2024年度診療報酬改定が6/1に後ろ倒しへ~介護報酬はいかに~

こんにちは!東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。

今年の夏は本当に暑かったですが、10月に入り本当に涼しくなりましたね。朝晩は少し肌寒い位の陽気です。

秋は気候からしても、何かを始めるにはちょうどよい時期です。

運動もよいでしょうし、何かを学ぶにもタイミング的にはよいと思います。

普段から忙しくしていると、体を動かすことがままならないという方も多いかもしれません。意識して習慣化させることが大切ですね。

本日のテーマ

今回このコラムで取り上げるテーマは、少々驚きの内容です!

ことあるごとに発信しておりますが、2024年度は3年に1回やってくる介護報酬改定の時期にあたります。今回は、2年ごとに行われる診療報酬改定とのダブル改定ともいわれています。

改定年は4月1日から施行されるのですが、どうやら今回そうはいかなくなるらしいのです。具体的には来年6月施行となり、2ヶ月後ろ倒しになりそうなのです。

今回は、なぜそのような状況になるのか、また介護報酬改定への影響はどうなるのかについて、取り上げさせていただきます。

診療報酬改定はどういう流れで決まっているのか

例年、診療報酬改定は、介護報酬改定と同様に審議会で議論され決定されます。

具体的には「中医協(中央社会保険医療審議会)」という機関で話し合われ、報酬改定の枠組みが決まっていきます。

しかし今回の改定議論は、例年とは異なる形で進んでいるようなのです。

具体的には、「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会」という会が独自に設置されており、改定の議論に先だって、2023年3月頃より3回開催され、課題のすり合わせが行われているのです。

細かい内容は割愛するとして、今回この意見交換会が設置された背景として、来年4月に報酬改定の施行が間に合うのかということが心配されている、ということです。


中医協総会における検討スケジュールとしては、まず第8次医療計画の内容が確認され、続いて医師の働き方改革、医療DXについて検討されています。その後、入院、外来、在宅、訪問看護、歯科、調剤、感染症等の個別事項等について、有識者や業界団体からの意見を収集した上で2023年4月頃から夏頃までにかけ、広く意見交換が行われました。そして秋頃より、個別具体的な改定項目について議論を深め、12月に改定率が決まり、2024年1月に個別の改定項目が示され、2月に具体的な点数が入った改定内容が答申となる予定であるというのが通常の流れでありました。

2024年診療報酬改定の時期は大きく変わる!

しかしここへきて、来年4月の改定には暗雲が立ち込めてきたのです。

医療業界では、政府が急ピッチで医療DXを進めており、活発な議論がされております。

介護業界ももちろんですが、少子高齢化により社会保障費の圧迫に歯止めがかからない中、いかにサービスの生産性を上げていくかが非常に重要な問題となっております。

ですので、医療・介護のDX化は急務であることは間違いありません。

しかし、これを急ピッチで進めていくには、あまりに時間がないと・・・

実際、診療報酬改定の期間が短いために改定作業の負担が大きいことが課題として挙げられています。改定の内容が正式に決まってから実際に施行されるまでの期間は、実質2ヵ月~3ヵ月位しかありません。診療報酬については電子カルテやレセコンベンダ、介護報酬においても介護ソフトベンダにおいて、この短期間でトラブルなく運用することは至難の業、いや不可能といってよいでしょう。


そこで、中医協総会にて2023年4月及び8月に議論が行われ、2024年度診療報酬改定より、薬価改定については「4月1日」に施行するものの、薬価改定以外の改定事項(医科・歯科等)については、「6月1日」に施行することを事務局が提案し、了承されたというわけです。

上記の画像の通り、改定時期を2ヶ月後ろ倒しとなった際のスケジュール案が示されていますが、今回の診療報酬の改定時期は、通常と大きく変わっていくことはほぼ間違いないでしょう。

