一般の方向け講演「人生会議(ACP)」~介護者交流会で講義を行いました~

2023年9月21日

こんにちは。東京都江戸川区のユニケア訪問看護リハビリステーションです。

皆さんは「人生会議」というものをご存じですか?

人は誰でも、いつでも、命に関わる大きな病気やケガをする可能性があります。

そんな「もしもの時」がいつ訪れてもいいように、人生の最終段階における医療・ケアについて、本人が家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合う取り組み「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」というものがあるのはご存じの方も多いと思います。

今回はこの「人生会議」について、ユニケア代表の青木が江戸川区の熟年相談室の皆様のお力をお借りし、一般の方々へ講義を行わせていただきましたのでその様子をお届けさせていただきます。

アイスブレイク(参加者同士の自己紹介)

青木の講演でお馴染み、アイスブレイク。

人生会議における話し合いの内容は、その人の人生観に深く直結するものです。

そのため参加者同士の緊張をほぐし、お互いを知り、その上でACPについて語り合ったり後のもしバナゲームを行っていただくための時間になります。

人生会議の必要性

青木は23歳の時に父親を心筋梗塞で亡くしました。

その時、看護師ではなくサラリーマンとして一般企業で働いていた青木は、第一発見者として何もできなかったことを何年も悩んだそうです。

また、心筋梗塞を患う前からがんの告知をされ自宅療養している際に父親の身体だけではなく心も蝕んでいく恐ろしさを実感し、同時に、当時の自分や母親を含む家族には頼れる存在がいなかったこと、どんな公的なサポートがあるのかを知る機会がなかったこと、「あの時に相談に乗ってくれる医療者がいてくれたら少しは安心できたのではないか?」という思いなどをきっかけに、会社員を辞め看護師の資格を取り、ユニケア訪問看護リハビリステーションを立ち上げた経緯があります。

そして、最後の決断の際に人工呼吸器の装着を医師に問われた際には、父がどう思ってたのかを事前に話し合っていなかったので本人の意思を確認することができず、推定意思(今までの家族との関係上で)で人工呼吸器をつけない選択をしたそうです。

「あの時、父とそういう話をしておけばよかったと後悔した」と青木は話します。

このような後悔をする方が一人でも減るよう、青木はこのような一般の方向けの講演を毎年積極的にさせていただいているわけであります。

青木の訪問看護ステーションを立ち上げるに至った経緯などは下記のページで詳しく述べられていますので、ぜひそちらもご参照ください。

代表挨拶代表挨拶

いつか食べられなくなったらどうしますか?

もしも今日、自分が口からご飯を食べられなくなったらどうしますか?

お腹に管を入れて(胃ろう )しか栄養補給ができなくなったらどうしますか?

医療者であれば、様々な患者様を看させていただいた経緯があるため想像しやすいかと思いますが、一般の方は「食べられなくなる」「人工呼吸器をつける」「寝たきりになる」ということがどのような状態であるかは想像がつきにくいかと思います。

まして、それが自分だったら、もしくは大切な家族だったらということにはなかなか結び付きづらいですよね。

まずは参加者のみなさんに、「いつか食べられなくなったら」「いつか自分の最期を迎える日がきたら」ということについて、今一度考えていただく時間を作らせていただきました。

そうすることで、この後行うもしバナゲームで、より「自分の最期の姿」について考えやすくなるという狙いがあります。

人生会議とは

「人生会議」とは、もしものための話し合いになります。

もしもの時はいつくるかわかりません。

ご高齢の方ではなく、私たち若年者であっても同じです。

病気だけではなく事故に巻き込まれる可能性もありますし、若い人こそ最期について考える機会は少ないですので、人生会議に早すぎるといったことは決してないのです。

それでは、いつこの人生会議をするべきなのかといいますと、間違えなく「いま」になります。

大切な人や家族と一緒にぜひ「自分たちの最期の姿」について話し合い、自分はこうしてほしい、こうなりたい、家族はこうしてほしいんだ、ということを理解する時間を作ってみませんか?

こちらの記事をご覧いただくと、きっと皆さんも「人生会議してみようかな」と思ってくださるかと思いますので、ぜひ最後まで見ていただけますと幸いです。

健康寿命と平均寿命の推移

平均寿命とは「0歳における平均余命」のことで、2019(令和元)年の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳です。 一方、健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことをいい、2019(令和元)年の健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳となっています

e-ヘルスネット > 健康寿命 > 健康寿命の基礎知識 > 平均寿命と健康寿命

上記のグラフからも、平均寿命は年々のびていますが、10年以上は誰かに支援してもらいながら長生きしていることがわかりますよね。

この10年の間に意思決定できる状態であればよいかもしれませんが、寝たきりになってしまっていて認知症が進んでしまっていたり、意思決定ができない状況にあるかもしれないと仮定し「人生会議」を早めにやっておくことが大切であるとお伝えしています。

