

スクラム採用を活用している企業事例

実際にスクラム採用を活用して成果を上げている企業はいくつかあります。ここではその一例をご紹介します。

 

A社の事例

フリマアプリのプラットフォームの運営・サービスを提供するA社では、会社とメンバー(社員)が大事にする共通の価値観の一つとして「より多様化したバックグラウンドを持つメンバーを積極的に受け入れ、認め合い、全員が活躍できる環境づくり」を提唱しています。

その具体的な取り組みとして、A社ではスクラム採用を取り入れています。

 

実際に企業ポリシーとして、優秀な人材を「全員で採用する」と明記し、特にリファラル採用を推奨しています。

会社の実情について、ネガティブなことであっても誠実に採用候補者に伝えることで、双方の期待値を明確にすることを重要視しているのが特長です。

結果として双方の意向がマッチした段階で人材を迎え入れ、その人材が十分活躍できる環境を整える努力を重ねた結果、設立10年ほどで売上高が約1千億円、従業員数は連結ベースで約1700名の企業に成長しています。

 

 

B社の事例

中小企業や個人事業主の事務管理を効率化するためのSaaS(ソフトウェアをサーバー提供者がサービスとして導入する形態)を開発・提供するB社では、創業期からスクラム採用を実施しています。

人材は採用担当チームだけでなくエンジニアも積極的に関わり、自らで候補者を発掘し、カジュアル面談もエンジニア自ら実施する土壌が整っています。

企業を成長させる最大のテーマは、よいエンジニアを採用し活躍してもらうことが重要であると考えていたB社ですが、その困難さも痛感していたようです。

会社が一丸となって取り組んだスクラム採用により、ベストプラクティスを抽出して共有し、振り返りを繰り返すことで成果を上げてきました。

結果として多くのエンジニアの採用に成功し、創業10年あまりで従業員数が1千人にまで拡大し、大きな成長を遂げています。

 

スクラム採用を成功させるポイント

・経営陣の理解と関心を得ることが不可欠

スクラム採用を成功させるには、経営陣が十分理解し積極的に関わってもらうことが重要です。

そのためには、経営陣と人事部門とでメリット・デメリット含め十分な対話を行い、理解してもらうことが必要でしょう。

経営陣がスクラム採用にコミットし、真剣に関わる姿を見せることにより、周囲の社員の士気が高まることが期待できます。

 

・社員が斜に構えることなく、気軽に参加できる環境づくり

スクラム採用は社員を巻き込む手法ですので、社員への十分な説明と理解が必要です。

社員が斜に構えてしまい参加しにくい状況では、スクラム採用の成果が得られにくくなってしまいます。

導入にあたっては、社員が気軽に参加できるような雰囲気づくりが必要でしょう。

 

・採用情報の一元管理を行う

前述のとおり、現場社員が採用に関わったことによって知り得た情報は、厳重な管理と適切な共有が必要です。

共有が十分でなければ、場合によっては有望と思われる人材を逃すことにもつながり、大きな機会損失になってしまうため注意が必要でしょう。

また、先程紹介した情報漏洩の防止も徹底しなければなりません。

そのためには、採用情報を一元的に管理できるツールやシステムの導入を検討してもよいでしょう。

 

・適切な権限移譲を

現場社員が採用活動に関わることにしたとしても、自由度が全くなければなかなか機能しないものです。

現場社員が主体的に採用活動を行えるよう、採用チャネルの選定や評価方法等についてある程度の権限を委譲し、採用担当者はそれをサポートする体制が構築できるとよいでしょう。

 

まとめ

自社の全員が力を合わせて採用活動に取り組む「スクラム採用」。上手に運用することができれば、自社の採用力が向上されることが期待できます。

他方において、現場スタッフの業務負荷が増える可能性があることについては配慮が必要でしょう。

導入にあたっては社員の声に十分耳を傾けて取り組んでいきたいものです。

よい人材を採用する力を醸成するために、本記事が少しでもお役に立てば幸いです。

今回もお読みいただき、ありがとうございました