介護報酬改定への影響はいかに

上記の診療報酬改定の開始時期変更議論を受け、10月11日に行われた「第227回社会保障審議会介護給付費分科会」でも、介護報酬改定の時期について言及しております。

上記、介護給付費分科会資料によると「介護報酬改定の施行時期について、介護現場の職員やベンダの負担、医療と介護の給付調整、利用者にとってのわかりやすさ、施行時期が変更された場合の事業所や介護保険事業(支援)計画への影響などを踏まえ、どのような対応が考えられるか。」という論点について記載されていますが、これは何を意味するのか・・・

これはまだ正式決定ではないので断言はできませんが、介護報酬改定の施行時期についても診療報酬と同様、2月先送りして6月1日としようとしている、ということで間違いなさそうです。

分科会では、報酬改定を行うに伴う様々な負担について、以下を挙げております。

まず、報酬改定に関する事業所の理解や周知、様々な準備に時間がかかるという点です。

報酬改定となれば、重要事項説明書の変更や説明・同意が必要です。帳票の変更も必要でしょう。事務的な変更は膨大になり、負担感は否めません。

また、事業所の中には、診療報酬と介護報酬の両方を請求するところもあります。

今般のダブル改定において、もし移行時期が片方ずれてしまうと、同様の対応を2回行わなければならず、全くもって落ち着かず混乱を極める、ということです。

さらに、介護報酬改定が行われるにあたり、介護ソフトのベンダが行う改修作業は大変なものでしょう。改定は4月1日からになったとしても、請求は翌月になりますので、本格的な改修は4月下旬位までずれ込むのが通常です。 しかし居宅介護支援事業所などにおいては、4月付のサービス提供票・利用票について「報酬改定後」に即した内容で作成しなければなりませんので、もっと前倒しで行わなくてはなりません。

上記の通り、確かにタイトなスケジュールであることは間違いないと思いますが、今回が介護・診療報酬のダブル改定であることは前から決まっていたわけですから、今さらそのようなことを言われても、な・・・という思いも筆者にはあります。

今後、介護報酬改定はどう動いていきそうか

介護報酬改定の時期も2ヶ月後ろ倒しになるのでは、という話に対しては、業界内でも反対意見があるようです。

特に今回、介護職員処遇改善加算が一本化されるという噂も出て来ていますが、施行時期がずれてしまうと実績報告の作業に支障を来たしてしまうという意見もあり、難しいところではありますね。

しかし、筆者はそうそう目くじらを立てる必要はないと考えます。

今回施行時期が6月にずれ込むことになれば、ほぼ確実に次回以降の改定も6月施行となるでしょう。法改正は4月からで、施行が6月からスタートという話になるのでしょう。

個人的には、猶予期間はあるに越したことはないと思いますね。そのほうが、事業所内で周知する時間や準備期間が確保でき、大変よいことではないかと思われます。

ここに目くじらを立てるくらいなら、事業者団体であれば介護報酬の「プラス改定」を勝ち取ることに力を注ぐべきでしょう。

まとめ

今回のニュース、結構重要です。介護事業者におかれましては、このような情報を決して取り逃してはならないと思います。なぜでしょうか。

それは、特に報酬改定に関する情報は、介護事業所の今後の経営に大きく関わってくる話であるからです。

こういう情報を上手にキャッチアップすることにより、介護事業所や法人はよいタイミングで「次の一手」が打てるのではないでしょうか

特に私たち訪問看護ステーションでは、来年に医療保険のオンライン請求も始まり、非常に大きな動きになります。まだ不透明な部分もありますし、これからもっと議論が深まり、情報も変わってくるかもしれません。

目が苦しく変わり、不確実性の高いこの時世だからこそ、漏れなく情報を得て経営に活かしていく努力が必要であると、今回改めて痛感した次第です。

今回もお読みいただき、誠にありがとうございました。 次回の投稿をどうぞお楽しみにしていただければ幸いです。