人生の最終段階における医療に関する関心

「もしもの時のことを何か考えていますか?」という国民一般票での回答では、6割の人は「どうしたいか考えている」と答えているそうです。

「どこで最期を迎えたいか?」という質問については、7割の方が「自宅で最期を迎えたい」という希望をもっている一方で、実際の現実は14%の人しか在宅で最期を迎えられていない現実があります。

それはどうしてなのかといいますと、多くの方は「家族に負担がかかるから」「何かあった時の不安があるから」という思いをお持ちだそうです。

人生の最終段階における医療に関する意識調査 報告書

自宅で最期を迎える絶対条件として、本人の意思も家族の意思も必要です。

もちろん、一番はご本人の意思よる決定が優先されますが、在宅ケアでは「家族が面倒をみる」ことは切っても切れない現実ですので、中には「家族が絶対に見れない」という事情で在宅でのお看取りが難しい方も非常に多くいらっしゃいます。

このようなことをすべて考慮した上でご本人とご家族の準備期間を設ける意味でも、人生会議は非常に重要になってきます。

しかし、実際に最期についての話し合いを行えている家族は約4割ほどしかいないそうです。

それはなぜかといいますと、「話し合うきっかけがなかったから」だと言います。

話し合うきっかけはなかなかありませんよね。

いつも一緒にいる家族に、急に「自分が最期を迎える時はこうしてほしい」なんて話はじめると、「え?どうしたの?」と心配されてしまうことも懸念されます。

ですが、人生会議をするのに適切なタイミングはありません。

本人の意思が確認できる時、つまりは「いま」行うべきが人生会議なのです。

もしバナゲーム

ここまで「人生の最期」に関する内容の説明をさせていただきましたが、講演のおわりには恒例のもしバナゲームを行いました。

もしバナゲームとは、自分にとって何が重要なのか、そして、なぜそれが必要なのかを考え、理解することができることができるゲームです。

参加者のみなさんにもこちらのゲームを一緒にやっていただきましたので、そのご様子を最後にお届けさせていただきたいと思います。

最初にユニケア船堀所長の村竹から、ゲームについての説明が行われました。

その後、グループに分かれてそれぞれゲームをスタートし、それぞれの人生観や大切にしていることについて語っていただきながら講演は進んでいきます。

「本当にいいものもってらっしゃる」『ね?最高でしょ?』とお互いのカードについて話し合う参加者様のお姿もありました。

もしバナゲームは、最終的に3枚のカードを選択します。

あるグループの女性の方は、こちらの3枚のカードを選択し次のようにお話してくださいました。

「ユーモアを持ち続ける」
ユーモアは大切ですよね。何かあっても笑っていればなんとかなるんです。

「家族と一緒に過ごす」
いま6人家族で孫もいます。主人は亡くなったがみんないい人なので一緒に過ごしたいなって。

「親友が近くにいる」
以前親友を亡くしすごく悲しかったんです。でもそれと同じくらい大切な友達と出会えたので今度はその人のことを大切にしたいんです。

もしバナゲームは、必ずしもこうしないといけないということではなく、あくまで考えるきっかけであります。

また、「あなたはどういう最期を迎えたいですか?」と聞かれても漠然としてしまう場合でも、目の前に選択肢が書かれたカードをみると「これは大切」「これはいいかな」の判断がしやすくなります。

自分の手にこなかったカードでも、「あなたのこれいいわね」「ぼくは、あなたのもっているこれも大切かも」と、他の方の意見や思い(=カード)をみて、自分の人生観や大切にしたいものにより多くの選択肢を重ねていき、最期の姿について今一度考えるきっかけになられたのではないでしょうか?

このゲームは、何度も繰り返しやってもいいですし、一人でやっても二人でやってもいいゲームです。その時折で手元に残るカードは変わるので、何度も行うことで、最終的に自分が望む姿は何かをより厚い状態で持ち続けることができると思います。

講演の感想

最後に参加いただいた方から感想を頂戴いたしました。

今まで家族とこういった話し合いをしたことがなく、一言娘に言うと「何言ってるの」って言われそうで勇気がなかったんです。でもそれはいけないので家族のつながりを深めるために勇気を持って話し合いをしたいとおもいました。

今まで生活してきたから自分はこうしたいああしたいという気持ちがあります。それに対して素直な気持ちでこれからの人生生きていきたいと思いました。健康ということが人生会議をすることを妨げていることも無きにしも非ず、ですね。

最期には話し合いをしましょうじゃなくて、しなくてはならないと強く思いました。性格・男女・子供あるなしなど家庭のあり方によって違いますが、行き着くところはみんな一緒なのではないかと。とにかく、いま話し合いをしなくちゃいけないと強く思いましたね。

今回のような講義や記事やニュースをきっかけに、ぜひ皆さんも考えてみてはいかがでしょうか?

「まだ若いから」は関係ありません。老若男女問わず、「思い立ったらその時が人生会議をする機会」です。

今後もユニケアでは、代表の青木を筆頭に、地域のみなさんのお役に立てるような活動を続けてまいります。

ぜひ引き続き、ユニケアの活動報告をチェックしていただけますとうれしいです。

最後までご覧いただきありがとうございました!


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